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甲斐右衛門のブログ一覧

2006年07月07日 イイね!

創作シリーズ「メモリーズ」前編

暑い…
すずめが水溜まりで行水しているのを見て、羨ましく感じるぐらいに暑い。
今ここでかき氷が売っていたら、例え1000円でも俺は買うぞ。
稼ぎ所だ、さぁ、出てこいかき氷屋!
しかしなんで、日本の夏はこうも暑いんだろう。
夏なんて嫌いだ。

羽織るように着ていたTシャツを脱ぎ、静かな山間の農道を歩いていく。
小学生の頃、母親に連れられて何度も通った道。
土の匂い、鳥のさえずり、川の水によって冷たくなった風。
ここは、昔となにも変わってない。

この道の先には、いくつか年上の女の子がいる家があった。
その子のお父さんとうちの母親が友達で、何度も遊びに行った思い出がある。
当時はその女の子に会うのが楽しみでしかたなかったりしたもんだ。
あれが、初恋だったのかもしれない。

そのゆみちゃんはとても可愛らしく暖かい感じをもった子。
暖かい家族に囲まれてきたんだろうと思っていた。
当時は…

「私、お母さんに嫌われてるの。」
「弟には優しいのに、いつも私だけ優しくしてもらえなくて」
「え~ そういうふうには見えないけど。」
「お母さんゆみちゃんに対してもとても優しそうじゃん」
「………」

今、思えばゆみちゃんが言っていたことが正しかったのかもしれない。
いや、たとえそうじゃなくても、俺は頷いて話しを聞いてあげるべきだったんだ。
ガキだった俺にはそんなことも出来ず自分の思っていることを貫き通してしまった。

それ以後、ゆみちゃんに会う事はなかった。
母親がゆみちゃんの家に行く事がなくなったからだ。
理由は聞けなかった。
なんとなく聞いては、いけないような気がしたから。

それから年が経つにつれて、ゆみちゃんの事は思い出さなくなっていった。


恐らく続く。。。
Posted at 2006/07/07 12:50:25 | コメント(1) | トラックバック(0) | 創作シリーズ | 日記
2006年07月05日 イイね!

創作シリーズ 「牛丼屋」


「牛丼ミニお願いします。」
「牛丼ミニ一丁~」

ふぅ~ 
突然の激しい雨に襲われ牛丼屋に逃げ込んだ。
普段なら特盛に卵、みそ汁、サラダ、マヨネーズと注文するのだが、午後3時という時間もあり腹もあまり減ってないのでミニ丼をチョイス。

しかし、ついてない。
上司には怒られるわ、雨にも振られるわ。
仲良くなってきたと思っていた女の子にも、急に避けられてきたし。
考えれば、考えるほど悪いばかりが頭に浮かぶ。

差し出された牛丼に、紅生姜をどっさり乗せて一気にたいらげる。
外を見てみると、まだ大粒の雨がすごい勢いで降っていた。
こんな雨の中、暈無しで出たくはないのだが、会議に間に合わなくなるので、覚悟を決めて出ることにした。

お金を払い自動ドアの前で徒競走の「よ~い」ぐらいの勢いで走る準備をしていると
「お客様、私の置き傘でよろしければさしあげますよ」
と、可愛らしい若いバイトの女の子がビニール傘を差し出してくれている。

「よ、よろしいのですか?」
「はい、別の傘がありますから。」
「ありがとう、ご馳走様でした。」
「またお越し下さい。」

笑顔に見送られながら、牛丼屋を後にする。
雨の止む気配はないが、気分は晴れていた。
暈に当たる雨音も軽快なリズムに聞こえてくるぐらいだ。

今度、晴れたら暈を返しにこよう。
今日みたいなブルーな顔じゃなくて、笑顔で特盛を頼めるように。。。



※実は実話です。
とは、言っても僕の話ではなく、隣りに座ったお兄さんの話ですけど(爆)
暈をもってなくてびしょ濡れで、帰る時にバイトのお姉さんが暈を貸してくれた、という所は事実なんです。
いや~ 羨ましいですねぇ(爆)
僕も暈もってなければよかった(笑)

でも、真面目な話し、自分の事じゃないけど、なんかこっちまで暖かくなるような出来事でした。



Posted at 2006/07/05 18:09:11 | コメント(5) | トラックバック(0) | 創作シリーズ | 日記
2006年06月07日 イイね!

