高速道路などで降雪があると、作業車が走り塩カルを撒くのを見たことがある人も多いことでしょう。
また、寒冷地では坂道などにタイマーで自動的に塩カルを撒く機械も設置されていますし、10kg袋などが安くホームセンターで売られているので、各家庭でも購入して自宅前に撒くため、道路が乾燥すると塩で真っ白になり、風によってその塩が舞うくらいになります。
当然、車などに良いわけもなく、錆の原因になったり、電力設備にも風などで飛んだものが付着して、海岸近くと同じように絶縁低下を招く塩害が発生することもあります。
一般的には塩カルと呼ばれていますが、塩化カルシウムの略であり、融解熱で雪を溶かすタイプです。他には炭など熱を吸収して溶かすタイプなどがあります。
融雪剤市場全体で見ると、食塩である塩化ナトリウムが8割弱近く、残りの2割強近くを塩化カルシウムで占めています。そして、この塩化カルシウムの過半数が道路に撒かれているとの報告になっています。
最近は塩害が問題とされ、窒素系、酢酸系、尿素系なども出てきていますが、まだ全体の1%程度しか使われていないのが実状です。
やはり、塩を使った物が費用も安く、効果も高いため圧倒的に多く使われています。
塩カルは、スパイクタイヤの使用が禁止されて頃から急速に需要が増え、毎年3万トン近く使用量が伸びています。考えてみると、融雪剤市場が毎年61万トンを超えていて、それに近い塩が冬の間に撒かれているわけだから大変な事でしょう。
海と同じ3%の食塩水にしたならば、東京ドーム公式HPにある容積をもとにして東京ドーム約16杯分の海水を撒いたことになりますが、こう考えると大したこと無いかな?(^^;
たまにスキーに行く人は、帰ったら洗車すれば良いですが、降雪地帯に住んでいる人はいちいち融雪剤を気にしていたら車に乗ることが出来なくなります。
なので、暖かくなるまでほったらかし、下回りもその間は塩だらけと言うのが実状でしょう。
私の車も、ボディは高圧洗浄機で洗ったりしますが、それでも乾いてみると写真のようにラジエターは白く塩の結晶が出ているし、エンジンにもびっしりと付着しています。さらにひどいのは下回りで、デフオイルの交換のためシャワーをかけてから下に潜ってみたが真っ白に塩が付いていました。
このように降雪地帯の車はかなり過酷な条件ですが、最近の車は防錆技術が上がり、こうした条件で10年間使用しても錆びて穴が空くなんて事は無くなったのは凄い事だと思います。
一方で、某メーカーの軽自動車は、雪道を走ると融雪剤により3年程度でハブが錆びてダメになると言う報告がなされているにもかかわらず、この某メーカーは雪道走行は考慮していない(国産車で国内販売しているにも関わらずこの言い訳)と言ってリコールしていないもようですが、こんなメーカーの車は乗りたく無いですね。
Posted at 2005/02/28 16:28:30 | |
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