間が開いてしまいましたが、レース後編です。
無事予選ポールポジションを獲得し、いよいよ決勝です。
監督からはとりあえず楽しく行こうと励まされ、チームの面子からもからかわれたりしながらパドックを離れピットレーンへ向かいます。
予選とシート位置は変わらないのに、身体の収まりが妙に気になって位置あわせしてたり、HANSの調整をしたりと自分で気の済むまで身の回りをいじっていました。
コースオープン。
ゆっくり1周回りダミーグリッドに付きます。
グリッド上で最終の整備として増し締め、車載カメラのチェックを行い、5分前掲示でクルーが撤収。
深呼吸して待つ間に3分前掲示。
1分前掲示でエンジンスタート。
グリーンフラッグが振られ、フォーメーションラップスタートです。
クラッチのバイト位置だけ確認してダミーグリッドを離れます。
1コーナーインサイドでフィット仲間を発見。
自分の緊張を紛らすために手を振ってみたり。
ウォームアップ走行。
今回は逃げ切りを狙うためいつもよりちょっと多くサイドブレーキを引いて、リアタイヤとブレーキを温めます。
フォーメーションラップ中、2番グリッドのライバルが威嚇とばかりに車体を振っていますが、こちらはタイヤにいい感触があり、そこまでのウォームアップは不要と判断。
事前練習で使いすぎて不安要素だったタイヤ。
その使いすぎたた分は予選1アタックのみで切り上げたことで取り返したはず。
ライバル勢は11周前後を全開で走っています。
グリッドに戻るまでタイヤを壊さないようにブレーキ温度を上げる作業に専念します。
予選の感覚から言えば、ブレーキも問題なし。
初期制動とリリースのバランスが好みのフィーリングで思いきって踏めそう。
最終コーナー手前で車体を振ってみましたが、十分なグリップがあるようです。
直前がスーパーカートの1時間耐久レースだったので、去年のようにオイルが路面に乗ってしまっている可能性があったのですが、気温上昇以外予選と路面は大差ないようです。
いよいよグリッドへ。
この時緊張のあまり手順を間違えてエンジンを切ってしまいました…(そりゃダミーグリッドの手順です)。
慌ててエンジンをかけ直し、シグナルを注視…
5秒前から妙に長いレッドシグナル点灯、「0.5~1sec後にブラックアウト…」
なんて考えていると、付いた途端に赤ランプが消える。
あれっ!?
とパニックになりブレーキリリースが遅れる。
クラッチミートにも見事に失敗し盛大なホイールスピンでクルマが前に進まない!
「しくじったぁあああ(>_<)」
と内心叫びながら全開で1コーナーへ。
スイフトに完全に前に行かれたかと思いきや、あちらも多少出遅れたのか、真横で同じく全開で1コーナーに向かっています。
ジリジリとこちらに寄ってプレッシャーを掛けてきますが、これ以上はインに寄せさせないと、応戦。
真っ直ぐ1コーナーへアプローチします。
その時
ドン
と左サイドから鈍い音。
当てられた!
両者譲らぬ1コーナー。
アプローチで少しでもアウトから切り込みたいこちらと被せて抑えたいあちらの意地が交錯。
箱車らしい接触しながらの攻防戦となりました。
(1コーナーで観戦してた人たちにも接触したときの音が聞こえていたそうです^_^;)
去年、監督がドライバーとして走っているときの最終戦、スペースがあらば追突せんばかりのプッシュをしてくるドライバーだと言うのは見ていました(実際に追突されてましたが…)
1コーナーで首位を死守。固定が外れて畳まれた状態でブラブラしてるミラーを見て、頭のなかで何かが切れて飛んでいったのを感じました。
仕掛けてくるなら、仕掛けようもないくらいぶっちぎっちゃえばいいじゃない(^^)v
(ベッテル式解決方法)
第1ヘアピンは「止まれればいい」くらいのタイミングで突っ込みます。
2台とも少しオーバーラン気味でヘアピンを通過。
ブレーキを早くしてたらちょっと危なかったかもしれない。
ここから100号車に鞭を入れ、最大に集中。
ダンロップ、80R、ヘアピンを予選並みに攻め立てます。
バックストレートはクラッチを蹴り込んで全速全開。
クルマから「行ける!」という感触が伝わってきたので、予選と変わらぬポイントから最終コーナーへアプローチ。
Z2☆のウォームアップの早さに助けられ、グリップを探りながらアクセルを踏み抜きます。
コース一杯でコントロールライン通過。
P-LAPの手元計測で1分14秒9。
ゼロ発進からのタイムだと思うと自分でちょっと驚く。
オーバーペースなのは百も承知。
後ろと目視で2秒強のマージンを築いて1コーナーへ。
目標タイムは1分12秒を切るタイム。
ライバルの予選タイムが1分12秒2なので、このラインを死守できれば差を詰められることはないという算段。
4~5周走ればマージンは少なくとも1秒上乗せできるはず。
そんなことを考えながら、手綱を緩めることなくラップ2、3、4と周回を重ねます。
とにかくシフトミスやオーバーランだけはないようにアタック。
5周目。
前の周から顔を覗かせつつあったタイヤのグリップ感の低下が顕著に現れる。
さすがにこのハイペースでタイヤがオーバーヒートしたか、あるいは内圧が急激に上がりすぎたか。
ダンロップ、最終でクルマが逃げようとします。
第1ヘアピン手前でごみ袋のようなものがコース内に舞ってるのを確認して、万一にも巻き込まないようにして、少しペースを緩める。
以降数周、バックストレッチで後方を見ながら、タイヤへの依存を抑えて、グリップの回復を待ちます。
タイムは12秒台中盤。
後方との差を確認すると、ペースを抑えても差は縮まっていない模様。
中盤にしてこの差、後方は追撃を諦めたかも?
