新しいマーチに関しては、相変わらず賛否両論が渦巻いている。
まぁ、何度もコメントして恐縮だが、東南亜細亜圏での製造という事で、ここぞとばかり「粗」を探している様にも見えるし、K13マーチにもコストメリットの恩恵を受けながら、それが販売価格に十分に反映されていないという事も、少々ハナシをややこしくしていると感じてならない。
さらにエクステリアも、先代に比べてエラク没個性になったという声を聞くが、新しいK13マーチのデザインは、まったく王道を行く、さらに、小型車にしては細かいディテールがシッカリしており、実はナカナカのデザインなんだが・・・・
余りにも極論的な言い方なんだが、基本的なクルマのデザインなんて1950年代に完成されていたと思う。特にマーチの様な2BOXスタイルになると、その感が一層強くなると思うのだ。
例えばだ、ここに古いクルマと、新しいマーチ、そしてサイズの違うクルマの画像を並べてみよう。
こうして見ると、基本的なデザインの構成は同じに見える。
当時、最先端の米車のデザイン・トレンドを取り入れたクラウンを、
「日本の貧乏を肯定した健康的なデザイン」 という理由でノックアウトし、
毎日工業デザイン賞 を受賞した名車「DATSUN 110」に、サイズの異なるキャロルを並べてみたのだが、基本的な骨格はみんな同じだという事が分る。
ただ、こうして並べると、マーチのサイドパネルの表情が豊かなのが端的に分ると思う。
2BOXの王道のラインである、ショルダーラインが前から後ろへスゥっと通されているが、それが軽いウエッヂラインを描き、断面形状も、そのショルダーラインからドアハンドルまで徐変しつつ、今度は微妙に凹み、さらに盛り上がり、ドア下部のプレスラインに向かって弧を描いている。
そのドア下部のプレスラインは、通常であれば、ショルダーラインのウエッヂシェイプに呼応したものにしたがるのを、なんと!マーチ・チックなディテールである、ドアのオープニングの丸みに合わされており、真横から見たら、恰も「楕円」が描かれているように見える。
こうすることによって、真横から見ても陰影が形作られ、斜め前から光を差し込むと実に表情の豊かな雰囲気を醸し出しているのだ。
これがトヨタだったら、良い例がアルファードだ。プレスラインに表情の変化を頼り、ゴチャゴチャとしたプレスラインが、ボディサイドにうねり、線による変化は理解できるが、面の変化が乏しく単調で、結果、線と面の構成が呼応していない為に、逆にまとまりの無い感じを受けてしまうのだ。
かつての日産も、トヨタチックな「線」に頼ったデザインを行った時代があった。そう710ヴァイオレットや610ブルーバードがそうだ。
今から見れば、線の一本一本の役割がよく理解できるが・・・
710ヴァイオレットの場合、複雑なプレスラインで全体の流れを表現しているが、今から見れば、その線の一本一本、それぞれが、次ぎにどの線に呼応し、全体に流れているかが分るが、残念ながら、線の勢いに面がついて行かず、全体として「煩雑」なイメージになり、まとまり感に欠けているのだ。
「面」の処理さえ上手にできていれば、最新のマツダのプレマシーなんかより、遥か昔に「流れ」というコンセプトでヴァイオレットは、名デザインとして後世に名を残したかもしれないのだ・・・
それに比べて、K13の場合は最小限の「線」で、面の変化点の補助に徹し、全体として「塊感」を上手く表現しているのだが・・・・
逆にある意味で優等生的で、面白味が・・・というのが実情だろう。
それでは個性的だったといわれる先代との差は?
Posted at 2010/09/21 01:50:35 | |
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