ここに七錠のクスリがあります。この七錠のクスリが僕の子供の命を守っています。
このブログに来てくれている多くの方々は、僕の子供の病気の事をご存じだと思いますが(病名は伏せていますが)、この七錠のクスリのおかげで、10歳を迎えようとしている今年も何とか病気の進行を遅らせています。
最初に、この病気が見つかったのは偶然に受けた健康診断で、しかも、偶然担当した病院の先生が、この病気の研究をしていた・・・という幾重もの偶然が重なって早期に見つける事ができました。
生まれた時の、色々な検査にも引っかからず、それが偶然受けた血液検査の、普通なら見逃してしまいそうな項目の、たったひとつの異常値で子供の病気は見つかりました。
ただ、その時の先生の一言は未だに忘れることが出来ません。
「厳しい事を言いますが、長くても成人式は難しいかもしれません。」
幼くして死を宣告された瞬間でした。
病気の名前を言えば、皆さんも一度や二度、いや、もっと多く耳にした事があると思いますが、いま日本には多くても5,000人少なくとも3,000人の患者がいると言われていますが、残念ながら、その多くは病気が進行して症状が発症して初めて分かるという、手遅れでの発見が殆どの病気だという事なのです。
幸い、僕の子供は、決定的な治療法が無いという中、少しでも病状を緩和できるのではという、色々なクスリを処方し、物理的な療法も駆使する事によって、明確な症状が発症せずに奇跡的に10歳を迎えようとする今を迎えることが出来ました。
最初は、錠剤のクスリが飲めなくて、粉クスリを処方されていたのですが、これが大人でも思わず吐き出してしまうほど「苦い」クスリだったのですが、ゼリーなどを混ぜて何とか飲ませていました。それでも、ゼリーの甘みさえも覆ってしまうほどの苦みは隠せず。。。。それでも、健気に
「これを飲めばボク元気になるんだね」
と言って時間をかけて泣きながら子供は飲んでいました。
だから、苦みを感じる時間の短い錠剤が飲めるようになった時は、本当に親子で喜び合ったモノです。
ただ、このクスリにも恐ろしい程の副作用があります。痛み等の苦痛ではないのですが、成長が阻害されたり色々な弊害があるのですが、今、症状が明確に出ていない状況を見れば、僕の子供には、間違いなく副作用より、生きる力を助けてくれている唯一の救いとなっています。
今年の冬の終わり、マスコミをあるニュースが駆け抜けました。
僕の子供の病気のクスリの開発を日本の製薬メーカーが始めるというニュースでした。これまで、ある程度知られている病気にも関わらず、この病気のクスリが開発されなかったのは、
患者数が少ない
という現実問題があったからなのです。つまり、患者数が少ないという事は、開発費などの投資に対して、 「儲けがない」 という現実的な問題があった為なのです。
僕たち患者と、この病気を研究している医療関係者は、この何年かの間に、日本だけでは患者数が少なく、製薬会社が新薬開発に腰を上げてくれないという現実に、世界中の同じ病気を持つ患者や医療機関とネットワークを作って、世界中の患者を集めて数を増やすことによって、世界中の製薬会社に働きかけを進めてきました。
受講 難病対策の実情とグローバル化
⇒ https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/18686286/
それが、ようやく結び始めたのです。
ただ新薬が出来るのは早くても2~3年後。僕の子供には間に合うのか。
資本主義の現実として、儲けが無い事には手を出さない・・という製薬会社の論理は分からなくはありません。ただ、そうであれば、国などが例え数が少なくとも国民の生命を守るという基本的なスタンスを以て、5,000人の日本国民の命を助けるべく補助などを、もっと、すべきで無いでしょうか。
社会も冷たいモノです。僕の子供も月に一回か二回、一日かけて検査や治療の為に、電車で二時間近くかけて、この病気を治療してくれる先生のいる病院に行かなくてはならないのですが、その時間も会社は与えてくれません。
勿論、毎月とは言いません。時間が長くかかる三カ月に一回の検診だけで良いので時間が欲しいのですが。
僕が去年、BX-Car こと セダン の E90 を買ったのは、子供の病気が進んだら、セダンには乗れなくなる・・セダンに乗れる最後のチャンスという現実もあったからなのです。
新薬は間に合うのか。そして、患者数の少ない難病者に対して、社会は会社は手を差し伸べてくれるようになるのでしょうか。
多数決で、人の命を決めない優しい社会、国になって欲しい・・・そう願って止みません。
(2013.4.17追記)
本当に、たくさんの皆様から「イイね!」を頂いて感謝しています。
折しも、ようやく国も「難病」について見直しを始めようかという報道がありました。
症状が出ていない僕の子供でさえ、通院や投薬などの経済的な負担はもちろんの事、病気に対しての精神的な負担も大変なものです。
ましてや、病状が出て、治療法のない難病を抱えている患者さんや、家族の皆さんの負担たるや想像に難くありません。
難病を患っている患者さんや、その家族の負担が減る社会になるには、まず少しでも多くの方々に、そうした難病について興味を持っていただく事が大事だと思っています。
その為の第一歩が、このブログであれば、これほど幸せなことはありません。
みなさん、ブログを読んで頂いて、そして「イイね!」をつけて頂いてありがとうございました。
Posted at 2013/04/14 20:58:06 | |
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七夕生まれの君へ | 日記