もっとも、逃げ切り狙いでタイヤに過負荷を掛けて走っている以上、後ろが諦めてくれなかった場合はじり貧になってしまうのですが…
これくらい差がつけば残り数周で追い付くのは難しいはず。
目視で4~5秒差か
サインボードが残り5周を表示。
ここで深呼吸で落ち着こうとするが、ちょっと気が緩みそうになる。
ここでミスをしたら元も子もない。
ひと息ついたあと再び集中してラストスパートに入ります。
もう後方も気にせず自分の世界を突っ走る。ここまで来れば消耗も気にする必要はない。
セーブしたタイヤはグリップが戻り、序盤と同等のペースで回れます。
残り4周。3周。2周…と問題なく周回を重ね。周回遅れも問題なくパス。
ついにファイナルラップに突入。
ファステストラップ更新狙いで一周集中してやります。
最高に楽しいファイナルラップ。
あまりの順調さにサーキットのすべてが自分に味方しているような錯覚さえ感じます。
無駄なく、無理なくコーナーを回り、タイヤの残りを使いきるようにグリップを使いながら最終コーナーを駆け抜けると、チェッカーフラッグが待っていました。
フィニッシュラインを抜けると同時に、15周抑えていた感情が爆発。
車載を見ると絶叫しながらガッツポーズしてました。
ウイニングランは特別なもの。
コースマーシャルが旗や手を振るのに手を振り替えし、ゆっくりとコースを一周します。
ここまで応援してくれた監督を始めサポートしてくれたみんな、応援に来てくれた仲間、そしてレース経験ゼロの私にもサポートしてくださったスポンサー方々。
それを考えると一気に緊張の糸が切れ、涙が出てきました。
終わった後で気付くとは我ながらなんと鈍いんだか無礼なんだか…。
ホームストレートに戻ると、しばらく放心状態でクルマから降りられず…(苦笑
みんなと握手してからは、表彰式。
3位は同じく百式自動車から百田社長。
2位はスイフトのOさん。
アナウンスで呼び出され、表彰台のてっぺんへ。
ダミートロフィー(笑)受領後はシャンパンファイト(ノンアルコールです)!
開け方がわからないので聞きながら開栓したのはナイショの話。
妙に酸っぱくて、ベタベタするほど甘くて、こんなに不味いのにこれほど美味しく感じる飲み物ははじめてでした。
両側からめった撃ちにされ全身ベタベタで表彰式を終え、仲間のみんなでシャンパンのお裾分け。
公道車検も無事に終え、すべてがうまく行きすぎたあっという間のデビューレースでした。
終わってみれば、デビュー戦でポールトゥウィン、ファステストラップに全周ラップリーダーと完全優勝。
あまりにできすぎた結果となりました。
これも完璧なクルマを用意してもらって、完璧なサポートをしてくれたみんながいたからこそです。
去年までの無限CCでの苦戦を見れば、ひとりでは何もできないのは明らか。
第2戦は8/3、同じく筑波サーキットです。
また次戦も勝てるよう、全力で練習しますので皆様よろしくお願いします。
…その帰り道、みんなで温泉に向かう道でまっちゃんから緊急連絡。
100号車にトラブル発生ということで急いで合流すると、なんとエンジン側のマウントブラケットが破断!
抜け落ちたボルトを締め直して、応急処置。
自走可能なところまでは持っていきましたが、まさかこんなトラブルが起きようとは…。
いつ壊れたのかはわかりませんが、もしレース中に起きていたなら、と考えるとゾッとします。
よくぞ最後まで堪えてくれました。
ありがとう100号車…。
帰宅してパーツリストを調べると、修復可能な部分であることがわかり、ちょっと安心。
…こうして、ひと息つく間もなく私たちの第2戦が幕を開けたのでした(^_^;)