
いろいろな意味で話題に上っている新型シビックに早速試乗してきた。
試乗したのは、1.8GL。最上位クラスの一個下のモデルだ。
まず、第一印象。
やはり大きい。最新型の一つ前のモデルより横幅が約5センチ、全長約7センチ増えたのだが、それ以上に大きく見える。中に乗り込んでみるとその大きくなった様をより感じた。ヘッドクリアランスはそれほど広すぎるというわけではないが、横幅、目の前の空間が特に広くなった気がする。
乗り込んで思ったのが、床が低いということ。オデッセイで開発したホンダお得意の低床構造だからか、車に乗り込む感が非常にあって好みだ。運転する時の視線も必然と低くなる。最近の高い視線が嫌いな人には納得できるシートポジションが取れそうだ。
リアシートは結構広い。こちらも低床構造が効果的に足元を広げているのだろう。シートは6対4の分割でトランクスルーになるが、センタートンネルの仕組みはない。大人4人でも十分長距離走行できそうだし、荷物が沢山ある場合もトランクスルーが有効に作用しそうだ。まぁ、それ以前にトランク自体が広く十分あるので、それほどトランクスルー機能を使わなくても良いかもしれないが。
運転席に座ると目の前にステアリングと計器類が広がる。ステアリングは小さく軽め。オーディオやハンズフリーフォンのスイッチとかが組み込まれている。ステアリングのデザインは好みの分かれるところ。未来的なイメージなんだろうけれども、自分的にはあまり好みではない。ステアリング越しに見えるメーター類も好き嫌いが結構分かれてしまうところだ。タコメーターが針なのに、スピードメーターはデジタル。このあたりの演出は自分的にマイナスだ。しかも、ブルーメーターのようにデザインされているが、特に光で浮かび上がるような感じでもない。なんとなく印刷されているようでちょっと安っぽさも感じだ。
メーター類から視線を前に向けると、やはりAピラーがかなり寝た感じなので、目の前の空間が広すぎて落ち着きがないように感じた。ボンネットが短く落ち込んでいることから、運転席から見える光景はミニバンとほぼ同じ感覚といってもいいだろう。旧式のセダンから乗り換える場合は、慣れるまでやや時間がかかりそうだが、ミニバンから乗り換えるなら意外と違和感なく乗りこなせるかもしれない。
走り出す前にシフトとサイドブレーキを確認。シフトはATだが、かなり安っぽさを感じてしまうのは否めない。シフトの使い勝手は、自分的にはかなりマイナスだ。リリース用のボタンがシフトを握った感じとやや異なるのでパーキングからDレンジに入れるのがやりにくかった。サイドブレーキは、最近流行のフット式でないのがうれしい。しかも、シフトの横、前の方にサイドブレーキがあるので、操作はしやすい。まるでWRCの車のようにサイドブレーキを引ける。まぁ、サイドブレーキターンをするわけではないので、重要視する点ではないのだろうが。
さて、シートポジションとミラーをあわせたら、一般道に試乗に出た。
エンジンは1.8というのを感じさせないぐらい、ぐぐっと力強くでる。ボディやエンジン自体が軽いので、出だしのトルクが弱いという感覚は受けなかった。アクセルを踏み込むと、ぐっと前に出てくれる。やや1速2速あたりがきつい感覚もあったが、これはなれの問題だろう。ブレーキは軟らかすぎず硬すぎず。足回りはホンダながらの硬めだ。今回のシビックはワールドワイドでの戦略車だから、アウトバーンでも十分な足腰のセッティングにしたという。普段のっているビルシュタインの硬さとはまたことなる絶妙な味付けかもしれない。ただ、高速道路やワインディングを走ったわけではないので、街乗りで合格点というところだろうか。
運転しているとステアリングの軽さがかなり気になる。スポーティーさを演出するためか、やや小型の径なので、軽さがさらに目立つ。高速道路などで速度がのると、ステアリングに若干負荷がかかり重めになるそうなので運転上は心配ないのだろうが、あまり好みの感覚ではなかった。
最小回転半径は5.4メートル。この手の車にしてはちょっと小回りしにくい気がする。実際ディーラーの出口から一般道に出るとき、やや回りにくい気がした。ただ、前述のように、フロントウインドウからの視界はミニバンだ。フロントが急に落ち込んでいることもあり、意外と前は気にしなくてもいい。問題は長いホイールベースだろうか。実はホイールベースはアコードよりも3センチ長い。クラス的にはアコードの方が上だったのでは?というのはここだけの話にしておこう。
外観はやはり今までのシビックとは違う。でも、写真で見るよりも、いい意味で違ったテイストになっている。ただ、リアビューはいいのに、フロントに回るとやはりミニバンだ。特にサイドミラーのデザインがそう思わせるのだろうか。このあたりはデザインをもうちょっとつめて欲しいところだ。
ちなみに、エアロパーツはすでにメーカーオプションで用意されている。17インチアルミホイールとあわせると、なかなかいいデザインに仕上がる。それでも納得できない人は、無限のパーツが出るのを待ってみてはどうだろうか。ディーラーの担当さん曰く、かなりのできになっているらしい。これは期待できそうだ。
ということで、総合判断。
今回はかなり悩ましい。走りとかは流石ホンダだけあって、いい味付けだ。かなりの好みである。低床構造も効果的で好印象だ。走っている感覚はそれなりに合格点だ。
しかし、不満点がいくつも出てきてしまう。例えば、内装などの質感が低いこと。低価格の車だからといって、あまりにも質感が悪過ぎないだろうか。あと、シフトの操作性。これもマイナーチェンジでぜひとも改善してほしい。メーターももう少しデザインを考えて欲しいものである。あと、意外と見落としがちだったのが、フロントドアに組み込まれたスピーカー。すごくちゃちく見えてしまった。あと、内側のドアノブの形状もどうだろうか。やや慣れが必要で、同乗した妻には大変不評だった。
性能、価格、ホンダというネームバリュー。これらのことを考えると、きっと今回のシビックは売れるだろう。でも、何かもう一つがたりない。どうせなら、ホンダならではの、小さな高級スポーツ車としての回答を今回のシビックに与えてもらいたいものだった。
あとは、11月ぐらいにデビューするシビックのハイブリッド車によって印象が大きく変わるかもしれない。試乗車が登場したら、是非乗ってみたいものだ。
ちなみに、写真はディーラーでいただいたパンフとプロモーションDVDと、シビックのペン。ホンダはかなり今回の新型に力を入れているということがなんだか伝わってきた。
Posted at 2005/09/24 18:14:54 | |
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試乗日記 | クルマ