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一番槍のブログ一覧

2006年12月12日 イイね!

ニートなサンタクロースとツンデレトナカイ

去年、VIPで拾った小説を公開。
最近、VIP行ってねぇなぁ。

ニートなサンタクロースとツンデレトナカイ

「バカサンタ、行くわよ」
「イヤだ。大雪だし寒いしエロゲまだクリアしてないし」
「…あのねぇ、『1年365日のうち、1日だけ働けばいいじゃん、ラッキー!』って
この職に就いたのはアンタでしょ。その1日にサボってどうすんのよ」
「でも、いまどき誰もサンタ信じてる奴なん、ぐぼぇ!」
「うるさい、つべこべ言わずに準備! 5分で着替えなさい。10分後に出発だからね」
「…サー、イエッサー」

「準備できたよ」
「遅い。2分もオーバーしてるじゃない。何やってたの」
「う、ゴメン」
「はぁ。ま、いいわ。行きましょ」
「待って」
「なに、今さら行きたくないなんてーー  え?」
「僕だけ橇に乗るのって何か不公平っていうか、それに、やっぱり外は寒いよ。
だから、あったかくしとかなきゃ」
「バカ、わたしはそういう役目だから良いのよ。マフラーなんて…
ね、これ、もしかして…」
「うん。男の癖にー、なんて言われるかもしれないけど、編み物は得意なんだ」
「…そう。でも、ちょっと派手じゃない? 赤と緑なんて」
「クリスマスをイメージしてみたんだけど。ダメかな?」
「そんなこと… ありがと」
「え?」
「な、なんでもないわよ。ほら、時間」
トナカイは首にマフラーを巻くと、僕に背を向けた。
髪が揺れ、真っ赤に染まった耳がちらりと見えたが、すぐにまた、隠れた。

「はっはっは、見ろ、人がゴミのようだ」
「何か言った?」
「いえ、何でも」
僕とトナカイは空を駆けていく。
クリスマスイブ。
家族連れ、恋人たち、無数の人々が街のイルミネーションとざわめきの中、
それぞれの時を過ごしている。
「何処に向かってるんだっけ?」
「ちょっと、昨日チェックするように言ってたでしょ。見てないの?」
「あ、そういや、なんかメモを渡されたような…」
「…あんたって学校で教科書とか良く忘れるタイプでしょ?」
「すごい! なんでわかったの?」
「わかるわよ。まったくもう… 前日に次の日の準備をするのは基本でしょ?」
「おお、優等生っぽい」
「…サンタクロースが飛び降り自殺ってニュース、明日のyahooニュースに載せたい?」
「ごめんなさい」
「はぁ、それじゃ、ターゲットの確認を」
「あ」
「なに?」
「いや、もしトナカイが僕と一緒の学校だったら教科書見せてもらえたよなって思っただけ」
「な、バカ、なに言ってんのよ。ていうか教科書は持ってきなさい!」

ターゲットは小学校2年生の女の子。プレゼントはニンテンドーDS本体と「どうぶつの森」。
「…微妙にリアルだなぁ」
「いいじゃない。その子、早くにお父さんを亡くしてね。お母さんと2人で暮らしてるらしいの。だから無理を言えないのね」
「そっか」
遠くに住んでいる自分自身の両親に思いを馳せる。まさか2人とも自分の息子がサンタをやっているとは想像もしていないだろう。
「トナカイって、家族は、どうしてるの?」
「うちも母子家庭よ」
「え」
「ん、気にしないで。良くあることだし、お母さんは明るい人だったから辛いとか苦しいとか思ったことないわ。…はい、この話はおしまい!サンタの袋あるでしょ? プレゼント用意して。目標はもうすぐよ」

街の喧騒から離れた場所にそれは建っていた。薄汚れた、2階建てのアパート。窓越しにテレビ番組の音が聞こえる。
「まだ、起きてるのかな?」
トナカイは顔を曇らせた。
「そうかもしれないわね。イブだし、お母さんの帰りを待ってるのかも」
「…どうしよう?」
5秒ほどの沈黙。
「わたしに任せて」

