大鵬さん　その2

部屋での稽古は厳しかったもんの

普段は穏やかな大鵬さん

1984年9月

祖母の御通夜に来てくれはった

実家での御通夜やったんで

ビックリするぐらい大きい靴ぬいで2階へ

脳梗塞の後遺症があるから

ソファーのある部屋へ（昔風の応接間）

うちの父と叔父が来るまで応対してると





お香典を

親方すいません

皆さんお断りしてるんです

言うたら

○○○君

協会から預かって来てるのに持って帰れないよ

皆さんはそうかもしれないけど

財団法人日本相撲協会は特別なんだよ

こわ

怒ってるわけでも

偉そうにしてるわけでもないのに

大して広くもない部屋で

50センチぐらいの距離で

僕の目を真っすぐに見た大鵬さんの眼力

学生やった僕

完全にウロきた

大袈裟に言うたら

立ち会いの顔つきに近かった

この時の

財団法人日本相撲協会は特別なんだよてゆう言葉

はたしてその真意は？

相撲に全身全霊打ち込んだ相撲人の誇りか？

後々の不祥事に繋がる驕りか？

僕はこの場面以外の大鵬さん知ってるから

相撲人の誇りやと思う