• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2018年10月02日

道南STORY Day6 あの日ー北海道胆振東部地震

道南STORY Day6 あの日ー北海道胆振東部地震
2018年9月6日(木)。

けたたましい緊急地震速報が響いた。

その直後に強い揺れが襲ってきた。

すぐにベッドを出てTVを点けた。



午前3時7分59秒、後に北海道胆振東部地震と呼ばれる強烈な揺れだった。

慌てて点けたTVでは、テロップに続いて、間もなくライブ放送が始まった。

震源地は胆振中東部、震度は6強!(後に7に訂正される)と連呼していた。

え"っ? いぶ…り? ・・・胆振???

自分のいる地域が震源だなんて、俄かには信じられなかった。



詳しく状況を知りたく、食い入るように画面を凝視していたそのとき、

突然、全ての明かりが一斉に消えた。

「クソッ、停電か!」と思わず呟いたが、同時に、

「すぐに予備電源に切り替わるだろう」と冷静に考えた。



ほどなくして部屋の非常灯が2つ点いた。

暫くするとスマホの通信状態が不安定になり、やがてNetでのNews確認も覚束なくなった。

それでもキャリアの異なるiPadを併用し、刻々と変わる最新情報の入手に努めた。

空が白んできた頃、突然館内放送が流れ、停電が起きていること、

蓄電分を節約するため非常灯を消すこと、エレベーターが使えないこと、などが伝達された。



夜が完全に明け切るまでは何事も進まないだろうと考え、鷹揚に構えることにした。

外を眺めてみると、未だ暗い中に点々と明かりが見え、それぞれが動いていた。

どうやらこのホテルに向かって山を登ってくる車のヘッドライトの光のようだ。

家内によれば、ヘッドライトの波は地震発生後1時間も経たぬ頃から見えていたらしい。

そうか!緊急招集に応じたホテルスタッフたちか‼︎

彼や彼女たちだっていわば被災者なのに!こりゃ何だかちょっと頼もしいじゃないか。


1(明けてきた洞爺湖。左サイドに写る光は車のヘッドライト)

FF-4031



5時前にiPhoneで洞爺湖の写真を撮り、その30分程後にみんカラに第一報を掲載した。

何が出来るわけではないが、こうした状況下にはデマが横行する可能性を考え、

リアルな現地の実情を発信するのは悪いことではないと思えた。

ただ何らかのレスをもらっても、タイムリーに反応し続けることは難しいとも言え、

コメント欄はクローズし運用させてもらうこととした。



洞爺湖町では、大きな地震があったとは思えないほど穏やかな朝が来た。


2
FF-4033



そんな時、突然見知らぬ番号からスマホに着信があった。

0138〜?函館?出てみると、当日宿泊予定だった函館市内のホテルからだった。

地震の影響で停電が発生し復旧の目処が立たないため、もし出発前なら再検討頂けないか、

いらしていただいても十分なサービスが提供できない、といった主旨だった。

要は「来てもらったら困る」んだよね!と思ったものの、考えてみれば有難い情報でもある。

泊まる場所の確保をしたいからと、一旦ペンディングを申し入れ、

webで地震のエリア毎のインフラ被害や他のホテル等の情報収集にあたった。

ここで最も深刻に思えたのは、全道295万戸で停電しているという絶望的な情報。


3(噴火湾側の光景)

FF-4035


4(雲に隠れた太陽が中島の影を湖に映す)

FF-4040



より詳しい状況が知りたいのに、どうにも情報更新のスピードと質がイマイチで、

先程の函館のホテルに折り返し電話を入れ、正確な現況を教えてもらった。

曰く、照明やエレベーターはもとより、水を汲み上げられず部屋のトイレも使えない、

当然冷凍冷蔵できないため食材も使えず、物流も危ういので食事も用意できない、

函館市内全域が停電していて、信号も路面電車も動いていない…etc.

状況を理解したので、もう少し対策を考える、もう一度電話する、と約した。

しかし、その後はキャリアを替えても、もう函館に連絡はつかなくなってしまった。

早朝のこのやりとりを活かさない手はないと考え、ロビーに降りることにした。


<後日談>

この日の宿泊費は、カード精算にしていたため引き落としがかかった。
あれ?どうなるのかな?なんて思っていたら、10/2にHotelから携帯に電話が入り、
「請求が止められず申し訳ありません、至急取り消しの手続きをとります」と。
さらに「元気に営業を再開していますので、ぜひまたお越しください!」とも。
う〜ん、こうした対応は有り難いね!機会を作って訪れてみたくもなる。




5(だいぶ高くなってきた陽)

FF-4042



そうだ、みんカラにてファン登録させていただいている方から返信不要と書いた

直メッセージをいただき、いくつかの最新情報を教えていただくことができた!