ぴんぽーん。
「はーい」
ドタドタと玄関に向かって近づいてくる足音。
「…本当に、大丈夫?」
「大丈夫」
やけに自信満々なトナカイに逆に不安を覚える。
ドアが開く。
「あ、あの、…どちら様ですか?」
大きなくりっとした瞳が特徴的なその女の子はおずおずと、トナカイと僕に向かって言った。
「こんばんは」
ニッコリとトナカイは微笑んだ。女の子はまだ不審と警戒を捨てなかったものの「あ、こ、こんばんは」とはにかんだように答えた。
「わたしはトナカイ。この人がサンタクロース。今日はね、プレゼントを持ってきたの」
正攻法。それがトナカイの選んだ方法だった。
「嘘はつきたくないし、法律に触れることもしたくないの。お願い」
僕の答えは最初からひとつだった。
「うん。僕はトナカイを信じてる」
そう言った瞬間、トナカイは真っ赤になり、顔を伏せた。小声で何かつぶやく。
「ありがとう」
そう、聞こえた。

「サンタさん?」
女の子は明らかに疑いの目で僕を見ている。
そりゃそうだろうなぁ、と僕はしみじみと思う。自分で自分を見てもピザ配達のお兄さんがサンタの格好をしただけにしか見えない。
「そう。サンタさん」
女の子とは対照的にトナカイの声は自信に満ち溢れている。
「でも、お母さんが知らない人と喋ったりついていったりしちゃいけませんって」
「ね、キミはサンタクロースを信じてる?」
「ううん」
女の子は首を振った。
「サンタなんて、いないの。…いらないの」
「わたしもね、そう思ってた」
僕はトナカイを見る。穏やかな、母親のような顔だった。
「ね、サンタってどんな人だと思う?」
女の子は僕を見、トナカイを見た。
「ヘンなの。だって、お兄ちゃん、サンタなんでしょ?」
「あはは、うん、そうだね、ヘンな質問だよね」
トナカイは女の子の言葉に同意すると僕に微笑みかけた。
「あのお兄ちゃんは確かに普通っぽいし、ぜんぜん気が利かないし、鈍いし、お馬鹿さんだけど、でも、サンタなの。どうしてだと思う?」

どうしてなんだろう、と僕も思った。
ネットで怪しげな求人広告を見つけ、半ば冗談で申し込んだら、その翌日には採用メールが届いていた。でも、そもそも僕自身サンタになりたかったわけじゃない。サンタを信じているわけでもない。イブなんてなくなればいい、とまでは思わないけど積極的に何かイベントをしようとも思わない。
ーーどうして?
「サンタになる資格はね、たった一つなの。それさえあれば誰だって、キミだってサンタになれるんだよ」
女の子はすっかり話に聞き入っている。もちろん、僕も例外ではなかった。
「本当? わたしも、サンタさんになれるの?」
「本当よ。でも、サンタになったらプレゼントもらえなくなっちゃうけど、いいのかな?」
「あ。えーと、うーん。でも、いいよ!わたしサンタになってお母さんにプレゼントあげるの!」
「そう」
トナカイは微笑んだ。その笑みは僕がいままで見た中で、
もっとも美しく、もっとも儚く、もっともーー哀しかった。
「じゃあ、教えてあげるね。サンタになる資格はね、生きることなの。生きのびること
「え、それだけ?」
「そうよ」
トナカイは頷く。女の子も僕も戸惑いを隠せずにいる。
「どんなに汚くても惨めでも辛くても、今日を生きるの。それを繰り返して、いくつもの『今日』の思い出が積み重なって、その一部を誰かとわかちあいたいと思ったとき、一緒にいたいと思ったとき、その人は誰かにとってのサンタになれるんだよ」
何かに打たれたように僕は立ち尽くしていた。
僕は何かを忘れている。
僕はーー

