
「さぁ、行くか」
時計はまだ真夜中の12時を1時間と少し過ぎただけの時を刻んでいる。数時間の眠りしか取れなかったが、気持ちは昂ぶっているので眠気は感じない。まだ眠りから覚めぬ家族を起こさぬよう気を付けながら、Mazda MX-5 Miata 10th Anniversaryのトランク、助手席に荷物を積み込んでいく。この旅が終われば10万マイル(16万キロ)に届くであろう、もう15年に及ぶ相棒は果たしてこの往復1000kmにも及ぶ道程に持ちこたえられるのか?そう思いながら、念の為トランクにエアポンプとパンク修理キットを積み込む。
しかも今回はソルトレイクシティ、ポートランドと2回の乗り換えがある上に、ポートランドでの乗り換え時間は45分程度しかない。「大丈夫だろうか?」不安がよぎるが、何としてでも予定通り日本に着かねばならない。何故なら、今回は局長より991カレラSの東京-岡山間運搬の命を受けている。自分で「一度はポルシェを乗り倒したい」と06ケイマンS、12ケイマンRと乗りついで、911も997カレラSとGT3に軽く乗った事はあるが、991は初めてである。
ワイドトレッド化によりRRとは思えないリアの安定性を手に入れたと言われる991。しかし電動パワステの採用は時代の流れとはいえ、一抹の不安が残る。自分にとって997、987の微少舵角時のフロントの動きはタイヤ評価ドライバーとして見ても一つの究極の形であり、全ての評価ドライバーが体験すべきものであるとすら思っているが、今まで乗ってきた電動パワステの車はどれもその領域で満足できたものは無い。「ポルシェは解決できたのだろうか?」疑問は残るが、エンジンは先ほど発表され、注文が殺到していると言うケイマンGT4にも使われているエンジン、こちらは期待できる。しかもカラーはレーシングイエロー。991以前のスピードイエローに比べ薄くなってしまい個人的には残念だが、それでもポルシェにはイエローが良く似合う。
「今年は今までで最高の同窓会になるだろうな」前夜祭あり、カレラSあり、そしてガンさん大井さん、デカトーさんに加え中谷さんまで参加する今回の同窓会に期待を膨らませながら、時々鹿が道端で餌を食べているテキサスの田舎道を、一路F1GPも開催されるAustinに向いハンドルを切って行った。。。
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ちょっと小説風に始めてみましたが(笑)、今年もベスモ同窓会が無事終わりました。関係者のみなさん、大変お疲れ様でした!今年は去年のガンさん、大井さん、デカトーさんに加え、中谷さんそして、去年参加予定だったのにも関わらず、急用で参加出来なくなってしまった田部さんも来られ、更には前夜祭まであって今までで一番盛り上がったのは間違いないでしょう!(o^-')b

ベスモファンなら垂涎物の5ショット!(^O^)/
私の方は、今までのように一人できままに予定を決められるという生活ではなくなり、一時は参加も難しいかもと思ってましたが、妻も今の私を築いてくれたベスモのイベントなら是非行くべき、という事で温かく送り出してくれ、今年も参加する事が出来ました!(^O^)/
無事成田に到着した私は、今回も局長のお供で、CX-3と991カレラSを岡山まで運転していく事に。道中は去年もお会いしたMDiさんや、981ボクスターのオーナーであり最近うちに中途採用されたテストドライバーと大学時代、自動車部同士で競い合ったという2315君と一緒です(o^-')b
スーパーGTの方はLeon Racing Teamが予選9位と結構好位置につけてました。ただ「雨が降ったらかなり厳しい」と言うガンさんの言葉もあり、決勝は天候が回復する事に賭けてスリックで勝負に出たようですが、結局雨は最後まで降ったり止んだりで下位に沈んでしまいました。。。
決勝の終了が遅くなったためガンさんはホテル到着後、休む間もなくそのまま前夜祭に参加するという超強硬スケジュール。それでも、疲れを全く見せずみんなに挨拶をするガンさん、本当に頭が下がりますm(_ _)m
中谷さんの乾杯の音頭で始まった前夜祭は、その後ちょっとお酒の入ったキャスターの方々の普段は見せないであろう素顔が垣間見えたり、中谷さん提供のベスモバックナンバーの争奪戦や鑑賞会で盛り上がり、参加者のみなさんは大喜び。
