フルモデルチェンジしたホンダの新型オデッセイに試乗してきました。
ホンダディーラーでのやりとりや、オデッセイに対する雑感を順次、スバルユーザーの目線で書いています。今回のブログは、一連のシリーズの 「その10 (総括、最終話)」 です。
<関連ブログ(ディーラー訪問・1回目)>
◎「その1」 は →
「ホンダディーラーの対応状況」 編
◎「その2」 は →
「想定ライバル車はエスティマ」 編
◎「その3」 は →
「新型オデッセイの外観の印象」 編
<関連ブログ(ディーラー訪問・2回目)>
◎「その4」 は →
「CS向上策とその後のフォロー」 編
◎「その5」 は →
「査定依頼と試乗車のウラ話」 編
◎「その6」 は →
「試乗前の室内チェック・前編」
◎「その7」 は →
「試乗前の室内チェック・後編」
◎「その8」 は →
「スバルユーザーの試乗インプレッション・前編」
◎「その9」 は →
「スバルユーザーの試乗インプレッション・後編」
ホンダディーラーでの滞在時間は、訪問1回目(カタログをもらいに行ったとき)が約40分間、訪問2回目(試乗させていただいたとき)が約1時間でした。どちらも短時間の滞在でしたが、私なりに
得るものが多かった と思っています。カタログをもらう時には、「新型オデッセイに興味はあるが買う気はない(←意訳)」、試乗するときには 「クルマとして仕上がりが良いと思ったので、また見に来た」 と、まず最初にこちらの考えを伝えたのですが、”一見さん” の私に対しても、ホンダディーラーではいろいろなお話を聞かせていただけました。
一連のブログは、あくまで私的な雑感をつづったものなのですが、今回のブログは 試乗記(その8~その9)では触れていなかったCVTネタやレガシィの査定について紹介し、最後に 「まとめ」 を追記して総括編(最終話)とさせていただきます。
(↓前回ブログ:その9 からの続き)
■CVTのパドルシフトについて
新型オデッセイのアブソルートでは、パドルシフトを操作することによってCVTでも7段相当の変速比を手動選択することができます(※注:車速によってはシフトできないギヤ段があります)。パドルシフトはステアリングの左右奥に位置しており、大きさは少々小振りですが、操作性自体は良好です。反応速度にもタイムラグは感じられません。初めての人でも簡単に操作できるだろう、と感じました。
もともとCVTですので無段変速なのですが、「
まさに今、走っている状態が何速ギヤに相当するのか?」 を知ろうとするときには、少々
不便 に感じました。と言うのも、インパネ内の表示は通常 「D」 レンジ表示になっており、「ギヤ段を表示させるためには、マニュアルモードに入れるためパドルシフトを操作しなければならず」 → 「実際にパドルシフトすると、(今までのギヤ段の状態から)本当にシフトアップ/シフトダウンするリアルな変速が伴ってしまう」 からです。
要するに、単純に 「CVTは今、ギヤ段に換算すると何速に相当するのかな?」 を知りたい
だけ なのに、実際に知るためには 「本当の変速操作を加えなければ分からない」 のです。
情報を求めているだけであって、変速を求めているワケではないのですが・・・。
<↓オデッセイのシフトゲートはストレートタイプ。ギヤ段を知るためにはパドル操作の必要あり>
<↓エクシーガなどでは、マニュアルモード用のサブゲートに入れるだけでギヤ段が表示される>
私がこれまで乗ってきたスバルのAT車(GDA-CインプレッサWRX-AT、エクシーガGT、エクシーガtS)では、セレクトレバー(フロアシフト)をマニュアルゲート側に倒すだけで、現在のギヤ段が保持されたまま手動変速待機状態となり、同時にインパネ内に現在のギヤ段が表示されます。そこでパドル操作を加えずに、またセレクトレバーをノーマルゲート側に戻せば、インパネ内のインジケーターも 「3」 とか 「4」 などといったギヤ段表示から 「D」 レンジ表示に復帰します。
「今、何速?」 を確認するだけならセレクトレバーを右(→)/左(←)に動かす2アクションだけで(実際の変速をさせずに)済むのです。スバルのAT車に慣れた私にとって、新型オデッセイ(アブソルートのCVT)のマニュアルモード7速は、似て非なるものに写ったのでした。
なお、新型オデッセイのパドルシフトを ”ダブルクリック” してみましたが、飛び変速(例えば、インジケーター上で 「5速」→「3速」 に飛びシフト表示)されることはなく、「5速」→「4速」→「3速」 と小刻みに順送りで変速されていました。
■レガシィの査定について
試乗している間に、BPレガシィの査定が終わっていました。BPレガシィは2006(H18)年式、年改区分Dタイプ、6速MTのターボ、サンルーフ付きです。走行距離はまだ3万km台です。事故歴はありません。
具体的な金額は伏せますが、HONDA Cars での同年式・同グレードの標準的な基本査定額は、80~90万円とのこと。それに対し、当方のレガシィ(タイヤ&ホイールを純正・8分山に戻すことを前提に査定依頼していましたが)は、それよりも10万円以上、高値で見積もられていました。恐らく、車検残存期間(今年の7月に通したばかり)と走行距離の少なさが、加点要素として考慮されたのでは、と推測します。
私 : 「査定ありがとうございます。この場に来られなかった家族にも査定額を説明したいので、
加点要素や減点要素の内訳をプリントアウト していただけますでしょうか?」
営業チーフ: 「申し訳ございません。査定額の内訳をお渡しするワケには・・・。」
私 : 「家族が、どうしてその査定額なの? と聞いてきたときに、資料が無いと私自身が家族に
説明できなくなってしまいます。何とか、査定の内訳を出していただけないでしょうか?」
