
「ポー~~。。」
稲ワラスモッグの香りが涼しげな夜に立ち込めるこの季節。
時計の針が21時を回った頃に、はるか遠くから軽快な音が近づいてくる。
「来た!」
心の中でそう叫んだ僕は500円玉を握り締めて、もう小路を走っていた。
「音はどっちだ?」
北に南に耳を傾け、必死に"あの音"をめがけて足を高くあげる。
遠くにぼんやりとした灯りが見える。
外の凛とした冷たい空気が、その灯りを一層暖かく引き立てる。
息を切らしてようやく灯りに追いつきそうになったボクは、
フレディーマーキュリーばりに
(マサレガ出版より引用)右手を高くあげた。
軽快な音は止み、暖かい湯気を出したトラックが道路脇に止まった。
「まいどぅ!」
無精ひげを生やしたおじさんがトラックを降りると同時に威勢の良い声をかけてきた。
戦争で失われたのか、右腕がない。
でも、おじさんの笑顔はそんな悲しい歴史を吹き飛ばすくらい最高だ。
僕はすこし恥ずかしげに言った。
「焼きいも1本ください。。。」
おじさんは手馴れた手つきで荷台に積んだ焼釜をまさぐる。
「あいよ!1本でいいのかい?じゃ、大きいのあげようね。」
昔懐かしい茶色の菓子袋におもむろに大きなイモを放り込むおじさん。
袋の上には湯気が立っている。
湯気とおじさんの顔がシンクロして、僕は焼きいもを食べる前から
暖かい気持ちでいっぱいになった。
おじさん: 「530円」
ぼく: 「えっ」
おじさん:
「530円!」
500円玉を握り閉めた僕の手のひらから、汗がスーっと引いていった。
おしまい。。
フィクションですよ。。
いや、ついさっき焼きいもが家の前通ったもんで。。
みなさんのところにも来るのかな?
おいしそう!なんて近寄って2本も3本も買ったら大変!
意外なほど高額な請求がきます(笑。
いも代+風情代 と言ったところでしょうか。。
画像はヒロイモノ
Posted at 2005/09/28 22:23:24 | |
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