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イイね!
2007年09月06日

『奈良・妊婦救急搬送について思う』

先月8/29、奈良県~大阪府で起きたこの出来事について・・・。

事の詳細は、こちらの新聞記事でどうぞ。

この件について思うことなんですが・・・。

奈良県の周産期医療体制不備の指摘、病院側の受け入れ拒否批難は山ほどあれど、この妊婦の“落ち度”に対してスポットを当てるマスコミの少ないこと・・・。
(関西ローカルのTV番組「ムーヴ」では、この件に関して取り上げていました。)

まず、この妊婦は妊娠7ヶ月で一度も産科を受診していなかったということ。

おそらく母子手帳の交付も受けていないでしょうし、胎児の状況や各種の検査も受けておらず、母体・胎児の健康管理もできていない状態だったと考えられます。

もちろん、産科を受診していないのですから、「かかりつけ医」もいないわけで・・・。

妊娠・出産には、この「かかりつけ医」の存在が、いざという時にとても重要になります。

仮に「かかりつけ医」がいれば、妊婦の搬送はもっとスムーズに行なわれたと思います。
(今回の事例では、「かかりつけ医」がいないため、周産期の搬送先探しのネットワークが活用されなかったそうです。)

母子の健康状態がそれまでの診察・検査で把握できていれば、「かかりつけ医」が素早く適切に対応できますし、「かかりつけ医」の病院施設で治療不可能な場合、病院のネットワークを通じて、より高度な医療が施せる病院を探すことも容易でしょう。
(妊婦がこれまで受けてきた検査結果や症状の伝達は医師間でスムーズに行なえます。)
この妊婦のように、過去に流産の経験があり、今回も流産の危険性が受診によってあらかじめ分かっていれば、流産の際、緊急の別病院の確保もできていたのかもしれません。

ココが大事なポイントだと思います。

今回の場合、この女性の“産科未受診”が最も問題だと考えます。

「かかりつけ医」がいないことで、救急隊も一般のケガ人・病人搬送の手段を取らざるを得なかったということでしょう。
ゼロからの病院探しです。
その結果、予想外にも手間取ることに・・・。

妊娠してから一度も産科を受診せず、陣痛が来て初めて救急車を呼ぶ、いわゆる「飛び込み出産」が増えているそうです。

飛び込み出産の妊婦は、診察を受けていないため、母子の状態が把握(例えば、母親の病歴・持病。逆子であるか否か。感染症の有無、帝王切開が必要かどうか?・・・など。)できないために出産時のリスクに責任が負えないということで産科医は敬遠する風潮があり、病院としても、飛び込み出産の場合、出産費用の未払いが多いので、これまた敬遠するという現状のようです。
このような状況も、受け入れ病院探しが手間取る要因になったのではないでしょうか?

さらに追い討ちをかけたのが、奈良県の周産期の緊急救命体制の未整備です。
奈良県には高度な周産期医療が行なえる「周産期母子医療センター」が設置されていません。
今回の場合、大阪府の総合周産期母子医療センター(大阪府内では4病院設置)のひとつである高槻病院へ搬送されました。

奈良県内で妊婦が重篤な状態である場合、大阪府の各総合周産期母子医療センターに搬送されるケースが多いそうです。
奈良県内の高度医療が必要とされる妊婦が県外医療施設へ搬送される県外搬送率は、平成16年で37.2%ということです。

ソフト・ハードの両面で妊婦さんが厳しい状況に置かれている奈良県ですが、これは大なり小なり各都道府県が抱えている問題ですね。

産科医の不足は、誠に深刻な問題で、このような事象はこれからも起こる可能性が高いと思います。

産科医の充足、周産期医療体制の整備については、行政・政府をあげて国策として行なう必要があると思います。
このような状況では、お母さんが安心して子供を産めません。
(妊娠・出産は、経験された方はお分かりだと思いますが、多くのリスクが伴ないます。お母さんは、妊娠中毒症・流産・子宮頸管無力症。また、出産時には胎盤がはがれる際の大量出血など多くの危険にさらされます。)

同じく深刻な小児科医の不足と合わせて、これこそ大幅に予算を割いて行なう必要があると思います。
少子化、少子化とよく言われる昨今ですが、安心して妊娠・出産できる環境の整備がまず必要でしょう。



そして、つくづく感じることなのですが、マスコミの受け入れを拒否した病院・医師へのバッシング・・・。
少し度が過ぎるような印象を持ちます。

マスコミは過酷で末期症状とも言える産科医療を取り巻く現状を理解した上で、批判しているのでしょうか?

