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イイね!
2019年11月04日

秋の徘徊「寸又峡周遊」第1日

今年はいつまでも気温が下がらず夏の名残が消えなかったが、さすがに11月に
入って本格的な秋の気配が漂ってきたようだ。
茸採りも一段落するこの季節、いつも無性に「山旅」に出たくなる。
それは「登山」ではなく、山に溶けこむように気儘に歩く「旅」。
目的地は、南アルプスの南の末端、一般に「深南部」と呼ばれる寸又峡周辺の山域
である。明確な登山道が無い為、平素から入山者は少ないが、さすがに秋の三連休
ともなれば多少は賑やかになるだろう。
天気とも相談し、静かな旅を楽しむ為に殆どの登山者が下山する三連休の最終日
11月4日に入山することとした。
但し、少々体力が必要な藪漕ぎルートなので山神様は家に置いていく・・・。


4日早朝5時半、真っ暗な中、寸又温泉車止めゲートを出発、意外と暖かい。


日帰りらしき装備の登山者3名を追い越し、最初のピークとなる「前黒法師岳」の
登山口に着く頃にはヘッドランプがいらなくなった。


急登のシラビソの森は展望も無い、歩き出しは調子が悪くただひたすら喘ぐ。


思った通り、途中単独1名と2パーティとすれ違う。
出発から4時間。
誰もいない「前黒法師岳山頂」1994mに到着。


ここから先は一旦250m程下がった後、僅かな登り下りを繰り返す穏やかな尾根
歩きとなる。


尾根の幅が広がり森が明るくなると、背丈の低い小笹が地表を覆いだす。


この植生がこの山域の魅力である。


数歩歩いては立ち止まり


溜息をついてはシャッターを切る。


やがて右手北側の梢越しにこの旅の最高峰である「黒法師岳」が、端正な三角錐の
姿を見せる。


突然、尾根上に芝生の広場が現われる。


ヘリポートと呼ばれるこの広場は美しくもあるが、違和感のある場所だ。


実は、この風景はかってこの山域を切り裂く「南赤石幹線林道」という途方もない
自然破壊が進められた名残である。
石碑には「昭和58年度黒法師林道新設工事起点」とある。


この場所の前後は、路盤が崩落あるいは法面崩壊がすすみ既に何十年も放置された
ままだ。
その崩落個所の向こうに目指す「黒法師岳」が聳え


その右手には「丸盆岳」、「不動岳」といった深南部の秘峰が連なっている。
皮肉にもこの素晴らしい展望が得られたのは、林道工事がもたらした結果なので
ある。


振り返れば先ほど越えてきた「前黒法師岳」も見える。


崩壊林道と別れ、西方向へとたおやかな尾根を行く。


やがて尾根は北西方向に折れ、真っすぐに「黒法師岳」へ向かう。


山頂部をズームアップすると左下に美しい草原が見える。


更にズームアップ、ここが今夜の幕営地「黒バラ平」だ。
どんなに素敵な場所だろう?
少し、疲労感を感じてきた脚に元気が蘇る。


やがて、可愛らしかった小笹が人丈ほどになり


どこまでも笹の海が続く。
その向こうには、明日歩く稜線が横たわる。


振り返れば尾根が北西方向に屈曲した地点にあった「二つ山」が、文字通り二つの
ピークを突き出している。


笹は、ますます深くなり


獣道が錯綜する中、人の踏み跡との区別は判然としなくなり、ひたすら藪を掻き
分ける。


14時半、ようやく「黒法師岳」2068mにたどり着いた。
「前黒法師岳」同様、ここも木々の囲まれて眺望の得られない山頂だ。


この山頂名物の三角点!
通常三角点には「+」マークがついているのだが、何故かここには「×」マーク。この三角点、山好きの間ではちょっと有名なのである。


山頂から北側に進むとガレの縁に「丸盆岳」、「バラ谷」の頭方面との分岐がある。


ここからは、北東方向に「丸盆岳」、「鎌崩」、「不動岳」が間近に見え


北西側には「黒バラ平」を挟んで「バラ谷の頭」がゆったりとした山頂を構えている。


腰丈ほどの笹の急傾斜を笹にすがりながら滑るように下っていく。


傾斜が緩むと今夜の宿、「黒バラ平」だ。


背後では、「黒法師岳」が夕陽に燃えていた。


まずは、明るい内に水の確保だ。
古い案内板に従い


ピンクリボンの示す沢の源頭に降りていく


2.5Lの水を大腸検査時に使った腸管洗浄剤の容器に補充。
この容器、ほど良い容量で気に入っている。(笑)