営業チーフ: 「新車の見積書に、下取車の価格として記載したものでしたら、お出しすることができます。」
私 : 「分かりました。お手数をかけて申し訳ありません。
それでは、オデッセイの見積書の作成をお願いいたします。」
こうしたやりとりを経て、見積書に現・BPレガシィの査定額(のみ)を記載いただくことになりました。私としては、加点要素よりも減点要素が何であったのか・・・を知りたかったのですが、ムリは言えません。ちなみに、新型オデッセイの見積もりは 「アブソルートEX/4WD/8人乗り/本革シート/リヤエンターテイメント/マルチビューカメラ/クルコン/衝突軽減ブレーキ」 でお願いしました。メーカーOPがフル装備された型式となります(ブログトップの画像参照)。
<↓付属品合計=21万1050円の内訳。ウルトラガラスコーティングNEOだけで9万5550円>
車両本体価格(約417万円)に付属品(約21万円)を加えると、車両販売価格で約438万円(値引きゼロの場合)。これに諸経費(26万円弱)が必要なので、合計価格は約464万円(下取り無しの場合)。実際には、この 「約464万円」 から 「BPレガシィの査定額」 を引いた金額が、乗り出し価格になります。付属品以外のディーラーOPは含んでいませんから、現・BPレガシィから乗り換えする場合の必要金額合計は、300万円台の後半・・・といったイメージですね。
私 : 「オデッセイを購入する
タイミング ・・・例えば3月などの決算期や、ディーラーさん独自の
セールスキャンペーン期間、あるいはメーカーのホンダさんから販売対策金(もしもあれば)
が出ている間とか・・・によって、レガシィの下取り査定額が変動することはありますか?」
営業チーフ: 「販社として、お客様にどうしても買っていただきたい場合は、弊社の中古車センターに
”(買取額を)上乗せできないかどうか” の問い合わせをすることが ございます。」
私 : 「わかりました、丁寧に教えていただき、どうもありがとうございます。」
新型オデッセイを購入する場合(オデッセイに限りませんが・・・)は、セールスマンが売りたいタイミングに合わせて商談を進めると、多少は有利に購入できるかもしれません。
■私的な ”まとめ”
あくまで私的な印象を列挙すると、次のようになります。くどいようですが、個人的な雑感です。
<外観など>
○要所でめっきパーツが使われており、見た目の高級感を演出している。
(旧エリシオン・ユーザーの乗り換え対策と思われます。)
○パンバーのコーナー部やボディ外板のフィニッシュラインに、
デザイン性と空力特性の両立を図った苦心の跡が感じられる。
(OPエアロ無しのメーカー純正状態でも、カッコ良さを表現。)
<内装など>
○ドライバー席からの各スイッチ類は、操作性良好。
○セパレート型のセカンドシート(プレミアムタイプ)は座り心地良好。
○3列目も広く、DC12V電源の位置(3列目アームレストの上面に内蔵)も、使い勝手が考えられている。
<荷室など>
○定員フル乗車でも、荷室は深さ方向の容量が確保されている。
○簡単操作でサードシートを床下収納できる点は美点。フルフラットになる点も優れている。
<運転性について>
△運転席中央に対して、ブレーキペダルが右寄りに配置されていると感じる。
(私はAT車は左足ブレーキングで運転するので違和感があった。すぐ慣れましたが。)
×ボンネットの前端が見えない。特に左端の見切りが悪い。狭い路地での幅寄せに気を遣う。
<走行性について>
○車両停止状態からのゼロ発進性は、アクセルペダルの踏み込みに対する反応を含め、良好。
○低速域での加速性も良好。静粛性も保たれている。
△中速域からの踏み込み加速性は、CVTとのマッチングもあり、やや緩慢。走行ノイズも増える。
(多人数が乗車し、登坂など路面負荷が大きなシーンでは、大きなキックダウンが必要。)
○アイドリングストップは、停止時・再始動時とも、振動や応答性に違和感はない。
<ナビ、オーディオについて>
○ステアリングSWで全般的な操作ができる点は良い。
△標準スピーカでの音質は、コストを考慮すれば悪くはない。ヘンに加工された様子もなし。
しかし解像度が不足して、音場の奥行きが薄い印象はある。
(比較 : 私がふだん聞き慣れているのは、レガシィのマッキントッシュシステム。)
■私的な ”結論”
新型オデッセイは、名前こそオデッセイを引き継いでいるが、従来のオデッセイとはまったく別モノ。旧型から引き継いでいるのは、走りを犠牲にしないという 「思想(のみ)」。しかもその達成手段も、低床技術による低重心化という(従来のオデッセイには無かった)新しいアプローチで実現させている。
細かな点に詰めの甘さが残るが、想定ユーザーの使用シーンをシミュレートしたうえで、良好な使い勝手が得られるよう、しっかりと作り込まれた品質が ”売り”。
「今あるホンダの技術を注ぎ込んで、理想の ”3列シートのミニバン” を新開発した。ただし開発の途中で、(お家事情により)エリシオン後継の役割も加味した。その新規開発車に、オデッセイという名前を継がせた。(低床技術で走りも良い、というのは、旧オデッセイユーザーを納得させるための ”後付の” 理由か?)」
以上が 私の視点での、勝手な雑感です。
クルマとしての仕上がりは素晴らしいと思いますが、だからといって、それが旧オデッセイユーザーの指向を吸収できるのか? については不明です。あくまで私が個人的にそう思っただけであって、使う人や使うシーンに応じて、印象や評価は変わりますので悪しからず。
毎回、長文にも関わらず、お読みいただき ありがとうございました。
これにて 「新型オデッセイ」 シリーズは終了です。失礼しました。