そして前夜祭の後半に、局長、ガンさんには波田さんが一目ぼれした
「あとりえ~温~」 にお願いしたベスモファンの想いを伝えるようなメッセージの書かれた額縁が、そして中谷さん、大井さん、デカトーさんにはベスモ同窓会のクリスタルが贈られました。ガンさんの「あまり私は感動しない方だけど、この贈り物は本当に感動した。波田さん、ありがとう」と言う言葉に私も涙を堪える事が出来ませんでした。。。(T-T)
そして私にとって今回のもう一つの目玉は、豪華な同窓会の内容を知り、何としてでも参加するよう連絡した、kirihata君との再会であります。kirihata君とは一昨年の年末に私の田舎である高知で会い、ベスモの思い出やドライビング論を延々と語り合った仲。昼過ぎに始まったそれは、kirihata君の家へと場所を変えて、気が付くと真夜中まで続いたのでした(笑)元某自動車会社のテストドライバーであり、今はアースエイドという有機栽培の葉ニンニクを使った製品を作る会社を経営してますが、最近はメディアにも色々取り上げられて評判の様です。元テストドライバーと言うだけあって車や運転については見識が深く、しかも自宅の納屋には自分のお気に入りだったアーケード用レーシングゲームの筐体まで置いてあるという超運転大好き人間(笑)若い頃ファミコンのレースゲーム全国大会で2部門優勝した賞品のドリキンヘルメット(二つあるうちの一つ)を持参しての参加でした。ま、ヘルメットには使用期限があるわけですが、このイベントにそのヘルメットを持ってきたい気持ちは分かります(^O^;
その後、前夜祭はお開きとなりますが、翌日のスケジュールの打ち合わせを兼ねて大井・デカトーさん師弟の部屋で、スタッフ及びその仲間の人達とで延々と車談義が続き、さらにその後は同室の波田さんと色んな話をして夜は更けていきました。。。
そして同窓会当日。天候は生憎の雨でしたが、それほど強くはなく、しかも一つのアクシデントも無く終われたのは流石ベスモファン!同窓会開始前、カレラSに設置したGPSデータロガーのスタート地点を設定にコースを少し走りましたが、2種類に分かれている舗装の白い方はミューがかなり低く(スノーに近いくらい)、これは結構やばいかもしれないと心配してました(^O^;
同窓会はまず合計4台のカメラを駆使して撮影した、中谷さんのカレラSインプレッション走行から始まり、グループ写真撮影を経て、走行セッションに入ります。ここでは中谷さんのカレラS、大井さんのS2000、デカトーさんのS2000による同乗走行も並行して行われました。私の方は今回特に同乗を手伝う事も無く、他の参加者の方とお話をしたりしてリラックス気分でしたが、それを見かねた?波田さんの厚意によりビギナーグループの先導を担当させてもらいました(^O^;

大井さんS2000

デカトーさんS2000
更に午後には、丁度中谷さんの同乗走行が無いセッションがあり、局長の許可をとってカレラSを中山で走らせるチャンスが!そこで前日に「もし走行する事があるなら是非横に乗せてください」と頼まれていたkirihata君に声をかけ二人でコースに出ます。決して全開で走った訳ではありませんが、何せミューの低い中山なので、所々で思わぬスライドもありました(^O^;
参加者の方は覚えておられると思いますが、同乗走行についてガンさんからはそれほど参考にはならないというお話がありました。確かに横に乗っただけでいきなりうまくなる事は無いんですが、中谷さんがその後言われたように「うまい人の横に乗ってみたら別に特別な操作は必要ないという事が分かった」というのは私が遙か昔、大磯ロングビーチで大井さんの横に乗った時の印象と同じでした。大井さんも昔ベスモで「良く、うまい人は何か特別な事をしてるんじゃないか?と思ってる人も居るけどそうじゃない。限界はみんなが感じてるような所と変わらない。でもうまい人はその限界をなぞって走る事が出来るんだよ。」とおっしゃってて大きく頷いたのを思い出します。そして大井さんが中谷さんの後を受けて言われた「同乗して何を参考にするのかが重要だ」というお言葉。私も後輩ドライバーを同乗させる時に「とにかくGの変移やリズムを感じろ。」と良く言いますが、似たような意味だと思います。ただ、みんな独自のリズムを持っているので、最終的にはみんなの走りは違ってくるんですが、他人の横乗りをすると自分と違うアプローチが分かって新しいアイディアが浮かんだりします(^O^)/