奈良県では昨年にも産科医の医療ミスで妊婦が死亡しています。
(このときの記事はこちらから。)

確かに医療ミスを起こしたことは、大変問題ではあるのですが、マスコミの病院側へ対する過度の批判やバッシングによって、今年、この医療ミスを起こした病院は産科を休診にしてしまいました。

この休診により、奈良県中南部の産科がゼロになるという事態に・・・。

マスコミの過度のバッシングにより、結果的に地域住民が不自由を強いられる結果となっています。
マスコミは自らの報道により、地域医療の一部を崩壊させていることを自覚しているのでしょうか?

一時のセンセーショナリズムで医療ミス・病院の責任を大々的に報じ、その結果、どのような影響が地域医療に及ぼされるのか?・・・ということの視点・自覚がマスコミにはないように思います。
報道とその影響に対するバランス感覚が取れていないようです。

今回のこの出来事。
報道を鵜呑みにすることなく、事実関係を冷静に見てみたいと思います。

とにかく妊娠したと思ったら、産科を受診しましょう。
ブログ一覧 | 思いのままに・・・。 | ニュース
Posted at 2007/09/06 19:44:55

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この記事へのコメント

2007年9月6日 19:53
はじめまして!
おっしゃる通りだと思います!


ちなみに最近多いムコ多糖類のチェーンメールにも僕はあきれてます(笑)
コメントへの返答
2007年9月6日 20:08
はじめまして。
コメント、ありがとうございます。

難しい問題ですね。
様々な要因はあると思うのですが、マスコミの批判している視点のピントがズレていると思います。

ムコ多糖類とは健康食品でありますよね?
そんなチェーンメールに困ってらっしゃるようで・・・。

世の中、困った現象が多いものですね。
2007年9月6日 20:18
冷静なコメントですね^^

最近のマスコミはちょっとおかしいです。。。

ニュース一つ取っても

キャスター&コメンテーターの意見を

視聴者に押し付けてるような感じすら!?

ニュースは事実を伝える事が重要であって

キャスター&コメンテーターの

考え方を押し付ける事はしないで欲しいです。。。

日本の医療体制、真剣に考えないと

かなりやばい状況ですよね。

長々とすみませんでした!
コメントへの返答
2007年9月6日 20:35
こんばんは。

私も長々と文章を連ねてしまいました・・・。

マスコミは感情的に報道している場面が多いように感じます。

ニュースのワイドショー化は、最近に始まったお話しではありませんが、どうも「?」と思う報道が多いですね。
キャスター&コメンテーターのコメントは鵜呑みにしない方が良さそうです。

日本の医療体制は、おっしゃるように、真剣に考えないといけないと思います。
医療が沈没する前に何とかしないといけませんよね。
2007年9月6日 20:47
私が救急隊として勤務していた頃、妊婦の病院選定には2つのパターンがありました。
1つは「掛かりつけ病院」を選定する。
これは病院の診療時間にもよりますが、多くの産科は受け入れをしてくれます。

もう1つは「二次・三次診療病院」を選定する。
二次・三次診療病院とは、分かり易くいうと一次診療は軽度の症状・病状を診てくれる診療所や単科目病院のことを言います。
二次診療は、一次診療では対応できない症状・病状を診てくれる総合病院のことを言います。
三次診療病院は、二次診療病院では対応できない症状・病状を診てくれる高度救命急センターのことを言います。

掛かりつけ病院の無い妊婦や、旅行中の妊婦を搬送する場合は「二次・三次診療病院」に搬送するのですが、これがなかなか受け入れをしてくれないのが現状です。

病院研修で産科医が「日本の医療で一番訴訟率が高いのが産科なんです。」と言っていたのを思い出しました。

産科医が不足している原因の1つだとも言っていました。

厚生省が重い腰をやっとあげて対応策を出しましたが、実際それをやるのは自治体任せです。

平たく言うと、お金持ちの自治体は出来るけど貧乏な自治体は出来ない。

消防にしたって同じです。

国の消防力の整備指針を一方的に押し付け、お金持ちの自治体は職員を増やし、貧乏な自治体は職員を減らす。

命を左右する行政サービスに不平等があっては絶対にならないと思います。

日本で生活している以上は、全国民が平等に行政サービスを受けれるような政策を取って欲しいと切に願います。

マスコミ報道に関しては、私の7月16日のブログでも書きましたが、私達に有益となる公平な報道を心掛けて欲しいと感じました。

コメントへの返答
2007年9月7日 1:03
こんばんは。

救急の専門家である「よしお143さん」の貴重なご意見、ありがとうございます。

私が感じたままを書き連ねましたので、「よしお143さん」がご覧になって、間違っている部分もあるかと思います。
その部分につきましては、ご容赦くださいませ。

妊婦の搬送先病院選定のパターンは、ご説明いただいたようになっているのですね。
「掛かりつけ病院」がある妊婦の方が、受け入れがスムーズに行なえると私は理解いたしました。

二次・三次診療病院が掛かりつけ病院の無い妊婦や、旅行中の妊婦の搬送を受け入れてくれないというのは、産科医師が常駐していないということが原因なのでしょうか?
それとも、母子の健康状態が把握できないという理由なのでしょうか?
(すみません。ふと疑問に感じたもので、書いてしまいました。)

