2005年06月14日
電気の話(序章 VI)
さて、次は、ケーブルの話をしましょう。
最初の説明で、山の上を(+)、谷の底を(-)としました。上から下に水が流れるとき、好き勝手に流れていては、必要な「力」を取り出すことが出来ません。ただのナイアガラの滝と同じです。ですから、山の上には、たくさんの用水路があって、谷の底に向かってパイプが伸びていると思ってください。このパイプが配線で利用されるケーブルです。
電流をたくさん使いたいのであれば、水の量を多くしなければいけません。水の量を多くするには、用水路の幅を広くしてパイプを太くしなければいけません。つまり、太いケーブルが必要と言うことです。水の量が少なくて良い、つまり、電流は少なくて良いのであれば、ケーブルは細くてよいのです。
「スピーカのケーブルを太くすると良い音がする」というのは、ここに理由があります。音の電気信号の振幅、つまり電圧の変動は常に発生しています。この変動が、最終的に振動になります。先に出た電力の式 電圧(V) x 電流(A) = 電力(W)からすれば、電圧が増えると電流は減ることになります。これではスピーカはうまく鳴りません。電圧が増えたときはそれ相応の電流も増えて欲しいわけです。しかし、電流の量はケーブルの太さで決まります。電力を振動に変えて音量になるので、大音量=大電力なわけです。大電力を作るには、大電圧と大電流が必要になります。大電流を利用するにはケーブルが太くなければいけません。これが、太いケーブルにすると良い音になる秘密なのです。本当は、音が良くなったのではなく、スピーカがより良く振動できるようになったからなのですね。
では、何でもかんでも太くすれば良いのでしょうか?
答えは、否です。
山の上の(+)の湖からあふれ出る水の量は有限です。そこにたくさんの太い用水路と太いパイプがあっても、全ての用水路に同じだけのたくさんの水を流すことは出来ません。例えば、全ての用水路の太さが、秒速20Lの水を通すことが出来るとします。それが10本あって、全部で200Lの水を通すことが出来るとします。しかし、湖からあふれ出る水の量が140Lであるならば、それぞれの用水路には、14Lしか流れず、6L分だけ不足します。すべてがすべて、本当に20L必要であるならば、湖の設計を直さなければいけませんが、そうではなく、1Lしか必要が無い用水路なら、1L用の用水路にしてあげなければいけません。そうやって電気の分配を調整してあげる必要はあります。
また、この用水路やパイプには、必要以上に水が流れないようにする仕組みが必要です。この仕組みは、流れる水の量を常に調べています。調べるということは、そこに棒を差すとかなんとかすることになりますから、水の流れをほんの少しであっても妨げることになります。
この水の流れる量を監視していて、いざと言うときに水の流れをせき止めるのが、電気では、ヒューズの役目ですね。ヒューズをいれるとほんの少しであっても、抵抗が存在し、電気の流れを妨げることになります。ヒューズ・チューンというのは、ここに着目して、この電気の流れをできるだけ邪魔しないようにしようと言う発想だと思います。
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Posted at
2005/06/14 20:21:39
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