
不法(と思われる)業者を
国土交通省に通報した話。
新聞をじっくり読む時間が無いとき、私はよく
ネットニュース を見る。具体的には
YOL(Yomiuri on Line) や
Asahi com などだ。同じ事件であっても新聞社によって報道のされ方(記事の伝えられ方)が異なる・・・というのはよくあることで、私もそうしたことを意識しながら、各ニュースを
複数のメディア を通して読んでいる。
今日もネットニュースを拾い読みしていたのだが、ふと、その中に表示されていた広告(バナー)が目に付いた。見ると、「8ナンバー・普通車登録可」とある。一般の人には分からないかもしれないが、いわゆる8ナンバーとは特種用途自動車のことで、用途毎に定められた
構造要件 を満たさないと、登録または継続車検ができない決まりとなっている(例:キャンピングカーにおけるベッドやシンクなど。単に機材を備えていれば良いのではなく、その占有面積や設置方法などに細かな
規定 がある。そのため、8ナンバー登録すること自体が不可能な車両もある)。それなのに「普通車登録可」とはどういうことだ?
広告をさらに見ると、「継続車検・キットがなくても大丈夫!8ナンバー車検ぜひご相談ください」とある。・・・怪しい。これはクリックしないワケにはいかない。早速その広告主のサイトに飛んでみると、トップページに次のような文字が掲げられているではないか!「8ナンバー車検 キット レンタル キャンペーン中!」 さらにそのサイトを詳しく読み進んでいくと、「88ナンバー継続車検(キットレンタル込み)\95810」と記載されている。
要するに、車検の時だけ8ナンバー機材を貸し出し、車検が終了すればその機材を回収する・・・といった行為を商売のメニューにしていることは明白だ。このような行為は個人であっても業者であっても
弾劾(だんがい) されるべきものだ。特種用途自動車は特種用途機材を
常設 しているからこそ特種用途自動車として認可登録されているのであって、車検のときだけ一時的に機材を積み、普段は機材を備え付けない状態で公道を走行させると、その運行者に対しては
道路運送車両法違反、その業者に対しては同法違反(不正改造)の
幇助 の恐れが生じると考えられるのだ。
折りしも、今月6月からは「
不正改造車を排除する運動」と「ディーゼル黒煙クリーン・キャンペーン」の
強化月間 が始まり、
国土交通省のサイト でも「本運動の一環として行っている街頭検査については、警察庁、自動車検査独立行政法人、軽自動車検査協会、その他関係団体と協力して全国で1ヶ月間に162回の実施を計画し、不正改造車両に対して厳しく対処していきます」とある。私がたまたま見つけた上記の業者サイトの不法行為は、マフラーや灯火類、フィルム、不正軽油といった強化月間中の重点検査項目には当てはまらないかもしれないが、8ナンバーの不正車検という点では見事に合致する。
そこで意を決して、国土交通省に情報提供(通報)することにした。
まずは国土交通省・自動車交通局(代表:03-5253-8111)に電話した。
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私 :「○○と申します。実は自動車の不正改造業者に関する情報提供(通報)を
したいのですが、関係部署はどちらになるでしょうか?」
係 :「お待ちください・・・技術安全部の整備課になります。
ただいま電話を転送しますので、しばらくお待ちください。」
担当者:「もしもし。どういったご用件でしょう?」
私 :「かくかくしかじか。」
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私は、特種用途自動車の継続車検に関し、8ナンバーキットを車検のときだけレンタルしている(と思われる)業者があること、それがインターネットのサイト上で堂々と宣伝されていること、などを見たままに伝えた。そしてさらに、あくまで個人的な見解ではあるが、こうした行為は道路運送車両法違反の幇助に該当する恐れがあるのでは?と付け加えた。
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担当者:「なるほど。それは立派な
脱税行為 になりますねぇ。その業者のURL を
教えてもらえますか?」
私 :「かくかくしかじか。」
担当者:「分かりました。それでは早速そのサイトを確認のうえ、管轄の運輸局に情報と
して提供します。」
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私 :「恐れ入りますが、市民からこのような通報があった場合、情報処理の流れを
教えていただけますか?」
担当者:「まず通報を受けた時点で、緊急を要する案件か否かを判断します。
今回の場合、その業者が民間車検工場だとすれば、国が認可した認証工場
になっているはずですので、認証工場がそのような不正をしているとなると、
早急な
監査 が必要になります。ご指摘の業者は○○に住所があるので、まずは
関東運輸局・○○運輸支局の整備課 にこの情報を展開することになります。」
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私 :「なるほど。具体的なアクションは、○○運輸支局の整備課が担当するのですね?」
担当者:「そうです。我々国土交通省は、各都道府県の運輸局(注:北海道運輸局とか東北
運輸局とか九州運輸局とか)を統括する部署になりますが、個々の案件については
その運輸局の中の各支局(注;札幌運輸支局とか函館運輸支局とか室蘭運輸支局
とか)に動いてもらい、それぞれで
判断のうえ対処 してもらっています。」
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私 :「監査が入るタイミングは、どのようになりますか?」
担当者:「各支局の判断に委(ゆだ)ねられますが、情報確認後、すぐに監査が入る場合もあります。
逆に、不法行為をすぐに確認できなかった場合・・・たとえば、業者のサイトに不法行為
の記述があったとしても、実際に”お客さん”を取っていない場合は、単にサイトに広告を
載せただけで不法行為をした証拠にはならないため、実際に”お客さん”を取るまで
泳が
せる 場合もあり得ます。いずれにせよ、その判断は各支局の整備課に任せています。」
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私 :「ありがとうございます。それでは次回からは、このような通報は、該当する各運輸支局の
整備課に
直接通報 した方が良いのでしょうか?
担当者:「直接通報していただいた方が、素早く対応できることもありますが、基本的にはお寄せ
いただいた情報は確実にそのまま該当部署に伝達しますので、当課でも大丈夫です。」
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私 :「最後になりますが、このような不正(と思われる)業者に実際に監査が入ったかどうかを、
情報提供者である私はどのようにして知ることができますか?結果のフィードバックは、
どのようになりますか?」
担当者:「該当運輸支局のホームページなどに告知されることがありますので、そこで知ることも
できます。特に相手業者が国から認可を受けた民間車検工場などでしたら、その処分
の結果はすぐに公開されます。」
私 :「ありがとうございました。」
担当者:「今後もよろしくお願いします。」
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私が国土交通省・自動車交通局 技術安全部・整備課の担当者と話した内容は上記の通りである。2005年4月20日付けのブログ
リヤシート外しに見る法律のグレーゾーン(その3) でも紹介した通り、一個人である私の通報に対し、今回も国土交通省の担当者は真摯に対応してくれた(こちらが丁寧な口調で話した・・・ということもあるかもしれないが)。
ということで、もしも何かクルマに関する法的な疑問が生じた場合は、読者の皆さんも
国土交通省 や
運輸局 に直接問い合わせてみてはいかがだろうか?思いのほか丁寧に対応してくれるのではないかと思います。その方が、「あぁでもない、こうでもない」と躊躇(ちゅうちょ)するよりも、はるかに有益な結果が得られるかもしれません。
・・・さて、今回私が通報したその業者については・・・そのサイトに、今後どのような変化が生じるのかどうか、しばらく成り行きを見守ろうと思っている。
最後に、
各運輸局(運輸支局)の整備課 の連絡先を 関連情報URL として載せておく。