レジェンド生産中止は本当にガセ報道なのでしょうか

物議をかもしたレジェンド、エリシオン開発中止の記事。
結局、記者会見で社長自らが開発は続けると発言したことで、あのネタはガセネタということになっていますが、果たしてそうでしょうか。
企業広報を約8年間やっていた経験から、思うところを述べたいと思います。

まず、あの記事の情報源はどこかといいますと、これはホンダ社内、しかも役員クラスだと思われます。
（ホンダの社内であることは100%と言い切ってもいいと思います）
日経新聞が記事を書くときは必ず裏をとります。記者はスクープ記事をかいてナンボと思われているかもしれませんが、正直そんなスクープは転がっていません。企業が発表したもの以外の記事は、ほぼ記者に企業サイドから情報を流しているか、あるいは、記者が○○について取材させて欲しいといわれ、その取材をもとに、記者が記事に書いています（日産とルノー提携のように本当にスクープもあるのでしょうが）。そうじゃないと、あんな具体的な記事はかけません。

そもそも、今回の記事ですが、開発中止ばかり大きくとりあげられていますが、ポイントは
①新興国向けの超低価格車の開発に経営資源を集中する
②年間生産能力は計１３０万台。国内需要は減少が見込まれるうえ、海外生産への移管も進むため、将来は７０万～８０万台程度に削減することを検討
③ＨＶに資源を集中させる

ということがメインだったはずです。
それが、なぜだかレジェンドの事が大きく取り上げられてしまいました。
これは、ホンダの意図したものとは違ったはずです。
ホンダの広報の人は怒ったでしょう。

ただし、今回の件では、取材中にホンダサイドからは「レジェンドやエリシオンの開発は中止する」という発言は確実にあったはずです。
でなければ、あのような記事にはなりません。

しかし、会見で社長は否定しました。
理由としては
①発言者はレジェンドの開発中止論者だが、各役員のコンセンサスは得ていなかった（注）
②本当は開発中止をしているが、現段階で開発中止というと、協力工場やユーザー等色々と迷惑をかけるので、とりあえず、あんな記事をかかれて怒っているというふりをしている
③3年後くらいに出るとうわさされている、大型セダンのハイブリッドモデルを次期レジェンドの開発といっている
④レジェンドの開発は中止していない。

だと思うのですが、個人的には①か②（希望的に③）ではないのかなと思っています。

もちろん、ここに書いているのは私の勝手な推測で、2年後に新型レジェンドが発売されたりするかもしれませんが、社長が記事を否定したからといって、それが正しいとも限りません。記事が出て、それを否定したにもかかわらず、実際は記事どおりになったという例はかなりありますので。


（注）昔、某メーカーの金融子会社が上場するという記事が1面を飾ったことがあります。結論は上場しなかったのですが、これは、上場推進派の役員が日経にリークをして先に記事をかかせて外堀を埋めてしまおうとしたものです。結局、反対派の意見が勝ち、上場は見送られ、日経はガセネタを掲載したことになってしまいました。