平和の祭典

野原のくぼみに、小さな美しい円形劇場があり、そこで奇妙な容姿をした人々が、観客を前に何かショーを演じていた。

最初は、皆、仮装しているものとばかり思っていたら、すぐ、そうでないことに気がついた……オフィル人よりも、さらにずっと大きな人たちや、そうかと思うと子供のように小さい人たち、地球人そっくりの人たちや、それよりずっと痩せた人たちもいた……とても可愛い眼差しや、ふしぎな眼差し、大きな目や、小さな口、オリーブ色の顔をした鼻やくちびるのとても小さい人たち……。アミによく似た子供のグループがぼくの注意をひいた。

「彼らは、僕の星から来ているんだ」

とアミが教えてくれた。

それぞれの惑星から5人ずつ、手を取り合って陽気な輪をつくり、きれいなメロディーに合わせて踊っていた。金色のボールがゆっくりと落ちてくると、下にいる人がそれを上に突き上げ、残りの4人とともに輪の中に入って小さな輪を作り、新しいメロディーを奏でて別の踊りを踊っていた。そのふたつのメロディーがうまく調和していた。その間、外の大きな輪の人は、最初の音楽に合わせてゆっくりと踊り続けていた。ボールが別のグループのところに行くと、前のグループは大きな輪に戻り、新しいグループがまた同じように中央に輪を作って別のリズムで踊っている。それぞれのグループが中で踊りを終えるごとに、観客は大喝采をしていた。

「もちろん、みんな、違った星から来ているんだろう？」

「うん。それぞれのグループが、自分の星の踊りを披露しているんだ」

観客はオフィル人だけではなく様々な世界の人々がいた。円形劇場の周囲はたくさんの旗で飾られていて、色々なタイプの円盤が、劇場の外の指定されたところに置かれてある。また、僕たちと同じように、空中に停止してショーを楽しんでる円盤もいくつかあった。



「どのグループが、勝っているの？」

「勝っているって、何に？」

「これ、コンクールじゃないの？」

「コンクール？」

「いちばんうまいグループを選ぶためのだよ」

「違うよ」

「それじゃあ、いったい何のためにやっているの？」

「それぞれみんな、一人ひとりが、自分の感じているものを表現して、観客に見てもらって、喜んでもらったり、自分でも同時に楽しんだり、友情の絆を強めたりするんだよ」

「いちばんうまいグループに賞を与えたりはしないの？」

「誰も、自分を他人と比較なんかしてないよ。学んだり、楽しんだり……」

「地球では、優勝者がいちばんだよ……」

「でも、そういうやり方だと、いちばんビリは恥ずかしい思いをするし、いじけるよ。反対に受賞者にはエゴがひろがるし」
とアミが笑って言った。

「でも、大変だけど、勝ちたいと思ったら、それなりに努力しなくちゃならない」

「また、他人に〝勝つ〟、他人より上に抜け出すという考えだね。それは競争だし、エゴイズムだし、そして最後には分裂だよ。そうじゃなくて、ただ、自分自身と競争して自分自身に打ち勝つべきなんだよ。他人と競争するのじゃなくてね。進んだ文明世界には、そういった同朋との競争は全く存在しない。それこそ、戦争や破壊の原因になりかねないからね」

「そんなに大げさに考えなくていいと思うよ……健全な競技、単なるスポーツにすぎないんだからね……」

「でもそれはとても野蛮人的な発想だね。だって実際に、もう、地球のサッカー場ではその試合がもとで、殴り合いはもちろんのこと、殺し合いに至るような醜い争いが何度も起こっている。今、君が見ているのは、それと違ってずっと健康的なスポーツだし、もっとずっと芸術的なんだよ」

「ちょっと、僕の国の子供の遊び似ているな」

「輪とか円は、宇宙のシンボルで、親交を象徴しているんだよ。そのほか、いろいろな意味があるけど、ひとつの世界ということもあらわしている」

「アミ、君の胸の円はどういう意味があるの？」

「これは、地球人の言葉で言えば、人類とか、人間性とかをあらわしているんだ」

「その翼のついたハートは？」

「これは崇高で、自由で、とらわれのない愛を表している」

「うわー！ 人類が愛によって結ばれる！」
と感動して叫んだ。

「君は天才だよ！」
とアミは喜んで僕に言った。

エンリケ・バリオス著
石原彰二 訳　さくらももこ 絵
「アミ　小さな宇宙人」　
第10章　宇宙親交と救済計画　P167～172より引用





世界に一つだけの花


作詞・作曲・編曲／槇原敬之

「NO.1にならなくてもいい　もともと特別なOnly one」

花屋の店先に並んだ
いろんな花をみていた
ひとそれぞれ好みはあるけど
どれもみんなきれいだね

この中で誰が一番だなんて
争う事もしないで
バケツの中誇らしげに
しゃんと胸を張っている

それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる？
一人一人違うのにその中で
一番になりたがる？

そうさ　僕らは
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい

困ったように笑いながら
ずっと迷ってる人がいる
頑張って咲いた花はどれも
きれいだから仕方ないね

やっと店から出てきた
その人が抱えていた
色とりどりの花束と
うれしそうな横顔

名前も知らなかったけれど
あの日僕に笑顔をくれた
誰も気づかないような場所で
咲いていた花のように

そうさ　僕らも
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい

小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
Ｎｏ．１にならなくてもいい
もともと特別な
Ｏｎｌｙ　ｏｎｅ



そしてこちらは映画「美しき緑の星」からのワンシーン

美しき緑の星【日本語字幕】

この星の人たちも体を動かすのが大好きなようですが、決して他人と比較することはなく、ただ黙々と、己の技を磨くための鍛錬を繰り返していました。



今、地球は大きな変化の時期に差し掛かっていると言われています。

スポーツが「健全な肉体と精神の養成」に、ある面で役立つことは認めますが、試合・競技形式で優劣・勝敗を決めるというやり方は、だんだんと今の時代(＝地球の波動)に合わなくなって来ているような気がします。



さて、前置きが長くなりましたが、2020年の東京オリンピック、開催が決定したものの、準備段階からお粗末としか言いようのない展開を見せています。


いったいこれは何を暗示しているのでしょうか？


願わくば単なる妄想で済んで欲しいのですが、この日本で、2020年までに「運動会」どころの騒ぎではない、何かとてつもない大きな出来事が起こるのではないかと危惧してしまいます…。

例えば、それは首都直下型地震であるとか、福島原発絡みの良くない知らせであるとか。
そもそもこんな放射能垂れ流しの国に、各国の選手や観客が来てくれるのかも疑わしいですが。


東京オリンピック開催にかかる諸々のエネルギーを、災害対策や福島原発の廃炉に向けた方が、日本国民のみならず、世界中の人々が幸せになれるような気がするのですが…。


今更「開催中止」になんてできっこないのは承知の上ですが、ここまで世界中に恥を晒したのならば、もういっその事……どうですかね？


妄想にお付き合い頂き、ありがとうございました。



「備えあれば憂いなし」

イザとなれば誰かが助けてくれるという甘い考えは捨てて、
災害への備えは各自で、できる限りしておきましょう。



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