大体、どんなものが、どういった電気を必要として、どう使われているかは、お分かりいただけましたでしょうか。
次は、「
ボディ・アース」は、なぜ必要なのか。
先ほど少し触れましたが、直流の電気は遠くに運ぶことが出来ません。それはいろいろな理由があるのですが、分かりやすい理由のひとつとして、電気を通す金属に見ることが出来ます。
純度をどんなに高めたとしても、金属の中には不純物があります。この不純物や金属を精錬したときに出来る原子配列などが影響して、電気の流れを妨げます。この電気の妨げを
抵抗といいます。
「妨げ」だからといって、悪者なのかと言うと必ずしもそうとはいえません。フリクション、つまり摩擦が多いと邪魔ですが、摩擦が無ければタイヤが回っても車が前に進まないのと同じように、抵抗があるおかげで、電気の流れがスムーズになることがあります。電気における摩擦 = 抵抗と考えても問題ないかと思います。
最初の説明で、山の上を(+)、谷の底を(-)と表現しました。そして、上から下に流れ落ちる水の力が電圧、水の量が電流と言う説明をしました。(-)側から見て、上の方向がどのくらいの高さなのかによって、電圧が決まるように車の電気は作られています。
また、電気は、(+)から(-)に流れていると思っている人も多いと思います。が、ここには
大きな落とし穴が!!
目に見えないのでしょうがないのですが、電気と言うのは本当は、(-)から(+)に向かって動いているんです。(もちろん正確には電気ではなく電荷と言うものの動きの事なのですが・・・まぁイメージしやすいようにと言うことで・・・) ですから、(-)側、つまり、谷の底の面積が広ければ広いほど、一度に多くの龍が空を目指して上っていくかのごとく、電気の流れがスムーズになるのです。
これが、ボディ・アースの考え方です。
ボディ全体に電気の元を蓄えておき、使うときに、瞬時に使えるようにしておくんですね。
また、電気には導体と書くよりも金属と書くほうが分かりやすいと思うので、金属と書きますが、電気には金属の断面積の大きい方、金属の抵抗の少ないほうを好んで流れようとする特徴があります。車において、最も断面積が大きいところは言うまでも無くボディなので、電気はそこを通ろうとします。電気の移動する速度は、光の移動する速度とほぼ同じで、秒速30万キロメートルです。ですから、自動車はこの速度を超えて走ることは出来ません(笑
オルタネータは、エンジンにくっついていて、(-)をエンジンと共通に使っています。この(-)をどこかでボディに接続しなければいけません。フーガでは、
アースポイント Iの写真のポイント1の部分でボディに接続されています。電気、電子回路の定石として、一点アースという方法があります。回路のアースの点を一箇所にしないと、これまでに何回か出てきた基準点(基準電圧)が複数存在することになり、都合が悪くなるので、一箇所だけ接続します。
アースと(-)と言うのは同じではありません。が、車では同じと考えた方が分かりやすいので、同じと考えてかまいません。つまり、車では、アースと(-)を同じ電位、つまり、電圧の基準点として利用しています。そして、そのアースは車全体を使っています。ここからボディ・アースと呼ばれます。
「あれ?バッテリーもボディにつながっているじゃん。説明と違うよ。2箇所つながってるよ」と言う人もいると思いますが、バッテリーの一番の役目は、スタータ・モータを回すことなのです。スタータ・モータによってエンジンをかけ、エンジンが回り始めて、オルタネータが発電し始めたら、バッテリーの役目は終了です。あとはオルタネータが発電した電気の一部をバッテリーの
充電にあてます。充電中のバッテリは放電しないというか出来ないので、バッテリによって電気設備が動いているわけではないのです。しかし、先に書いたようにモータは動き出すときに多くの電流を使いますから、イグニッション・ボタンを押して、スタータ・モータが回り始める瞬間、室内灯が暗くなるのです。
イグニッション・ボタンを押して、エンジンがかかりオルタネータが発電するまでの間は、アース・ポイントは、バッテリーの(-)端子から接続されているボディのところになりますが、オルタネータが発電し始めたら、そこは単なるボディ・アースとして電気を受け取っているだけで、オルタネータからボディにつながっているところが、アースポイントになります。
エンジンが回ってからも室内灯が暗くなったり明るくなったりするのは、バッテリーの問題ではなく、オルタネータの問題で、もしかしたら、寿命になっているかもしれません。
Posted at 2005/06/14 16:50:43 | |
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