創作シリーズ「ミルクティー」

創作シリーズ「ミルクティー」夜の公園はさみしい。
昼間の賑やかさが嘘のようだ。
「ふぅ~」
と、付いた小さなため息さえもうるさく聞こえる。
23時を回ったところで街灯も消え、余計にさみしく感じられてきた。









「ごめん、まった?」
「いや、たいして待ってないよ。」
「で、どうしたのこんな時間に呼び出すなんて。」

そんな事は聞かなくても大体解っている。
彼の話しに違いない。

「あのね、彼と喧嘩しちゃった。」
「そうか。。。」

やっぱりそうだ。
まゆみが話しがあるって時は大概そういう時なんだ。
そんな時ぐらいしか俺に会おうなんて言わないし。
でも、それでも、いいんだ。
どんな理由にしてもまゆみが俺の事を、必要としてくれているのだから。



月明かりを浴びながら、涙目になってうつむいている彼女を、抱きしめたくなる

その思いを、無理に補正するかのように自動販売機に向かっていった。

抱きしめて、そのまま感情にまかせてもよかったんじゃないか。
せめて、自分の気持ちぐらい伝えてもよかったんじゃないか。
そうは思っても彼女がそれを望んでいないことぐらい解っている。


自動販売機でホットのミルクティーを一本だけ買って彼女に手渡す。

「ミルクティーって体も温まるし、なんかこう安心感に満ちてくるんだよね。」
「だから、俺もよく飲むんだ。」
「なんかわかるような気がするよ。」
「気を付けて帰りなよ。彼と仲直りできるといいね。」
「うん、今日はありがとう。」
「ミルクティー、嬉しかったよ。じゃ、またね。」

ミルクティーを片手に家路に向かうまゆみを、その場で見送る。
無事に彼女の家まで送り届ける自信がないから。。。


内に秘めた想いは、外に出さなければ消えないのだろうか。
何時までも苦しいままなのだろうか。


そしてもう一度、ミルクティーを買いに自動販売機に向かっていった。
今度は自分の為に。。。







※この暖かいイラストは運中さんにお願いして書いていただきました。
無理なお願いにもかかわらず快くのっていただきありがとうございました。
しかも、こんな暖かい感じのイラストを頂けてとてもうれしかったです。
これからもお願いするかもです。
Posted at 2006/06/07 22:48:03 | コメント(2) | トラックバック(0) | 創作シリーズ | 日記
2006年04月21日 イイね!

創作シリーズ 「オルゴール」

リン♪
また鳴った。

自分の部屋に置いてあるオルゴールは突如鳴り出す事がある。
しかも、一瞬だけ。
最初聴いた時は、何の音だかわからなかったぐらいだ。

この音がオルゴールだと解ってからは、鳴る度にあの頃を思い出す。
なぜ鳴り出すのかはわからないが、それが記憶の引き金になっている事は間違えない。


君はどうしているのだろうか。
君からもらったオルゴールは今だに、こうやって鳴り出す。
幸せだった日々が嘘じゃなかったと訴えかけるように。

君は僕を思いだしているのだろうか。
君にとってのオルゴールはあるのだろうか。

鳴らなくなったオルゴールを、手に取りネジを強く回す。
いつまでも鳴り続けるように、君にも届くように。。。







※ついでに下記は縦書きバーション。
それだけで文章のイメージがガラッと変わったような気がしました。




Posted at 2006/04/21 12:05:32 | コメント(1) | トラックバック(0) | 創作シリーズ | 日記
2006年04月03日 イイね!

創作シリーズ 「あの頃」

「そっちは、遠回りだよ」

「そんな事ないよ。こっちの方が近いよ」

「え~本当かな?」

「本当だから、こっちから帰ろう」


そんな子供の頃の記憶。
素直に「まだ一緒にいたい」とは言えないけれど、気持ちは素直だった。




今日は、日が照っているが、風が冷たい。
そんな気持ちの良い陽気のせいか、一駅先まで歩いていく事にした。

元々この界隈はとても好きな場所なので歩いているだけでも楽しい。
歴史のある坂道、時代を感じる建物。
電車では絶対に感じられない楽しみを感じつつ歩いていく。
ちょっと、道を間違えて大回り気味になったが全然気にしない。

「あ、見えてきたよ」
「アレっぽいね」
「こっちから行ってみようよ」
「え~ たぶんそっちは違うよ」
「いいじゃん、いいじゃん。たまにはさ。」

彼女の返事はなかったが、笑顔だけで十分理解できた。
自分と思っている事が一緒なのだという事に。

あの頃と同じように、まだまだ一緒にいたい思いで、あえて違う道を行く。
この幸せがいつまでも続くように。。。
Posted at 2006/04/03 23:25:27 | コメント(2) | トラックバック(0) | 創作シリーズ | 日記

プロフィール

「今夜の焼き肉の焼く順番を思考中・・・」
何シテル?   06/20 08:20
今、今後を左右する大きな分岐に立っている。 損得勘定抜きにして、全力で挑んでいこうと思う。 全力の結果、出た道が正しい道だと信じて。。。
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