いい映画だったと思います。
ええ、3回泣きました。
原作を書いたのは、辺見じゅんという女性です。
興味が沸いたので調べてみると、この映画の制作を務めた角川春樹氏と、角川書店社長の角川歴彦氏の実姉にあたります。
つまり、角川書店の創始者である源義氏の娘なわけです。
昭和58年、今から22年前にこの原作が上梓されたのは当然ながら角川書店からでした。
その後、ちくま文庫へ刊行の場を移し、現在は弟春樹氏が主催するハルキ文庫から出版されています。
角川書店は歴彦氏の追放劇や春樹氏のコカイン騒動といった「お家騒動」で揺れた末に、歴彦氏が93年に社長に就任し現在に至っています。
ちくま文庫に刊行を移したのが95年ですから、おそらく角川の「お家騒動」と無関係ではないのでしょう。
どうやら彼女は、春樹氏寄りの立場を取っているようです。
角川書店といえば映画事業も積極的に手がけているところですから、「せっかく映画化するなら、なぜ姉弟3人力を合わせて作れなかったのか?」なんて考えてしまうのは、私が円満な家庭の中で育ったせいなのでしょうか。
ですが、映画のパンフレットの末尾で辺見じゅん女史と角川春樹氏のコメントが並んでいるのを読むにつけ、角川歴彦氏のコメントが載っていないことに、えもいわれぬ寂しさを感じました。
「この映画は戦争映画ではなく、「人間愛」を描いた作品なのだ」と制作側は主張していますし、私もその通りだと思いますが、だからこそ重要なポジションを占めている二人の人物に対して、「「
人間愛」の前に
「家族の絆」に対してどう思っているのか」小一時間問いつめたい!
とはいえ、純粋なエンターテイメントとしても、「昭和」という時代を振り返るきっかけとしても、良い作品だったと思います。
さしあたって、映画の帰りに映画の原作を買ってきました。
明日、また東京へ出張なので、新幹線の中ででも読もうと思っています。
決定版 男たちの大和〈上〉
決定版 男たちの大和〈下〉
余談ですが、角川家の愛憎劇に興味が沸いた方は、岩上安身氏のホームページにある
「誰も書かなかった「角川家の一族」」を読んでみてください。
横溝正史の「金田一耕助」シリーズも真っ青のドロドロとした話が、「ノンフィクション」として書かれています。
Posted at 2005/12/18 20:21:19 | |
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