
皆さんは初代アルシオーネを覚えているだろうか?
それまで、独特のメカニズムを生かした小型車や大衆車と呼ばれるクルマ造りでは定評のあった富士重工が、日本の国民の所得の増加と、より幅広いジャンルのクルマを造りたい・・という願望の元に造られた、FF&4WDの富士重初のスペシャルティーカーであった。
もともとは'85年の北米スバルでリリースされた「スバルXT」の国内版と言えるのだが、富士重工はアルシオーネの開発に関して、富士重工だから・・という個性を重要視して開発したのだった。
まずは・・・
1).元航空機メーカーとしての「空力」の追求。
2).水平対向エンジンを生かしたエクステリア、レイアウト。
3).富士重として解釈した先進性。
が大きな柱だろう。
具体的には、直線を生かしたシャープなラインで構成された「空力ボディ」。。
これは外観を見て頂ければ、まさに、その通りというエクステリアデザインである。
これで空気抵抗係数は何と「0.29」しかないのだ!!
それまで、「空力ボディ」と言えば、流面形で曲線と曲面がぐにょぐにょ・・というのが相場だったから、これは世界中のクルマメーカーが驚いたのも無理は無かった。
しかし、余りにも直線平面基調のデザインは・・・
「走る三角定規」!!(ノ゜ο゜)ノ オオオオォォォォォォ-
とか、
口の悪い連中からは、富士のCADには「circle」とか「curved surface」なんていうモードが無いか「壊れてるんだ!」などと言われてたもんである。
もちろん、その思想は内装まで及んでおり、おおよそ、これまでの国産車には見られなかった斬新なアイディアも多く盛り込まれた。
ハンドルの上下と連動する「メーターパネル」、デザインし過ぎて機能的でも美しくも無い「ステアリング」。
デザイン重視で、アームレストの真横に付けられた、使い難い「パワーウインドのスイッチ」・・とその特徴を上げれば枚挙にいとわないだろう。
メーターは当時大流行していた「デジパネ」もあって、「デジパネ」の表示は、色がアンバーで、真ん中にクルマの画が描かれており、ちょっとカッコ良かった事を思い出すのモノだ。
そうそう・・・「空力」と言えば、如何に空気抵抗を減らすかに細かいところまで、考えに考えて、例えばドア開閉のノブには指を差し込むと奥に倒れこむ「カヴァー」がされていて、通常はボディと「ツライチ」になるようになっていた。
しかし、アイディアは良かったが、このカヴァーは、長年使っていると、爪やキーなどで傷だらけになって見栄えがよくなかったし、何より、内蔵されたバネが経年変化で劣化して、空けたはいいが、永久に締まらなくなる・・奥に引っ込んだままになる現象も散見されたのであった。
また、デザイン重視のエクステリアやインテリアの影響で、スペアタイヤの置き場所が無くなり、遂にはトランクの上部に「テンパー」タイヤを吊るす・・という前代未問のレイアウトまでやってのけてしまったのであった。
果せるかな、この個性的なアルシオーネは、北米はもとより国内でも販売の不振を極め、富士重工の経営に少なからずとも影響を与え、日産やその後のGMの配下へと・・・という道筋を作ったヒトツの要因ともなってしまった。
しかしながら、それまでFRが当たり前だった高級車やスポーティカーのジャンルに、FFとか4WDといったメカを採用した富士重工の英断は、現代をみれば先進的であったし、エクステリアだって、これ以前も以後にも似たようなクルマなんて存在しない、独特のモノがあった。
初代は、末期になると2.7Lの水平対向6気等を搭載したモデルが登場して、さらにヨンクも格段に進歩して、この後のGT-Rなどよりも遥か先に「アクティブトルクスプリット型」の四輪駆動システム「ACT-4」を搭載して、ヨンクの富士重の先鞭を付けた。
初代アルシオーネは、良くも悪くも、この後の富士重工の道筋を作った「功労者!?」だったのかもしれない。
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Posted at
2005/10/23 09:10:05