私の経験から言えば、
初心者「横乗りをしてなにも特別な事をしてる訳じゃ無い、物理的な限界は変えられないという事を理解する」
中級者「自分が思っていた限界は自分の操作が原因だった事を理解する」
上級者「Gの変化を感じる事により、その人の操作や考え方を盗む(笑)」
という点で横乗りは効果があると思います。私も大井さん、中谷さん、木下さん、飯田章選手、トヨタ四天王だった細谷さん、その他海外のプロレーシングドライバー(Darren Law, Chris Cook, Andy Lee)の横乗りをする事で、色んな事を感じ、盗んできました。特に自分で限界まで攻めてるつもりなのにタイムが伸びない、なんて人はうまい人の横に乗るとどこで遅いのかが良く分かるんじゃないでしょうか?ただ、分かる事とそれが出来る事の間には大きなギャップがあって、そのギャップを埋められるのは自分の努力だけなんですね。その辺りガンさんは「ドラテク特訓道場」を通してジレンマというか限界を感じられたのかも知れません。正直、参加者のドラテクレベルがある程度高くないと同乗走行をしても「すごい」「何か違う」というだけで終わってしまいがちです。
さてちょっと話題が逸れましたが、そんな感じで同窓会も進行し、最後の方には去年お会いできなかった田部さんとも色々お話しできて良かったです。ただ、残念だったのは用事で午後に帰られてしまったガンさんとあまり話せなかった事でしょうか。昨今のハイパフォーマンス系に使われているタイヤへの意見などお聞きしたかったのですが。。。
今回の目玉ゲストである中谷さんとは少しお話できましたが、ドライビングバイブルに書かれてある理想型のコーナリングラインに関して、もう少し突っ込んで話をしたかったです。実はこの理想型のコーナリングラインについてはマイケル・クルム選手の書いた「Driving on the Edge」(日本名:ミハエル・クルムのレーシング「超」運転術)に似たような話が載っており、ドライビングの考え方は一つじゃないんだ!というのを学ぶのに非常に参考になります。
Driving on the Edgeはアメリカの友人から紹介され「何で、こちらじゃそれほど知られてないクルム選手の本を?」と思いましたが、個人的に知り合いのレーシングドライバーから薦められたそうで、数ページ読んだだけで購入を決断しました(笑)GPSデータを使ってドライビングラインの違いを数値として検証しているだけでなく、私の長年の疑問だったベネトン時代のアロンソのドライビングについてまで書いていて、それだけで涙ものでした。MDiさんと話してた時、MDiさんもこの本を読んだという事が分かり「人にはこの本、教えたくないよね~」と意見が合いましたが、「一人はうまからず」の精神で書く事にします(笑)
内容はレースをしている人向けで基本的なドラテクを理解している人の応用編という感じですが、ガンさん、中谷さんの本を読んだ後に読むと更に理解が深まると思います(o^-')b

現代ドライビング本、3種の神器(^O^)/
それにしても、中谷さんの911ドライビングバイブルは昔から読みたかったのですが、絶版になっておりしかも古本価格が高騰してたので手が出せませんでした。それが局長が創設した「ぽらりす」で電子書籍となり、しかも現在の車事情に合わせて改訂までされているというのですから、本当に感謝です。後、多分個人ユーザーとして最初の購入者になったであろう「新、ドライビング・メカニズム」も、値段が大幅に安く買えますしね(o^-')b
ただ、問題は本にサインを頂けない所です。。。(^O^;
ぽらりす ebooks 車仲間「名作ガレージ」
良く「スローイン、ファーストアウト」「アウトインアウト」がコーナリングの大原則のように言われますが、距離というファクターを過小評価している人がかなりハイレベルの人でも結構居ます。ドライビング、特にタイムアタックという面においては常に「速度を取るのか、距離を取るのか」という意識が大事になってきます。これは特にジムカーナやオートクロスをする人が良く分かってる事なんですが、距離というのは結構バカにならなくて旋回半径大きくして速度を上げるより、短い距離を走った方が速い事って多いんですよね。そしてサーキットでも短い距離で同じようなラップタイムが出せるのであれば、耐久などの燃費が重要なレースでは武器になります。