フェイクニュースが横行するタイミングで、このインプットは本当に有難かった。

magnablueさま、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。



外に出ると長い廊下は真っ暗で、消火栓を表す赤い光だけがぼんやり浮かぶだけだ。

しかし、内階段は、洞爺湖と噴火湾の眺望が楽しめるよう、

大きな窓とちょっとした休憩スペースが各階に設けられている。


6(太陽光を取り込む内階段)

FF-4046



従って、3階までは広く明るいのだが、2階に降りるには細く暗い階段を使う。

一応キャンドル型の小さな非常灯が何段かおきに置かれていたのだが、

光量が心許ない青白い光では、足元が覚束ない。

各階にホテルスタッフが立ち「おはようございます。ご迷惑をおかけします」

と移動を始めた宿泊客に声がけと誘導を行っていた。

驚いたことにシェフや料理人の格好をしたスタッフも階段に立っていた。

まぁ「職場が閉鎖」されてのことだろうけど、微笑ましい反面、有事も思わせる。



2階はレストランやスパ、温泉などがあるのだが、真っ暗で、吹き抜けの下、

つまりロビー階からの明かりで物が識別できるという具合だった。

カフェを跨ぐように振り分けられた曲線を描く大階段から下を見てみると、

昨晩とは打って変わって大勢の人で溢れている。



ホワイトボードは2台あり、1つは主に交通(空港、JR、フェリー)やGS、通信インフラが、

一方はホテル内各施設の状況や協力要請のインフォメーションが、それぞれ掲示されていた。


7
FF-4072


8
FF-4045



GSは確認中とあったのでスタッフに訊いてみると、

少なくとも自分や同僚の通勤ルート上は、どこもNGだったとのこと。

レンタカーのガソリン残量は約1/4で、平時の北海道なら200km程度は走れそうだが、

移動しなければならない函館まではおそらく180km程とギリギリで、無駄遣い厳禁だ。

となると当日中の移動は難しいだろうと判断し、フロントスタッフに延泊を打診した。

「もちろんです!」と快くリクエストを聞いてくれ、そのまま部屋を使用できることに。

まぁ取り敢えずこれで夜露は凌げると安心し、見かけたバトラーに朝食の見通しを尋ねた。

和と洋のレストランのみ、メニュー限定で開ける予定とのことだった。

状況はかなり悪いと分かって、むしろジタバタしても仕方ないということがはっきりし、

却って落ち着いて物事を検討できる状況になった。



その後、館内放送で朝食の提供できるレストラン、利用時間等のアナウンスがあり、

僕らも7:30過ぎに2Fにあるギリガンズアイランド(洋食)に行くことにした。

ギリガンズは洒落た店だけど、照明がない分、窓際以外のシートは暗かった。

しかし明るい窓際は陽光がふんだんに射し込むため、エアコンなしでは結構キツイ。

結局、窓から離れた暗いシートをリクエストして席に着く。

この日は食材や溶け残った氷は大丈夫だったようだが、コンロ以外の器具が使えず、

頑張った感はハンパないものの、メニュー自体や味そのものは、平凡なものだった。

もちろん厳しい環境下で工夫・調理・提供してくれたスタッフには熱烈に感謝する。


9(明かりのないギリガンズアイランド)

FF-4043



折角ロビーに降りてきたのだから、ホテルの周りも撮っておこうと戸外に出た。

眼下に洞爺湖、雲に隠れた羊蹄山も望める絶好のロケーション。

有事でなければ、超リラックスモードになれただろうな、と思う。


10(ホテル外観)

FF-4067


11(羊蹄山を望む)

FF-4047


12
FF-4052


13
FF-4053


14
FF-4055


15(サミットキャビン=ゴンドラステーション 山頂駅)

FF-4059


16
FF-4062


17(それにしてもこの日の洞爺湖は穏やかだった)