トナカイの言っていることが女の子に完全に理解できたのかはわからない。でも、トナカイの穏やかで真剣な声に何かを感じたのか女の子は「うん!」と元気に頷いてみせた。
「でもね、資格だけじゃダメなんだよー?」
一転して悪戯っぽく笑うトナカイ。
「あのお兄ちゃんなんて半分くらい運でサンタになったんだからね。ちゃんと努力しなきゃダメだぞ?」
あはははは、と明るく女の子とトナカイは笑い、
「ね、受け取ってくれる?」
プレゼントを取り出した。
「あ、すごーい! でぃーえす! どうぶつの森も! …いいの?」
「うん、サンタの喜びはキミが喜んでくれることだから」
「ありがとー!」
女の子はぴょんぴょん飛び跳ね、トナカイに抱きついた。トナカイは女の子の髪を撫でながら僕にウィンクをしてみせる。僕は笑顔でそれに答えながら、忘れたはずの記憶を思い出していた。

「お疲れさま」
「お疲れ。やれやれ、やっと終わったよ」
夜の公園。
空を飛ぶときに使うのと同じ結界を使用しているため僕とトナカイに気づくものはいない。
「今日は、その、ありがとね」
「あ、こちらこそ。ていうか、むしろ僕の方こそ、ありがとう。橇に乗ってプレゼント配るだけだったし、仕事量で言えばトナカイの方がーー」
「違うの、その、わたしが言ってるのは最初の…」
「あ、ああ」
なんとなく2人とも黙り込んだ。
「…本当はね、いけないことなの」
「え?」
「如何なる理由であれサンタは子供の前に姿を現しちゃけないのよ。それに、眠ってないなら順番を最後にすればいいだけでしょ? おかしいと思わなかった?」
「そういえば… ぜんぜん気がつかなかったよ」
「あなたらしいわね」
いつもの皮肉は含まれていなかった。
「だから、改めて言わせてもらうわね。…わたしを信じてくれて、ありがとう」
「どういたしまして」
顔を見合わせる。心なしかトナカイの顔が赤くなっている気がした。
「どうしたの、もしかして風邪ひいた?」
「え、な、なんで」
「顔が赤いよ」
「こ、これは… っていうか、やっぱりバカ。バカバカバカバカ」
ぽかぽかと叩いてくる。
「え、ええっ?」
「何年待ったと思ってるのよ! このバカ! 鈍チン!ずっと、ずっとーー」
「知ってる」
「え?」
「思い出したんだ」
そう。
あれは僕とトナカイが小学校2年生のクリスマスイブのこと。僕とトナカイは同じアパートに暮らしていた幼馴染だった。その日、互いの両親がどちらも仕事で家に戻れず、「せっかくのイブなのに…」と泣きじゃくるトナカイのために僕はサンタの格好で彼女を訪れたのだった。
「なにそれー、へんなのー」
僕の手作りの衣装は容赦なく彼女に笑われてしまったが、それでも僕は満足だった。
「ねー、またやろうね」
2人だけのクリスマスパーティ。指きりげんまんをして別れた。
でも。
その数日後、僕は発病した。やけに長たらしい病名で、少なくとも風邪ではないことは確かだった。その療養のため引越しが決まり、彼女に挨拶することすらできぬまま、僕はその場所に戻ることはなかった。

「心配、したんだよ。もしかしてっ、て。もう会えないかも、って。友達が凄い大げさにキミの病気のこと話してたから」
「うん」
「わたしの配属先が決まって、どんな人だろうって思ったらキミで。でもキミはわたしのことなんか全然忘れていて、だから…」
あの女の子を放っておけなかった。ひとりぼっちのイブに誰かを待ち続ける少女のことを。
「もう一度」
「ん?」
「もう一度、2人だけのクリスマスパーティを…」
「うん」
僕は息を吸い、彼女を見つめる。濡れた黒い瞳が目の前にある。緊張する僕に彼女は不安そうに
「やっぱり、トナカイはイヤ…?」
「え?」
「だ、だって、男の子って、水着とかナース服とかが好きなんでしょ?わたし、トナカイだし、色気もないし、そ、その、胸も…」
トナカイの暴走に僕はやっと彼女も緊張しているんだと気づいた。
「いいよ」
口付ける。
「トナカイだろうがなんだろうが構わない。僕は君が好きなんだ」
大きく目が見開かれ、涙が彼女の頬をつたった。
2度目のキス。
誰にも見られていないことをいいことに僕らは激しく深くキスを交わした。