産科の医療訴訟ですが、各診療科の中で最も多いようですね。
産科医のなり手が少ないのも分かります。
「飛び込み出産」もそうですが、病状・症状の把握ができていない妊婦の出産には相当ナーバスになっていて、そのような妊婦の受け入れは医療訴訟も絡んで厳しいのが実状のようです。

対応策は自治体任せなのですね?
(今回のこの件を受けて、近畿地方では大阪府と奈良県・徳島県の間で広域搬送の運用が始まる動きがありました。)

政府はこの問題にコミットしないのですか・・・。
おっしゃるように、自治体の財政状態によって命に関する行政サービスが左右されるのは問題ですね。
いくら格差があると言っても、そのような不均衡を生み出すのは良くないと思います。

マスコミ報道に関しては、おっしゃる通りですね。
事件の原因と分析、批判手段とその影響力を含めて判断して、整合性があり一貫性のある報道をしてもらいたいと感じます。
2007年9月6日 20:53
スイマセン
携帯で書いてたもんで予測変換みすです

ムコ多糖症です(笑)
揚げ足取りですか?それともホントに知らないんですか(笑)

今ミンカラでもまわってるよくわからんバトンのやつです!
コメントへの返答
2007年9月7日 1:05
こんばんは。

ムコ多糖症のバトンがみんカラで回っているのですね。
すみません。私は知りませんでした。
「n--tくん さん」のブログを拝見しまして、初めて知りました。

“揚げ足取り”の意図は全くございません。
もし、そう思われたのでしたら、申し訳ありませんでした。
不謹慎な内容の返答を差し上げてしまったと反省しております。
2007年9月7日 1:41
二次診療についてもう少しだけ付け加えます。

当市の二次診療体制は5ヶ所の総合病院を順番に割り振ります。

しかしながら全ての科目の医師が当直しているわけではありません。

必然的に医師数の多い内科や外科の医師が当直するのが一般的です。

例えば皮膚疾患で二次診療に搬送しても診察するのは内科や外科の医師が診察し、必要性があれば皮膚科の医師を呼び出すという事態が生じます。

やはり緊急性の高い産科は敬遠されるのが実情であり、当市に限らず全国的な問題であると思います。

産科に関しては「助産士」という特別な資格がありますが、普通分娩でしか取り上げることが出来ません。
たとえ助産士が当直していても医療行為が出来ませんので救急搬送される妊婦は診ることを出来ないのが現実です。

奈良の件に関しては、こうした種々の要因が重なり、搬送拒否が繰り返されたと考えられます。

政府も産科医師不足だけを問題視するのではなく、抜本的な日本の医療システム改造を考えなければ崩壊してしまうかもしれませんね。
コメントへの返答
2007年9月7日 2:33
なるほど、そのような状況があるのですね。

ご説明いただきまして、ありがとうございます。

確かに当直医の問題は大きいですね。
分娩という特別な状況に対応できるのは産科医しかいませんし・・・。


今回の一件でも、奈良・大阪の産科のある病院に受け入れ要請を続けたようですが、分娩中や大量出血の妊婦を受け入れていたりと、救急搬送の妊婦を診ることができる病院がなかったようです。

夜中、産科のある病院の当直産科医は1人から良くて2人体制で、複数の分娩を行なったりと産科医療の現場は火の車で、救急を受け入れる余裕などないそうです。

分娩数に対する産科医の絶対数が不足している状態ですね。

産科を廃止する病院が多く、そのシワ寄せが既存の産科常設病院へ大きな負担となっている状態です。

>政府も産科医師不足だけを問題視するのではなく、抜本的な日本の医療システム改造を考えなければ崩壊してしまうかもしれませんね

これは、重要なご提案ですね。
診療報酬制度から医師養成の課程、国民皆保険制度まで、大きく変えなければいけないと思います。

様々な既得権が絡んでいる問題ですが、政治が強力なリーダーシップを発揮して切り込んでいかないと無理のような気がします。

日本の医療崩壊までに間に合うと良いのですが・・・。
2007年9月7日 8:18
今回「つるっち」さんが提起された問題については私自身も勉強不足の部分もあるので、現場で働く一医療人として再度勉強しブログで記事にしたいと思います。
コメントへの返答
2007年9月7日 19:55
こんばんは。

私は医療に関しては全くの素人ですが、今の医療現場で起きている事態について、いろいろと勉強したいと思います。

また、「よしお143さん」の視点から見られた医療の現状・問題点などをよろしければご教授くださいませ。

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CICLISMO(チクリズモ=自転車競技)と阪神タイガースと富士山が好きな私です。 自転車で風を切って走る感覚は気持ち良いですね。 気分爽快です。(^....
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