
夜の公園はさみしい。
昼間の賑やかさが嘘のようだ。
「ふぅ~」
と、付いた小さなため息さえもうるさく聞こえる。
23時を回ったところで街灯も消え、余計にさみしく感じられてきた。
「ごめん、まった?」
「いや、たいして待ってないよ。」
「で、どうしたのこんな時間に呼び出すなんて。」
そんな事は聞かなくても大体解っている。
彼の話しに違いない。
「あのね、彼と喧嘩しちゃった。」
「そうか。。。」
やっぱりそうだ。
まゆみが話しがあるって時は大概そういう時なんだ。
そんな時ぐらいしか俺に会おうなんて言わないし。
でも、それでも、いいんだ。
どんな理由にしてもまゆみが俺の事を、必要としてくれているのだから。
月明かりを浴びながら、涙目になってうつむいている彼女を、抱きしめたくなる
。
その思いを、無理に補正するかのように自動販売機に向かっていった。
抱きしめて、そのまま感情にまかせてもよかったんじゃないか。
せめて、自分の気持ちぐらい伝えてもよかったんじゃないか。
そうは思っても彼女がそれを望んでいないことぐらい解っている。
自動販売機でホットのミルクティーを一本だけ買って彼女に手渡す。
「ミルクティーって体も温まるし、なんかこう安心感に満ちてくるんだよね。」
「だから、俺もよく飲むんだ。」
「なんかわかるような気がするよ。」
「気を付けて帰りなよ。彼と仲直りできるといいね。」
「うん、今日はありがとう。」
「ミルクティー、嬉しかったよ。じゃ、またね。」
ミルクティーを片手に家路に向かうまゆみを、その場で見送る。
無事に彼女の家まで送り届ける自信がないから。。。
内に秘めた想いは、外に出さなければ消えないのだろうか。
何時までも苦しいままなのだろうか。
そしてもう一度、ミルクティーを買いに自動販売機に向かっていった。
今度は自分の為に。。。
※この暖かいイラストは
運中さんにお願いして書いていただきました。
無理なお願いにもかかわらず快くのっていただきありがとうございました。
しかも、こんな暖かい感じのイラストを頂けてとてもうれしかったです。
これからもお願いするかもです。
Posted at 2006/06/07 22:48:03 | |
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創作シリーズ | 日記