後日談。

「ほら、なにやってんのよ! 早くしないとイブが終わっちゃうわよ!?」
「待って。まだ昨日録りためたアニメ見終わってなーーぐげっ!」
「なに、なにか言った?」
「…いえ、何でも。すぐ着替えます」

ーー橇に乗って僕らは今年もプレゼントを配りつづける。
「そういえば」
「なに?」
「ほら、前にサンタになる資格って言ってたじゃん。あれってさ、トナカイの場合はどうなんだろう?」
沈黙。
「あ、あれ? トナカイさん?」
「……なこと」
「え、ゴメン、聞こえなかった」
「……」
トナカイは真っ赤な顔でこちらを見ると
「サンタクロースを好きなこと!」
と何故か叱りつけるように言った。
「もう、2度と言わないからね、聞かないでよね」
「えーと、ゴメン、聞こえなかった」
雪混じりの風が空に吹き荒れていた。
トナカイは口を閉ざし、大きく息を吸うと
「このバカサンタっーーーーー!」
「う、うわ、やばい、マジ、落ちる、落ちるーーっ!?」
雪と一緒に僕は落ちていく。
慌てて走りよってくるトナカイを視界にとらえながら僕は眼を閉じてつぶやいた。
「メリークリスマス」


<終>


トナカイさんにテラモエス
Posted at 2006/12/12 23:18:04 | コメント(1) | トラックバック(0) | VIP | 日記
2006年12月12日 イイね!

ドラクエ9はニンテンドーDSだってーーー!?

スクエニ:ドラゴンクエスト9、ニンテンドーDSで発売へ
12月12日15時54分配信 毎日新聞 まんたんウェブ


 スクウェア・エニックスは12日、シリーズ4000万本以上を出荷した「ドラゴンクエスト」シリーズの最新作「ドラゴンクエスト9 星空の守り人」をニンテンドーDS向けに発売する、と発表した。2007年発売予定で、価格は未定。 (ゲーム画面はこちら)

 「ドラゴンクエスト」シリーズは、プレーヤーが主人公となり、剣や魔法のファンタジー世界を舞台に冒険活劇を繰り広げるRPGの人気作品。シナリオは堀井雄二さん、キャラクターデザインは「ドラゴンボール」の漫画家・鳥山明さん、音楽は作曲家のすぎやまこういちさんら各分野の人気作家が担当している。「ドラゴンクエスト8」を手掛けたレベルファイブ(福岡市中央区)が開発する。

 第1作は86年、前身のエニックスからファミリーコンピュータ用として発売され、150万本を出荷。一時は、ソフト欲しさの窃盗事件が起きるなど社会現象にもなった。04年11月に発売された最新作「8」は360万本を出荷し、同年で最も売れたゲームになった。


これにはまいった。
ニンテンドーDS買わないといけないじゃないか!!
FF派の人もいると思いますが、一番槍は断然ドラクエ派なんですよね。
だって、新しいFFやってると、目がちかちかしてくるんですもの。
3Dは目が疲れる。。。

DSライトは未だに品薄みたいですが、まぁ、来年なら大丈夫かな、かな?

と、ここまでかいて、ドラクエ8をクリアしてないことを思い出した(´・ω・`)
いつやろーかな?
Posted at 2006/12/12 20:46:30 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日常あるいは平穏な日々 | 日記
2006年12月12日 イイね!

火曜日は

火曜日はカレーの日。
もぐりもぐり♪

今日は納豆はお休みしてもらった。
もぐもぐ( ̄~ ̄)
Posted at 2006/12/12 13:12:11 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日常あるいは平穏な日々 | モブログ

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