FF-4071


18
FF-4073


19
FF-4074




階段を昇って部屋に帰ると、スマホやタブレットのバッテリーが怪しくなっていた。

車を動かせれば、車内のUSBから充電ができるんだけどなぁなんて思っていたら、

家内が前々日温泉街の入口にあったGSで給油した時のレシートがあると言い出し、

ダメもとで電話をかけてみることにした。

何回かのコール音ののち、意外にのんびりした応対で繋がった。

「やってますよ」とあっさり、渋滞してないか?と尋ねると「今は全然」と。

拍子抜けすると同時にちょっと可笑しくなり、早速出かけることにした。


大混雑のロビーを抜けて、エントランスに回された車で街に降りて行った。

15分ほどでGSに着いたが、電話の通り、有事を思わせる気配はなく、

待つこともなくごく普通に満タン給油をして一息ついた。

割りと旧式のスタンドだったことが幸いだったようだ。

そういえば今利用中のホテルも当然ウォシュレットだけど流すのは手動だ。

こういう時は、実は全自動は却って弱いのかも知れない、と初めて気付いた。



次は家内のスマホ用のUSBケーブルが入手出来ないかと、コンビニを探した。

温泉街にはセコマとセブンがあるのだが、セコマは閉店、辛うじてセブンが開いていた。

店は真っ暗だったけど、駐車場が満車になるぐらいの盛況ぶり(驚)

何とか一つだけ在庫のあったケーブルをGETでき、満タンのガソリンとこれで、

iPadとカメラのバッテリー以外は充電可能となり、また安心材料が増えることになった。

ちなみにおにぎりやサンドイッチ、電池類などは全く残っておらず、

仕方なくスナック菓子をいくつか仕入れるだけに留まった。



この後、洞爺駅近くのコンビニにも回ってみたのだが、やはり状況に変わりはなく、

新手のサバイバルツールを加えることは出来なかった。

ちなみにHomacなどホームセンターの混雑ぶりは酷く、広い駐車場に車が溢れていた。

JR洞爺駅脇の踏切が、列車は走っていないのに警笛が鳴って遮断機が上がっていた。

その上で車が普通に行き来しているのは一体何だったのだろう。



スマホがフル充電になる間、近隣の状況を確認しようと、

道央道に乗って、前日と同じ室蘭に向かった。

道央道を含め近辺の道路に被害はなかったようだ。

ETCも普通に作動したが、速度表示の電光掲示板は点いていなかった。

交通量は、平常時を知らないので何とも言えないが、少なかったように思う。

時折猛スピードで抜かしていく観光バスにちょっとだけ違和感を持った。

前日同様、有珠山PAに寄ったが、GSは営業していて、多少車列ができていた。

車中ではラジオをつけていたが、全道295万戸が停電していると、ダメを押していた。



室蘭では、道の駅「みたら室蘭」に車を停めた。


20
FF-4078



港を渡る風が心地よく、長閑に日光浴をしている人たちも。

ここだけを見ると地震直後の街景に見えはしなかった。


21
FF-4088


22
FF-4087



白鳥大橋も平時と変わらないようだ。


23
FF-4081




室蘭駅、続いて東室蘭駅にも周ってみたが、JRが止まっている割りには、

比較的人出があったように思うし、街中を走行している車もそこそこあった。

信号は総て消えていたため、大きな交差点での右折には特に気を遣った。

GSも半数以上はクローズ、コンビニも閉まっているところが相応に多かった。

帰路もまた有珠山PAに立ち寄って、山を眺め、海を見下ろした。


24(展望室のオブジェは早秋の気配)

FF-4090


25
FF-4091


26
FF-4092




ホテルに戻りインフラの具合に進展がない(但しレストランは営業するとのこと)

ということが分かり、ますます腹が据わった(笑)