同窓会の方は最後に恒例の参加者プレゼントを行った後(私も僭越ながら、テストコースのゲストに差し上げるギフトバックをいくつか持っていきました)無事に終了し、名残惜しみながらも、翌日のカレラS返却のため局長組は早々にサーキットを後にしました。

ギフトバッグ希望者とのじゃんけん大会(^O^)/
帰りは2315君が別行動となり、局長、MDiさん、私の3人での移動でしたが、そのおかげでカレラSは殆ど私が運転して帰りました(^O^)/
そこで、局長にも話を振られましたカレラSのインプレッションなんですが、やはりここはベスモの精神を受け継ぎ、率直な意見を述べたいと思います。

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まず、東京から岡山への道中で高速を運転した時の印象は正直良くありませんでした。前にも書いたように私がポルシェをすごいと思う一つは、俗に言うオンセンターフィールと呼ばれる領域において、文字通り指一本の動きでフロントが自然に追従してくる所なんですが、このカレラSはあきらかに初期応答で遅れがあり、そしてそこからのゲインカーブも非線形感が感じられました。又ポルシェの代名詞と言える剛性感ですが、リアの横剛性感もいまいちです。2315君がグローブボックスの中にあった使用履歴を見たところこの車両はサーキットイベントなどにも使われていたようで、結構酷使されていたせいでは?という意見も出ましたが、走行距離は9000km程度であり、あのポルシェがサーキットで使われたからと言ってその程度でへたるというのも少し信じがたい話です。
タイヤは純正のP-Zeroが装着されてましたが、私のフィーリングとしてはタイヤのブロック剛性がそれほど高くなく、ねじれ剛性が弱い感じで、更に991は電動パワステですので、それと相まってダイレクト感が希薄であるように思えました。一応Sport+にしてみると若干改善されましたが全体の傾向は同じでした。
一方サーキットでの試乗は流石911、トラクションの塊でした。進入でオーバーになるような状態だと、トラクションがかかる前に横に逃げ続ける感が強いですが、一旦縦方向にタイヤのグリップを使い出すと、どこが限界なのかウェットでは予測しづらい程です。逆にフロントはスリップアングルが大きい領域でアクセルを入れるとフロントのグリップが抜けやすく、ウェットはプッシュアンダーが強くなりますが、路面がドライであれば又印象も変わるでしょう。エンジンはSport+では非常にトルク感があり、バリオカムが切り替わると一気に吹け上がります。そしてブレーキも若干初期制動が強い感じもしますが流石ポルシェ、非常に安心感がありました。
そして帰りの道中、実は往路で感じていたオンセンター感が劇的に改善されました(^O^;詳しいタイヤの状態は不明ですが、新品に近かったのかも知れません。中山での走行はウェットでしたのでそれほどタイヤは摩耗してませんでしたが、丁度タイヤの慣らしが終わったような状態になり、本来の性能が出てきた可能性があります。依然として私のケイマンRと比べると初期の応答は若干遅れますが、それでも「そうそう、この感じがポルシェだよね」というフィーリングは感じられました。YouTubeにアップされてるレビューを見ると、ダイレクト感について同じような意見を述べている物も見受けられるので、私が感じた事もあながち間違いではないと思われます。。。、
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と、今年のベスモ同窓会は以上のような感じで終了しましたが、何と言ってもカレラSを運転する機会を与えてくださった局長には本当に感謝です!m(_ _)m
又、同窓会当日の進行を担当した田部さん、波田さんと教官仲間の方々、とにとにさん、本当にお疲れ様でした!
世代を越えてベスモという共通項で集まり、それに当時のキャスターの方まで加わって様々な思いを語り合い、実際にサーキットで実践もしてしまう、こういうイベントは他に例が無いですし、何より局長の熱意と行動力、そしてサポートを厭わない周りの人達と築き上げた信頼関係には驚愕すら覚えてしまいます。是非、可能な限り続いていって欲しいと心から願いますし、その為に私も出来る限りの事をしたいと思います。是非みなさん、又来年中山でお会いしましょう!(^O^)/