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2005年04月01日

可変圧縮比エンジンとは

可変圧縮比エンジンとは Muraさんのブログで取り上げられた、日産の可変圧縮比エンジンですが、車雑誌の筆者のレベルが低く、機構の解説がまともに出来ないのではないかとのやり取りをしたなかで、ご要望があったので非常~に専門的になりますが、可変圧縮比エンジン(以下VCR-EG(Variable Compression Ratio Engine))について取り上げたいと思います。

エンジンは走行状態により、低回転から高回転、定負荷から高負荷までさまざまな条件で使われるので、なるべく広い条件で効率が上がるように、バルブタイミングやバルブリフト量、吸気管長など色々な部分を変化させて性能を引き出すように考えられています。

ですから、圧縮比自体を変化させるVCR-EGは画期的な技術と言えます。

圧縮比は、ノッキングが発生しやすい低回転・高負荷時の条件によって決まるため、ノッキングが発生しにくい高回転域では圧縮比を上げてトルクを引き出すことが可能です。

また、ターボでは最大加給圧によって圧縮比が決まってくるので、加給圧の低い低回転域では圧縮比を上げてトルクをひきだし、加給圧の高まる高回転域では圧縮比を下げて異常燃焼を抑えることが可能となります。

この、VCR機構については、サーブ、メルセデスベンツ、フォード、ボルボなど多くの会社が研究をし、機構の重量増によるデメリットによって量産車に採用されていないものです。

なかでは、サーブがシリンダーブロック全体を箱の蓋みたいに、動かして圧縮比を変えるエンジンを2000年に発表して、ベストテクノロジー賞や翌年にインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーでベストエンジンコンセプト賞を受賞しています。

このように、VCR機構は様々なものが考案されていますが、今回日産が発表した物はマルチ・リンク・コンロッドと呼ばれる機構です。

私が調べたところでは、2000年頃から今年まで、このVCRに関係する特許を80件以上申請しています。

その中でも、根幹となる技術は2001年11月16日に公開されている「内燃機関の可変圧縮比機構」と言う特許に記されていますので、そのあたりを中心に解説します。

どうしても、専門用語が多くなる部分はご容赦下さい。

図は、公開特許からの説明図を使用しています。図をクリックして大きくして見比べながら読んで貰うと分かりやすいと思います。(著作権上まずければ消しますがその前に理解してください(笑))

右下の図が基本的な可変圧縮エンジンの機構で、8のリンクを12の偏心ピンによって引っ張ったり、伸ばしたりすることのよって、ピストンの上死点を変化させます。

左上の図が、機構をコンパクト化して実用化に近づいたもので、クランクシャフトのクランクピンとコンロッド間に入るリンク部分が右上の図となっていますので、そのあたりを見ながら説明すると...


★構造
クランクシャフトと平行なクランクピン(左上図16)を右上図真ん中の部材(21)でくわえ込みます。この部品はクランクピンと固定されず自由に回転出来ます。

この21番のクランクピン軸受けを両側から、右上図の左右のリンクで挟んで、ピンを45a-33-45bと46a-34-46bと言う具合に通して固定します。

そして、このリンクにある41の穴に、ピストンからのコンロッドが接続されて、42の穴にシリンダーブロックに固定されて偏心ピンによって伸び縮みするアーム(左上図23、右下図8)が接続されます。


★動き
一般的なエンジンは、ピストンとクランクシャフトピンがコンロッドで接続されています。

これに対して、VCR-EGは、コンロッドとクランクシャフトピンの間にもう一つリンクが入った2リンクになります。しかも、その2リンク目は揺動アームによって一端が固定されている形です。

左上の図で考えると、28のリンクが24,25の偏心カムによって伸縮すると22の第2リンクが回転して、63の穴がピストン直下に来たときに最も上死点が上がって、圧縮比が高くなります。

図の状態では、すこしリンクが伸びて、コンロッドが鉛直軸に対して斜めになっている分、上死点が下がって圧縮比が下がった状態です。

ここまでを理解したら、左上の図でピストンが上下に動いた状態を想像してみてください。

注目するのは、61-62-63の三角形でこの三角形の形は変わりません。
クランクピン中心の61はクランクシャフトの周りの円周上(点線)を回り、ピストンが上死点から下死点に移動すると、クランクシャフトは180度回転するので、63のコンロッドの第2リンクとの接続点63は楕円形の軌跡を描きます。

だいたい動きがみえてきたでしょうか??

上死点を変えると下死点も変わりピストン行程は同じになると思います。日産の発表では、上死点を5.5mm変更できるので、そのことによって圧縮比は8~14で変化するとのことです。
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Posted at 2005/04/01 12:58:07

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この記事へのコメント

2005年4月1日 23:08
し・しまった・・・Ichiさんがこんな力の入ったブログを公表しているとは知らず、かなり飲んでました。特許情報まで調査いただきありがとうございます。
娘と遊ぶのも拒否し、読んでいたのですが・・・
酒に酔った頭でも、イメージだけはつかめました。あまり、大きくは変化しない気もするのですが、5.5mmで14~8という変化になるんですね。
Ichiさんもおっしゃられてますが、エンジン技術において基本的な課題にアプローチしていて画期的ですよね・・・久しぶりに日産に「オッ!」と思わされました。
また、明日・・異動による引越し作業から解放されたら、読み返してみます。(でも、SH-AWDのように換算方式が変わったゆえの前後3:7~7:3の謎と違い、機構から追えるのでわかりよいです・・というか、非常に工学的な内容であることに間違いありませんが(笑)
コメントへの返答
2005年4月2日 0:17
ブログは残っていますので、娘さんと遊んであげてくださいね(^^) あまり工学的なネタになってくると、ぐっと見る人も減るみたいなので、ひっそりと図など残しておくつもりです(笑)

リンクの動きとか、幾何学の問題のようです...アニメーションでもあると分かりやすよね。
日産から発表されて、レスポンスなどの記事になったときに、多少調べてあったのですが、特許は公開データベースがあるから、ネットで簡単に検索できますよ。

引っ越しなんですか!大変ですよね~。私は、6月末に転勤による引っ越しがありそうなので、いらない物をオークションに出したりして処分をしています(^^;



2005年4月2日 2:53
MuraさんのVCRブログの時にもコメしようと思ったのですがその時は時間が無く流してしまいました。Muraさんゴメンなさい<(_ _)>
VCRは私も棒雑誌を介して知りこれは期待できるなぁと思いました。
実際に市販化され耐久性や特性など気になります(いい意味で)
聞いた話ですが日産は「技術の日産」の復権を考え2000年以降、研究開発費は毎年15%、人員も10%のペースで増加させて売上高比率も年々増えてるそうです。又、昨年1年間の特許出願数は4000件以上も申請したそうです。昨今の経営状態から考えても、これからの日産に期待が持てそうだと私は思ってます。
なので2007年に出てくるであろうGT-Rが非常に楽しみであります!
コメントへの返答
2005年4月2日 8:16
こんにちは。
このVCRと電動ターボは市販車に搭載されるのが楽しみですね!
現在の国内シェアはトヨタが一人で50%に迫ろうかと言う、独走状態なので、以前みたいに日産にも頑張ってもらいたいです。

収支上はかなり改善したので、おぉ!と言われるものを開発してほしいですね。「技術の日産」と言うフレーズ自体、今の若い人はしらないでしょうから(^^;

GT-Rは買えない無いでしょうが、私も非常に楽しみです。最近では、ティーダとか良い車だと思うし、フーガも食指を動かされました。

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