温泉には入れなくとも、トイレが使えるだけ恵まれたものだからね。

でも、でも翌日はどうする?と考え始め、

翌日予約をしていた函館のホテルに連絡を入れてみた。

状況を聞いてみると、やはり函館市内全域で停電しており、

ホテルの受け入れ態勢の総ては、いつ通電が開始されるかに拠る、とのことだった。

埒があかないため、翌日8:30を目処に連絡をもらうことにして、終話した。

重ねて前々日泊まった洞爺湖畔のホテルにもTel。

もし仮に明日泊まらせて欲しいと言った場合、それが可能かと訊いてみた。

電気・水ともNGで、トイレは流せないためロビー階のものを共用する、

どうしても泊まる場所がないという方に限定して数部屋だけは開放したい、

と遠回しに「他をあたって欲しい」という気配を色濃く漂わせていた。

しかし自分たちも背に腹を代えられないため、正式には翌日amに再連絡することで

一旦了解いただき、それでも一応部屋のKeepを依頼した。

旭川空港は100%稼働していることが分かっていたので、旅程を変え最悪旭川経由で帰るか、

道央道で函館までは行けるのだから、室蘭や長万部などに宿替えするか、

複数のパターンを検討してみたけど、もう流れに任せるしかないと開き直った。



この後は暮れてゆく洞爺湖をぼんやりと眺め、時折webで情報を確認していた。


27
FF-4095


28
FF-4096


29(伊達の市街地方向)

FF-4100


30(傾く陽で影が伸びてきた)

FF-4103


31(洞爺湖温泉街)

FF-4105


32(ようやく山頂が見えた羊蹄山)

FF-4110


33(風が出てきて、時折湖面にさざ波が立つ)

FF-4112


34(セピア色に染まる有珠山)

FF-4114


35
FF-4115


36

FF-4118


37(暮れゆく洞爺湖)

FF-4119


38(噴火湾方向に陽が沈む)

FF-4117



19:00が近づき、さすがに室内が暗くなってきたタイミングで、館内放送が。

19:00-22:00まで室内の非常灯を点灯させるという内容だった。有難い!

翌日チェックアウトの可能性があるため、荷物整理が必要だったからね。

21:00前になって、花火の音が聞こえた。

窓から見てみると、驚いたことに真っ暗な温泉街と航行する電飾の遊覧船が見え、

ロングラン花火が通常通りに打ち上げられていた。

主催者の心意気というか、洞爺湖のサービス精神を目の当たりにした気がする。



21:00を過ぎた頃、通電の始まったエリアの情報がアップされ、

翌日に少しだけ期待感を持たせるものがあったからか、はたまた、

この日3時間も眠っていなかったからか、22:00の消灯と同時に爆睡した。

何もしていないはずなのに、色々なことを経験した稀有な1日になった。




あれから既に多くの時間が流れたが、被災地では未だ完全復旧には至っていない。

秋の観光シーズンだというのに、相次ぐキャンセルで経済も大打撃らしい。

みなさま、もしこの秋時間があれば、北海道を訪れ美味しいものを食べてきてください。

決して贅沢や不謹慎ではなく、それが地域の支援につながるハズですから。



改めて今回の地震で被害を受けられた総ての皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

なにより、全ての方々が1日でも早く、穏やかな平時の生活に戻れますよう。


乱筆、長文たいへん失礼しましたm(__)m

つづく…。



FUJIFILM X-H1 FUJINON XF16-55㎜ F2.8 R LM WR & XF100-400㎜ F4.5-5.6 R LM OIS WR


(了)
ブログ一覧 | 旅行記 | 旅行/地域
Posted at 2018/10/02 19:02:00

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

🥢グルメモ-610- 景徳鎮(神 ...
桃乃木權士さん

異常気象に翻弄された今年の桜、上田 ...
ライトバン59さん

祝・みんカラ歴2年!
カピまこさん

長野の夜🌃
みぃ助の姉さん

4/18)皆さん、おはようございま ...
PHEV好きさん

カレーかけ放題に負けて
パパンダさん

この記事へのコメント

ユーザーの設定によりコメントできません。


プロフィール

「↑×2 なぜか以前の投稿が再掲されてしまいました。新年早々失礼しましたm(__)m」
何シテル?   01/01 16:57
【現在休止中です】 ・原則として「何シテル?」、同日内の過剰な多投稿、誹謗中傷と思しきもの  などは閲覧いたしません。 ・フォローバックが条件のフォローに...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/4 >>

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

愛車一覧

AMG C63 Perfomance Package AMG C63 Perfomance Package
320から500と11年親しんだGクラスから乗り換えました。 C63AMG PPGセダ ...
ミニ MINI ミニ MINI
基本的に家内用 R56クーパーSハッチバック <外装> ペッパーホワイト ブラックル ...
ボルボ クロスカントリー ボルボ クロスカントリー
ワンコ トランスポーター
メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック) メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック)
G320L エメラルドブラック はじめてのGクラスでした。V8の下取りに。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation