初代と二代目が爆発的にHITしたソアラ・・・
初代は端正なデザインで、6:4の比率のABCピラーと、さらに、そのピラーを伸ばすとある地点で三線が交わる・・・というクーぺの黄金比を確立させた功績は大きいものがある。
二代目レパードのクーペスタイルも、基本的には、ソアラが確立した黄金比に近いデザインテイストだが、日産のアプローチは、ABCピラーを真横から見て「算用数字の6」が滑らかに描ける様に・・・とさらに進化したものだった。。。
しかしソアラも二代目になると、バブルの勢いもあり、そのボディ工作の精度は神業に近く、現在のレクサスレヴェルの基礎となる組み立て方を確立させた。。
確かにバンパーとボディとの隙間は、ほぼ「ゼロ」に等しく、シャーペンの芯さえも「入らない」とまで形容され、世界の自動車メーカーを震撼させたモノだった。。。
そのソアラも三代目になると、一気にボディサイズも拡大させ、日本だけでなく北米を見据えた「レクサス」というブランドに耐えうるディメンジョンで登場してきた。
キャッチコピーは「こころ、走らせるもの ・・・・」というもので、いかにも特別感、購入欲をくすぐるトヨタらしいキャッチであった。
デザインはトヨタの北米が手がけ、それまでの直線を基調としたモノから、大胆な曲面と曲線で構成されたアグレッシブルなものとなった。。。
皆さんは、このZ30系ソアラのデザインの基は何かご存知だろうか?
実は「石膏」と「ビニール袋」で、このエクステリアの基が出来上がったのだ。
今もそうだが、エクステリアデザインにおいて、「塊感」というモノをどう表現しようか・・という事をデザイナーは苦心している。
見た目の重心を低く、面と面とのつながりをスムーズに・・・と言葉では分かっても、なかなかそれを具現化する事は難しいものである。
Z30系ソアラをデザインするに当たって、デザイナー達は「塊感」の表現に苦心していた。。。
ある時にデザイナーの一人が、デザインのベースを造る石膏をビニール袋に入れてデザイン室にやってきた。
ビニール袋の石膏に水を入れて、机の上に置き混ぜようとした時、デザイナー達は、石膏の入ったビニール袋を机に置くと滑らかな塊が自然にできる事に気づいた!
ビニール袋の口を閉め、石膏が固まるのを待った。
石膏が固まると、ビニール袋を破り、クルマに見立てて左右二箇所平行に切り落とした。
それでは、切り落とした部分が平面となってしまうので、切り落とした面を、やすりで滑らかに削った。。。
そうして、Z30系ソアラの基本的なディメンジョンができたのだった。。。
あのZ30ソアラの、ヌメヌメとした曲面は、まさにビニール袋に閉じ込められた石膏が、机に置かれることによってできた塊から生み出されていたのだ。。
自然界に存在する草木や石、山、川の姿は、まさに無駄な線や面は無いと言うが、Z30系のソアラもある意味では、重力や表面張力と言った自然界の見えざる力によって創造された・・といっても過言ではないデザインだったのだが。。。
しかし自動車というモノは、たしかにエクステリアが、魅力の大半を占めるが、それだけで良いクルマができるか?というとそうではなかった。。。
果たせるかな、Z30系ソアラは斬新なデザインと、トヨタが持ちうる技術をつぎ込んだクルマであったが販売的には芳しいものではなかった。。。
自然の摂理でデザインされたZ30ソアラだが、それだけでは無い何かが必要だという事を、トヨタにもたらしたクルマでもあった。
Posted at 2005/09/13 10:31:32 | |
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