昨日、三菱自動車が社運をかけたという新型車「i」を発表した。同社によると、人気は上々で、既に月産予定台数を上回る6000台の予約を受注したという。
こんな話を聞くと、ようやく三菱自動車も復活の兆しが見えてきたかと思ってしまう。しかし、実際はどうなのだろうか?まさか、三菱の社員に強制的に「i」を購入させ、台数を水増ししたということはないだろうか…。三菱グループを持ってすれば、6000台なんていう数字は簡単に集まりそうだ。おまけに、一部の噂に過ぎないが、ディーラーの中には予約時点でも既に大幅値引きを敢行しているところもあると聞く。なんとしてでも台数を伸ばそうという努力なのだろうか。もし、これらの話が本当だとしたら、いかがなものだろう。「新型車の販売台数増=三菱自動車のブランド復活」と一般消費者は見てくれるだろうか。現状で台数だけを見て喜んでいる三菱自動車の幹部の姿に、少し不安を覚える。
勿論、僕は三菱自動車が嫌いなわけではない。どちらかというと、好きなメーカーの一つだと思う。ランエボもいいと思うし、かつてのギャラン・シグマは思い出のある車だ。友人が乗っていたFTOも素直にかっこいいと思っている。それだからこそ、今の三菱自動車の状況がとても心配なのだ。
そもそも、この新型車「i」は、本当に“売れる車”なのだろうか?
確かにデザインは従来の軽自動車に見られない斬新さで目を引く。あまり丸型のデザインは好みではないが、少し未来的で悪くはない。ただ、このデザインが販売面では仇にならないだろうか。以前、軽自動車のデザインについて、こんな話を聞いたことがある。
富士重工業が発売したR2は、デザインに重点を置きこれまでの軽自動車にはないポジションにチャレンジした。デザインに関しては賛否両論あったが、お洒落を好む都心のユーザーには売れたそうだ。そう、“都心では”売れたのだ。軽自動車市場の大半を占める地方では、「あのデザインは都会的過ぎて田舎道を走るには目立ちすぎる」と敬遠されてしまったらしい。その結果、地方での売り上げは惨敗。発売時の瞬間的な販売台数は良かったものの、トータルで見ると、期待されていたほどの売り上げはなかったという。実際のところはどうなのか、裏を取ったわけではないので分からないが、同社の業績報告を見ると2005年後半にR2の売り上げが失速しているのが見て取れることから、あながちウソではないのかも知れない。
このような事例を考えると、三菱自動車の「i」はどうだろうか?デザイン面で地方ユーザーに逃げられてしまうということはないだろうか。「いや、うちの車は小型車に負けず劣らずの室内空間が…」という声が三菱自動車の人から聞こえてきそうだが、それならダイハツのタントとぶつかってしまう。既に室内空間に関しては先駆者がいるのだ。「でもやはりデザイン面では…」とメーカーは言うだろうが、「でも、値段がねぇ…」というユーザーの声が聞こえてくる。なんといっても、スズキが先日新型のMRワゴンを発表したばかりで、それなりのデザインで「i」よりも20万円程度安い。スズキとダイハツという強豪の中に入り込むには、「i」のコンセプトは数年遅かったのかもしれない。
近々、ぜひ試乗して、走りの面から「i」を探ってみたいと思う。
Posted at 2006/01/25 11:19:09 | |
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