岐阜県のレガシィ、インプをターゲットにした某ショップから、超粘弾性オイルが発売になり、話題になっています。
超は付けてみただけ!って感じですが、そろそろネット上でも使用した人のレポートが出てきていますね。
粘弾性と言う言葉が聞き慣れないので、新しい物だと期待している方も多いようですが、これはぜんぜん新しい物でもなんでもありません。
元は、アメリカの企業が特許を持っている物で、愛知の東洋システムが輸入販売している、RESPOと呼ばれる製品のOEMです。
http://www.respo.net/
RESPOのHP↑の、ニューリリース12月30日にZERO SPORTSからOEMで発売されることが書かれていて、内容的には添加剤はRESPO EMDと同等と思います。
オイルも同じくです。
ZORO SPORTSでは、ボクサーエンジン専用と言っていますが、別に前からあるオイルで、取り立てて騒ぐ物では無いと思います。
最初のRESPOが、ポルシェのオイル上がりに効果があったと言う話から、ボクサーエンジン専用なんて話が出てきたと思われます。
だいたい、BE-UPをはじめとする、非ニュートン系と騒いだオイルは、粘弾性オイルのことです!!!
自動車用粘弾性油膜形成剤は、23年も前から添加剤好きには使われてきた物で、いまノッているZERO SPORTSが発売したことで、今まで知らなかったスバルファンを取り込んだと見るのが正しいでしょう。
他にも、東京のZEROと言う会社でも販売しているようですが、商売のうまさで、ZERO SPORTSの勝利と言う感じでしょうか。
オイルが出来るまでで書きましたが、地下深くで出来た原油には、は天然ポリマーと呼ばれる油膜形成物質が含まれており、このポリマーの一つが粘弾性油膜を形成する性質を持っています。
粘弾性とは、流体物理学の言葉で、簡単に言うと粘性(液体の性質)と弾性(固体の性質)を兼ね備えた物で、代表的な物としては、ゴムのトルエン溶液、寒天のゲル、でんぷん糊などがあります。
寒天をお湯に溶いた物や、でんぷん糊だと思えば身近な物に感じるでしょう。
粘弾性の物理的特徴としては、
(1)ワイゼンベルグ効果(Weissenberg Effect)
力のベクトルに対して、垂直方向の力が発生する性質で、摺動部分にオイルが絡みついて、巻き上がるのはこの効果のためです。
(2)バラス効果(Barus Effect)
垂直面に付いたオイルに、重力が働くと、膨れあがる効果。オイルにこの効果があると、油膜が厚くなると考えられる。(が添加剤でオイルがそこまで変わるか調べたことはありません)
(3)トムズ効果(Toms Effect)
流体間の摩擦抵抗が少なくなるという効果。本当ならば、オイルの粘度が下がったような効果が得られるはず。
と言ったものがあります。
それで、効果のほどですが、通常の純正オイルでも油膜切れなんかすることはありませんが、これを添加することによって油膜特性が悪くなることは無さそうです。
ただ、オカルト製品(マグネットなど)を自動車メーカーが何故採用しないか?(これは効果が無いと言うのが大部分ですが)と同じように、石油メジャーは何故採用しないのでしょうか??
いや、使われるところには使われているのですが(適材適所に)、内燃機関のオイルとして使われていない現実を考えると、答えは見えてくるのではないでしょうか。
おそらく、一番の理由は強い油膜保持は魅力ではあるが、長期的に内燃機関に添加した場合・・・特に一般ユーザーの使用を考えると、粘弾性油膜形成剤は高分子ポリマーなので、スラッジの元となりマイナス面の方が大きいとの判断だと思います。
それに、金属面への吸着力ではエステルの添加で、低粘度オイルまで十分エンジン保護が可能と考えてると思われます。
エンジンノイズは、摩擦音ではなく(金属同士が直接摩擦したら即焼き付きますので)、爆発の透過音以外は、タペットを叩く音や、カムの駆動音などなので、油膜が厚くなったり、テフロンでもチタンでも何か挟まれば静かになります。
なので、「エンジン音が小さくなる=摩擦が減る」ではないので、そのあたりに騙されないようにして下さい。
あと、色々な燃費向上グッズは夏前に投入という業界原則があります。
これは、気温が上がると車いじりがし易いということもありますが、空気密度の関係から、エアコンの使用を考えても燃費が向上して、製品による効果と思うためです。
個人的には、コストパフォーマンスが悪いことと、どうしてもスラッジの心配があるので使うことは無いと思います。
現状の高性能オイルを求めるなら、PAOベース+エステルの化学合成オイル(カストロールのシントロンやモービル1RP等)を入れておくのが、普通のオイル+添加剤よりも良いでしょう。
Posted at 2005/05/02 17:26:30 | |
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