
それはかつてはブランド品と呼ばれるものだった。
いや、本当は今もブランド品と呼ぶべきものだと思う。
でも、あまりにボロボロで誰に見せても、
ブランド品だなんて思わないだろう。
下手をすればゴミと間違えられてしまうのでは?
そう思うこともある。
そいつにはGUCCIの文字が刻まれていた・・・誰もが聞いたことのあるブランドの財布
手元に、それがきたのは5年前?イヤ6年前だったか?とにかく随分と前だった気がする。
もちろん息子達が生まれるずっと前のだった。
嫁からの誕生日プレゼントだった。
普段あまりブランド物に興味のない僕でも高価なものとすぐにわかった。
ものすごく嬉しくて気に入って、自分で同じシリーズのパスケースや、キーケースを購入した。
それからはいつもずっと一緒だった。
もちろん財布の値段を超える中身が入っている事なんか滅多になかったが。
雨でずぶ濡れにした事もあった。
泥の中に落とした事もあった。
汚れてどうにもならなくなっても、きれいに掃除して使い続けた。
使い込み過ぎて、丸々と形を変形させてきていたし
ここ数年はキャンパス地の悲しい性で、ほころびも目立って来た。
普段使わないパスケースやキーケースは家のどこかに眠っていて、所在すらわからない。
でもコイツは使い続けて来た。
別に新しいものが買えないわけでもなかった。
決してブランドが好きな訳でもないから、コレこだわる必要は無かったし
ブランドにこだわるんなら、同じブランドの物を買えば良かっただけ。
でも、それをしなかったのは何となく手になじんでいたから。
「愛用品」そう呼ぶにふさわしい物になっていたから。
今年の誕生日プレゼントに嫁から貰った包みを開けた時、そこには新しい財布があった。
あまりにボロボロになったコイツを持たせておくのが恥ずかしいそうだ。
まだまだ使い続けるつもりでいたけれど、最初にコイツと巡り合わせてくれた嫁がそう言うなら、
そろそろコイツにお役ご免を言い渡してあげてもいいかもしれない。
コイツを選んだのも嫁だったのだから、新しいそれも間違いはないだろう。
きっと使いやすい良い物に違いない。
そう思う事にした。決心がついた。
中身を抜いたコイツを写真に納めて、引き出しにそっとしまった。
ありがとう。感謝の言葉と共に・・・
Posted at 2007/11/21 18:01:05 | |
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あんな感じ、こんな感じ | 日記