そして風の当たりにくい窪地にテントを設営。
ここが、今宵の我が家。
この広い笹原を、贅沢にも一人きりで貸し切りだ。


やがてバラ谷の頭の右手に夕陽が沈む。


気温は急激に下がるが、飽くことなくじっと夕焼けを眺め続ける。
まさに地上の楽園、これ以上何を望むのか・・・。
あまりの美しさに思わず山神様に写真を送る。
ここが、圏内とは思わなかった。


取り敢えず、今の望みは空腹を満たすことだった。
アルファ米にFDの具を放り込んでの親子丼、山では立派なご馳走だ。


夜は、降るような星の灯りとテントの周りを鹿が歩き回る音でなかなか寝付け
なかったが、快い疲労感とともにいつしか眠りに落ちていった。






















ブログ一覧 | 日記
Posted at 2019/11/07 23:47:01

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お疲れ様でした🙇
ゆう@LEXUSさん

この記事へのコメント

2019年11月8日 0:34
一人で野営は怖いなあ。
熊さん、蛇、今晩は ... はねえ。 
山中の夕日は綺麗ですよね。 静寂の中赤く燃える空、学生時代を
思い出しました。
コメントへの返答
2019年11月8日 11:15
え〜?独りで寝れないの?
やっぱり上様いないとダメかな?
この日の夕陽はホント最高でしたよ、それこそ独りじゃもったいなかったです。
2019年11月8日 12:38
そっか 、 既に家内には野獣が居たんだっけ( 爆
それを思えば、怖くない。
コメントへの返答
2019年11月8日 20:00
そんなことばっかり言ってると、今に寝た切りになった時に仇を取られるよ〜!
2019年11月8日 14:33
待ってました
以前の仙人に戻って来たね(^^)/

歩いて足腰鍛え
景色で心和まされ
またまた長生き
一石三鳥だなあ(羨)

↑私は一人ぢゃないと眠れない
うちにも猛獣がいるからなあ

コメントへの返答
2019年11月8日 20:05
久しぶりの真面目な山旅だったのでちょっと疲れました。
貴兄もね、口に気をつけないと優しく介護してもらえないよ。(笑)
2019年11月8日 21:36
見たことあると思ったら、去年ポリープとった時の腸管洗浄液と同じだ。チョーまずかったから水汲み用には抵抗あります。
でも確かに袋は丈夫だし、口のサイズも丁度良いからエリーゼのラジエター給水用にとって置けば良かったかな?笑
コメントへの返答
2019年11月9日 9:14
アハ! 御使用経験ありましたか。
僕は、これで水を飲むと「また、こんなものを飲まないように沢山歩かなきゃいけないなあ」って気合が入ります。(笑)
2019年11月8日 22:43
ううむ、今回は何と美しい景色ばかりなんでしょう。感動しました。
うーたんさん、写真の腕前も素晴らしいですね😍
コメントへの返答
2019年11月9日 9:23
ありがとうございます。
でも、腕前には関係なく、どっちを見てもこんな風景ばかりなんですよ。
まるしさんの次回の職場登山旅行に寸又峡温泉+登山は如何でしょう?
夏場なら大勢のヒルのお出迎えで楽しい献血登山になるかも?

プロフィール

「良く曲がる ^_^ http://cvw.jp/b/1240840/48330458/
何シテル?   03/24 11:23
U-TAN(う~たん)です。 見た目は可愛い性悪娘エリに苦労してます。 よろしくお願いします。
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