そういや私観にいったやんと思い出したので書いてみる。もう一回観てからでもよかったかもしれんが。
22年前の、あの夏のことって覚えていますか?自分もリアルタイムでニュースに釘付けになったけど、朝のワイドショーが現場からの中継やってて、ごろごろと並べられた遺体の映像を流してたんだよ。よく考えたら通常流すには有り得ない絵なんだが、現場にいたカメラやレポーターもスタジオもある意味ハイな精神状態だったんだろう。
それでもあれは恐らく生存者が出たエリアの、かなり状態のいい遺体だったんだよね。その後から数々の書籍や写真誌なんかで見たものはもっともっと凄惨で、現場に行った人たちの衝撃はいかばかりだったろうか、あれで人生が大きく変わってしまった人がいたんじゃなかろうかと、まずは予告を観てしみじみ思ったのだった。
さて先週行ってきたわけですが、今これ書こうと思って情報確かめたら145分もあったのですよ。え、そんなにあったのか?!と正直びっくりです。全然長いとか思わんかった。たぶん引き込まれて集中してたんだな。
まあ現在SP祭開催中の私としては堤真一とあっちゃあ見逃しちゃならねえと思いつつ、実は出来はあまり期待してなかったのです。小説の映画化だしね~NHKのドラマも観てないのだが、あれでも評価を見てみると「まあよくまとまってた」と言う意見があったし、それを更に映画だからな、と。
しかしそれはいい意味で裏切られましたね。これまた後からインタビューで知ったんだけど、北関のあのフロア全体がエキストラなしの全員役者で、それぞれに与えられた新聞社社員としての仕事をする中で話が展開してた、とのこと。なるほど、だからなんだかドキュメンタリーみたいなテイストだったわけか。本当に新聞社の中にカメラがお邪魔したところに事故が飛び込んできたみたいだったからね。テレビの速報が入った瞬間、しん…となるフロアの緊張感なんか、すんごい迫力。あのフロア全体が演技しているひとつの大きなイキモノのようで、だから出来上がった作品も全体的に空気感がリアルになったんだと思う。
もちろん、役者一人一人がねー熱かったです。堤真一はもちろんだけど、堺雅人がまたすげえ!山から下りてきたところなんか、本当に臭って(一晩醸成された汗だからな!)きそうだった。ボロボロになっててもギラギラした眼、とか堤との演技バトル!って感じだった。
最後はまあ観てくれいと言うか、原作やドラマで既に知ってて観る人も多いんだろうけど、私はよかったと思う。仕事に真摯に向かうゆえに踏む道にはああいう道もあるだろう、と言うか報道人としてあの道を踏むことを躊躇っちゃいかんのではないだろうかと昨今のマスゴミを見てて、特にそれは思ったかな。人は低きに流れるものかもしれないけど、無理矢理大変な目をしてでも高みを目指すのもまた人なのだと、どんな仕事をしててもどうせならそういう人間でありたいと思う人が多いといいなぁと、そんなことを思ってシアターを後にしました。
と、まあ真面目な感想を一頻り終えたところで、ここからは堤真一一点に絞ってですが、SP観た直後にまたこれを観て、いやー恐るべしと思ったね。原作読んでないけど堤演じる悠木と言う男は遊軍記者としてちょっと浮いてるくせにすごい吸引力があった。望んで孤独に身をおいてるわけじゃないけど、真っ直ぐに自分の道を行くためなら孤独も恐れないって人かな。家庭人としてはちょっとアレかもしれんが男としてはすんごい魅力的だったな。
あんだけ熱く立ち回っていながら、仮眠取る時なんかクッション抱えてごろんってごろんってなんじゃこのおっさん超カワユス!とか思っちゃったよ!(この真性オッサンスキーめ!)
相変わらずのがっしりしたいいガタイで、半袖から見える腕もいいけど、葬式のシャツネクタイもまた良かったし。(シャツやスーツは胸板厚くないとダメと言うのがオレ定説)おまけに山登っている時やラストシーンは設定年齢61歳の老けメイクのくせにめっちゃいい男だったんだよ!コート姿とかほんとにかっこいいわ~と思いました。本人は関西弁を操って笑いを取っちゃうおもろい人なのにねぇ。
まあそんな感じで相棒に引き続いてこの夏はこれかなーと言う映画です。殊更大きく事故にウェイトを置いたものでもなく、でもあの時報道で観ていた人の記憶からまたあの夏を思い起こさせる、ちょうどいい温度で作られた映画ではないかな。リアルタイムであの夏を過ごした人にはぜひとも一度は観てほしいですね。と、言う訳で私は堤真一萌えも入れて、☆は五つにしておきます。
Posted at 2008/07/14 21:21:46 | |
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