ガソリンの話は、
ガソリンの真実とは
で書きましたが、もう少し燃料として化学的に考えてみます。
web上でガソリンの話になると、先のように、どこの会社のガソリンが良いのか?とか、プレミアム仕様の車にレギュラーを入れても良いか?と言う話題がほとんどだと思います。
これに対して、web上の回答の多くは、エネオスが良いらしいとか、レギュラーガソリンを入れても壊れないけど燃費も悪くなるから、実際は得にならないと言うものです。
この点は、化学的にガソリンを捉えていればおのずと答えが出るというか、燃料の理論は簡単なのです。
燃焼効率と理想空燃比とはで書いたように、現在の燃焼効率は98%近く(ディーゼルでは99%程度)にコントロールされていますので、つまり燃料の持つ熱量が出力になると考えれば良いのです。
石油系の燃料を考える場合、発熱量は約10,500 kcal/kg、43 MJ/kgと見なすことが出来ます。これは、レギュラーとプレミアムの間だけでなく、軽油や灯油でも同じなのです。
石油系の燃料は、教科書で(C1H2)nと習ったように、単純な炭化水素として表現できるからで、nの概略値はガソリン、軽油などで順に変わりますが、発熱量は nの値には依存しません。もう少し厳密に計算するなら(C1H2)nではなく、ガソリン C7.5H13.5、軽油 C16H30というように近似して考えます。
だから、重さでみればどの燃料でも発熱量は同じです=燃焼効率が同じなら燃費の差は熱効率になります。
しかし、ガソリン、軽油、灯油を比べてみると燃料の比重は結構違います。
普通、ガソリンを買う場合は1Lあたりの価格で買うので、価格が同じならば密度の高い(重たい)燃料を買うのが得になります。
計測してみると分かると思いますが、レギュラーガソリンの比重は0.73、プレミアムガソリンで0.77、軽油では 0.83くらいです。
ガソリンと軽油では13 %も比重が違うのです。しかも、軽油が安いのです。
レギュラガソリンとプレミアムガソリンでも、比重は 5 % 異なりますから1Lあたりの価格の差が5 %なら実質的な値段の差はないことになります。
実際は8%程度の価格差ですから、そのあたりは洗浄剤などのプレミアム分と考えれば妥当と思えますね。
じゃあなぜプレミアムガソリンはレギュラーガソリンよりも重たいのでしょう??
MTBEが使われなくなって、プレミアムガソリンを作るには、アルキレート・・・例えばベンゼン・トルエン系の基材(物質) を加えて作られます。
これらの基材の比重は大きく0.87くらいあるため、プレミアムガソリンはレギュラーガソリンよりも比重が高く、大きな熱量を持っています。
しかし、レギュラーガソリンに替えてプレミアムガソリンを入れて、5 %程燃費が良くなったという場合、熱量が増えたから燃費が良くなったのか、点火時期が前に進んでサイクルとして良くなったのか、その原因を切り分けることは困難です。
ただ、燃費が良くなるのは間違いないです。
つづく・・・
Posted at 2005/08/28 18:16:34 | |
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