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2006年04月15日

[吸音スポンジ] 低騒音タイヤの開発(住友ゴム文献)

[吸音スポンジ] 低騒音タイヤの開発(住友ゴム文献) タイヤの低騒音化技術に関する話。

前日までのブログでは、スバル・レガシィを例とした 「ボクサーサウンドの開発」 に関する文献を紹介した。今回のブログでは、住友ゴムの低騒音タイヤ (特に吸音スポンジ) に関する文献を紹介する。
 ※文献 ; 自動車技術 Vol.60、No.4、2006
 ※参考 ; スバル・ボクサーサウンドの開発
        ◎(その1) : [吸気系] は → こちら
        ◎(その2) : [排気系] は → こちら
        ◎(その3) : [車体系] は → こちら

前日のブログ (その3) の文末で、タイヤの低騒音化技術について言及されていないなぁ~と思っていたら、スバル純正タイヤではないが、同じ文献の別ページに 住友ゴムの 「吸音スポンジタイヤ の開発」 に関する技術資料が載っていた。ということで、これも読まないワケにはいかない。以下、同文献からの一部抜粋と要約である。

■タイヤノイズの伝わり方って?
路面からの入力 → タイヤの振動 → サスペンションを伝わる → 車体パネル →車内騒音

■タイヤのノイズの種類って?
(1) 「ゴー」 という低周波音 (100~200[Hz]) ・・・ タイヤの周方向の一次共振
(2) 空洞共鳴音 (250[Hz] 付近)        ・・・ タイヤ内部に空洞があるため
(3) 「ガー」 という中周波音 (250~315[Hz]) ・・・ タイヤ断面方向の二次共振

■ノイズ低減手法って?
(1) 「ゴー」 という低周波音(100~200[Hz])
  → タイヤのケースやビードを柔らかい構造にする。タイヤの周方向の一次共振を下げ、
    車体感度の高い領域での共振を避ける (要するにタイヤの縦方向の剛性を下げる)。

(2) 空洞共鳴音 (250[Hz] 付近)
  → 空洞共鳴音とは、タイヤ内部に空洞があるために発生する、タイヤ内部の空気の共鳴
    トレッドのゴムを柔らかくしたり、ゴムの厚みを厚くしたりして、路面からの入力を低減する。
    デメリットとしては、操縦安定性への影響が挙げられる。
  → そこで吸音スポンジの登場(後述)。

(3) 「ガー」 という中周波音 (250~315[Hz])
  → トレッド部分の剛性を上げることにより、車体感度の高い領域での共振を避ける。
    (タイヤ断面方向の二次共振周波数を上げて、車体の共振域からズラす。)

どうやら車体側には、タイヤノイズ (路面からの入力) に対して感度が高くなる領域 (100~200[Hz]、250~315[Hz]) があり、その共振領域と重ならないようにタイヤの剛性をコントロールする設計手法を採っているようだ。ただし、剛性を下げたり上げたりすると、それはすなわち車両の操縦安定性の変化に直結する。つまり、ゴムの材料や構造だけでは課題が多い (あるいは相反する性能が多い) と言えそうだ。

そこで住友ゴムが、上記(2)の課題を解決するために採った手法の一つが 「吸音スポンジ」 だそうだ。タイヤ(ゴム)の材料・構造によらない空洞共鳴音の低減技術で、これはすなわち操縦安定性を犠牲にしない、という開発方向を意図したものと言える。

■吸音スポンジって?
・タイヤのトレッド内側、内周に一周して貼り付けられている。
・タイヤ内部の空気の振動は、このスポンジにより吸収されるので、
 空洞共鳴音を低減させることができる。
・実車によるテスト結果は、図4の通り。空洞共鳴音のピークが消えている。

いや~、それにしても、タイヤ内部の空洞共鳴音が 意外なほどノイズとして現れているんですねぇ。クルマが高速走行した場合、タイヤには周方向に微少なスタンディングウェーブ現象が発生しているであろうことは認識していたが、内部に密閉されている空気自体が共振して、共鳴音を発生させている・・・という現象については、私はあまり深く認識していなかったです。

確かに空気の共振を抑えようとすると、タイヤの剛性をうんと高くしなければならないだろうけど、タイヤの剛性には手を付けられないとすれば、「タイヤの内部において、空気の動きそのものを打ち消してやる」 とする手法には、新規性があると感じる。どんな材質のどんな多孔質のスポンジが使われているのか、残念ながら書かれていなかったが、多分、適当な空孔を有し、非常に軽くて熱に強いスポンジが使われているのだろうな。

