
先日、秋の叙勲受章者が発表されました。こんなものには全く縁もユカリもないので興味はあまりないのですが、今回の受賞者リストの中に何とホンダ元社長の川本信彦さんのお名前があり、目に留まりました。
川本さんと言えば、本田宗一郎さん、河島喜好さん、久米是志さんに続くホンダ4代目の社長さんです。自分の会社の歴代社長は知らなくても、ホンダの社長の名前はなぜか覚えてしまうんだな(笑)。
川本さんは元々レースエンジンの設計などをやられていた方で、ホンダがレースをやめるという話になった際、「レースをやらないホンダなんて」と言ってイギリスのコスワースに行くために辞表を出したとか、あのセナがF1を引退するとほのめかした時に「君が辞めるならホンダも撤退する」と言って引き留めたとか、いろいろなエピソードをお持ちです。
社長には1990年に就任。当時は空前のRV車ブーム。売れ筋の車を持たないホンダは業績が厳しく、三菱自に吸収合併?なんてウワサも出ていましたね。断腸の思いで第2期F1活動を休止し、既存のラインで作れるRVとしてあの初代オデッセイを発売して、経営を立て直した、という時代でした。
厳しい時代、厳しい環境の中にあっても本田宗一郎さんから受け継いだ「ホンダらしさ」を忘れずに、会社の舵取りをした名経営者だったと思います。同業他社が「400万台クラブ」などと浮かれていた時にも、ホンダは安易な他社との提携、合併に走らず、現在のように独立性を保ったメーカーでいられるのも川本さんの功績が大きいのではないかと思っています。
そして何よりあの「S2000」も川本さんがいたから開発・発売できたのではないでしょうか。専用のシャシー、専用のエンジン、専用のトランスミッションを使った他の車とは共用できない2シータースポーツカーなんて、普通の経営者は出しません(笑)。ホンダの50周年記念として、ホンダのDNAの象徴としてどうしても必要だ、として発売にGOサインを出したのでは、と思います。
自分にとっての名車S2000。あのクルマを世に生み出してくれたこと、個人的に、そして勝手に、とても感謝しています。
またNSX-Rから脈々と続いてきた「タイプR」の血統も、こうした経営者がいたからこそ、ですね。
タイプRが途絶えそうな今(タイプRユーロの追加発売で終焉かな)、ホンダの経営陣にはもう一度、川本さんのような熱い想いをカタチにしたクルマを是非発売してもらいたいと思います。
末筆ながら川本さん、今回の受賞おめでとうございます。
Posted at 2010/11/05 12:50:41 | |
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