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WTCCって知ってますか？
知ってる人はカーマニアでしょう。

車のレースで世界選手権と言われてるものは5つあるはずです。
F1。誰でも知ってます。レースと言えばこれでしょう。
WRCはラリー。びっくり映像とかでちょっと見たことくらいはあるはず。ラリーで通じる。
WECは耐久レース。たぶん普通は知らないと思うけど、車がザ・レースカーだから説明したらわかってもらえる。

トヨタが宣伝してたりするからこの３つは知ってる人もけっこういるかも。

じゃああと２つってなんだか知ってます？

そうですWTCCとWorldRXです。
たぶん誰も知りません。飲み屋で車好きだっていうおじさんにこのへんの話をしたらきっと微妙な空気になるでしょう。

WorldRXはラリーカーでダートコースをグルグル回ってレースするやつです。ラリークロスっていう競技で、選手権としてはすっごく新しいし、日本でラリークロスの情報を得るのはそうとう難しいのでまあ知らなくて当然といえば当然です。


残り１つ、WTCCってなんだ？
世界ツーリングカー選手権です。ツーリングカーっていうと、ドイツではDTM、イギリスではBTCC、日本ではスーパーGTがだいたいこれにあたります。
要は、スーパーGTっぽいやつ。
スーパーGTとちょっと違うのは、1レースの周回数が10週ちょっとと極端に少ない超スプリントレースということ。だから抜けそうなところで無理やり抜くアグレッシブな走りが楽しめる。接触も多い。あと、1日2レースやります。

日本メーカーもホンダが参戦してるんですが、それ以外の参戦メーカーが『ラーダ』、『シトロエン』、『シボレー』、『セアト』などマニアックすぎるうえに日本で販売されていない車しか走っていない（ホンダもイギリスのシビック使ってる）ため、プロモーションはほとんど行っていません。
にもかかわらず何故か毎年日本でも開催されてます。岡山やら鈴鹿で。
そして2015年にはなんとモテギで開催されるということで行ってきました。
はるか昔、9月の話です。





車はこんな感じです。スーパーGTよりは市販車に近くてエアロも控えめ。しかも今はみんなFF。エンジンはWRCとかと共通の1.6リッター直噴ターボです。この車はロシアのメーカー『ラーダ』のベスタっていう誰も知らない車です。見ての通り、この車に興味をもっている人はおりません。お姉さんもボーっとしてます。



グリッドウォークはマシン近過ぎ。触ろうと思えば（ダメですが）いくらでも触れます。こんなんでいいんか！？と思うくらい近くで見れます。近過ぎてアンダースポイラー踏んじゃいそう。嫌いなチームのウイング角度変えたりしようと思えば出来るんじゃないでしょうか。



チャンピオンカーであるシトロエン。ホンダ車には人だかりができてますが、シトロエンは誰も見てません。お姉さんたちも退屈そう。



WTCCの車はFFなのでフロントヘビーです。フロントにはいかついブレーキがついてますが、リアはちっちゃい。静止状態ではリアホイールハウスすっかすかでこぶし3つ分くらい入ります笑



WTCCの魅力の一つはドライバーとの距離が近いこと。そしてみんな優しい。F1ではレーサーのサインなんてなかなかもらえないし、スーパーGTだってものすごい並びます。が、WTCCは観客がほとんどいないのでレース前のピットウォークでほぼサインコンプリートできます（一部大人気な人を除く）。チャンピオンのホセ・マリア・ロペス選手も笑顔ですぐサインしてくれます。


これはさすがにびびりましたが、普通に歩いてるこの人も元チャンピオンのイヴァン・ミュラー選手。まさかこんなとこ歩いてるとは思わないのでみんな気づきません。



名物ドライバーのダステ選手。もはや列もなく、待ち時間なしでサインしてくれます。しかもめっちゃお話してくれます。WTCCのドライバーはただサインして終りじゃなくて、ファンを大事にしてくれるのが最高です。レース前なのにのんびりしてますね。



元F1ドライバーのモンテイロ選手。ホンダのドライバーは多少の待ち時間がありますが、ひとりひとりに時間をかけてサインしてくれます。英語で『がんばるから応援よろしく』的なこと言ってました。




のんびりアットホームな雰囲気のWTCCも、レースとなれば激アツ！！
予選、決勝１、決勝２が行われます。


まず予選。1日目に行われ、タイムアタックでグリッドが決まります。静止では前のめり気味のマシンも走ると良い感じのバランスです。イン側の後輪を浮かせるFF特有の動きで曲がっていくのが、這うように走るスーパーGTとの大きな違いですね。




2日目は決勝レースが2本行われます。
超スプリントレースのため、1周目からバトりまくります。ちょっとインがあけばインカットしてねじ込む。

シトロエンは仲良く3台並んで走行。



第2レースはリバースグリッドのため第1レースよりも熱い。頑張って抜こうとしてます。






車好きのなかでも知名度の低いWTCCですが、おもしろかったですよ。
信じられないくらいお客さん少ないので観戦は楽だし、ドライバーと触れ合えるし、レースは良く言えば通好みです。
ドライバーも個性的な人が多いので、他のレースよりもドライバー重視で観戦できるのもポイントでしょう。ホンダのモンテイロとタルクィーニは元F1ドライバーだし、シトロエンからはラリーの伝説的ドライバー、セバスチャン・ローブが走ってました。
他のカテゴリーを引退したレーサーたちがのんびりやってるのも、まあいいんじゃないでしょうか。

2016年からはボルボが参戦するので、ボルボファンの人も楽しめるかも。