文献の図3を見ると、誇張のためなのか、あるいは本当にこれくらいの断面積を占めるほど大きくスポンジが張られているのか不明ではある。私見だが、そのうちいずれ、タイヤの性格に応じて この吸音スポンジが 2列の 並列構造で並べられたり、あるいは 断面高さの高いスポンジと低いスポンジの複数が組み合わされて張られたり するなど、その配置方法についてまだまだ検討できる余地(発展性)があるのでは?と感じる。

あるいは、スポンジの壁面(両サイド)のみを強化しておけば、たとえ空気圧が抜けてタイヤがぺちゃんこになったときでも、その強化されたスポンジの両サイドが内側からタイヤのトレッド面を支えるような、「簡易的ランフラットタイヤ」 に発展させることもできるかもしれない。吸音スポンジの、第二世代・第三世代の登場に期待したい。

このように、一つの技術からいろいろと自分なりのアイディアをふくらませ、発展させてみるのも面白い(素人考えだけれども)。・・・いやぁ、タイヤの開発って、まだまだ奥が深いんですね。
ブログ一覧 | 【クルマ関係(スバル以外)】 | クルマ
Posted at 2006/04/17 19:17:00

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この記事へのコメント

2006/04/17 23:48:30
スーパーオートバックスかなんかで断面カットモデルが置いてあったような気がしますよ。DUNLOPのなんとかゆーやつで内側にスポンジ貼ってるやつですよね?

窓枠の隙間スポンジテープの安いやつの幅広版みたいに見えたよーな気がしますが、あまり興味がなかったんで定かじゃないですが。

たしか展示では(ありがちな)ヘッドフォンで走行音?かなにかも聞けるようになったてたんじゃないかと。
コメントへの返答
2006/04/18 07:07:15
おぉ、コメントどうもありがとうございます。
LE MANS LM703 のカットモデルは私はまだ見たことが無いですが、量販店に置いてあるということは、拡販に相当力を入れているんでしょうね。SABに置いてあったら今度触ってみよう。

で、メーカーサイトの方を見に行ってみたところ、同じようなもの(スポンジ有無の走行音が聞ける)がありました→http://tyre.dunlop.co.jp/lm703/feature.html。スポンジはすでに2山構造でしたが、山の高さを扁平率で変えているのか否かまでは書かれていませんでした。
2006/04/19 10:35:38
お久しぶりです。

私も先日カレスト座間へ行った時にカットモデルを見てきました。

いやぁまったく、手で触ると柔らかく正直こんなもので・・という印象でした。。

ヒトツ気に掛かるのは、吸音スポンジの採用が確か205だか、215以上の幅の広いサイズしかない・・という事ですね。
あのCMでは、あたかも全てのサイズに採用されている様に感じてしまうのですが、実はそうでなかったですね。

幅の広いサイズしか採用していないのは、マスエフェクトの問題か?それとも何か別の理由があるか定かではないのですが、これを見ても、まだまだこれからの技術なのかなぁ。。と感じた次第です。

しかしランフラットへの発展性とは、僕は想像もできませんでした。

確かに、この技術を応用して、なにか面白い製品への流用が十分に考えられますね!。
コメントへの返答
2006/04/19 19:05:27
おぉ、これはこれは、ようこそ!
コメントありがとうございます。

そうですか、見た目はショボいスポンジなんですね。特別なスポンジではないとすると、当方、近々(摩耗した純正タイヤを)中国産の格安新品(215/45R17)に交換する予定ですので、ホイールに組み込む前に適当なスポンジをDIYで内側に貼り付けてみたくなってきました(笑)。

>あたかも全てのサイズに
そうですよね。一部サイズにしか採用していないのなら、消費者に誤解を与えないような配慮(告知方法)が必要ですよね。

>マスエフェクトの問題か?
私見ですが、たぶんそうだと思います。付け加えるとすると、コストの問題もあったのかもしれません。サイズの小さなタイヤでは、改善効果とコストとを天秤にかけて採用を見送った(たかがスポンジとはいえ、低価格帯でのコストアップ要因はなるべく避けるという経営判断が下った)のかも。・・・だからあのようなCM手法になったとも思えますね。

>なにか面白い製品への流用
私も今後の発展性に期待したいところです。(^^)
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