(前回までのあらすじ)
帰省(お墓参り)のため、家族を乗せてエクシーガで 「東京~札幌」 間を自走で往復した際に、エンジンルームから 「シュー」 という大きな異音が発生。
エクシーガはファミリーカーであり、かつディーラーでの車検終了直後だったため、DIY工具を積んでいなかった。が、帰省先で工具を使わないトラブルシューティングを実施した。
◎前回のブログは こちら →
「トラブル速報&工具を使わないトラブルシューティングの実例」。
■おさらいの巻
高速道路の追い越し車線で、加速中に 「シュー」 という異音を認知。異音の発生条件を確かめて 「過給圧漏れ」 の可能性があると判断。吸気系を構成している各部品の接続部分に、石けん水(または洗剤を溶いた水)を塗布した状態でストールテスト&実走を行いましたが、明確なリークポイントは発見できませんでした。
<↓(再掲):台所の食器用洗剤を使って、過給圧リークテストの準備をする様子>
<↓(結果):エンジン内部から外部への明らかな過給圧漏れ(気泡)は確認できず>
■対処方針の巻
基本方針として、
・メーカー保証の延長契約をしたので、保証を適用させたい。
・そのため 「シュー音」 が 再現する状態でディーラーに入庫。
と決めたので、帰路(札幌→函館→青森→東京)も そのままの状態を維持して戻ってきました。幸いにも、ターボの過給圧は安定圧で1.0(×100kPa)レベルまでは保持できているため、過給時に異音がするということ以外には、走行時に大きな支障は感じられません。
ただし、なるべく過給域に入らないよう、またインマニ負圧も深くなりすぎないよう配慮しつつ、安全運転を心がけました。その理由は、もしも本当に過給圧漏れが発生(→ 単にその部位が発見できないでいる)場合、次の懸念があるからです。
<過給時>
・ECUの目標過給圧に対して実際の過給圧が低い傾向をたどるため、
ターボがそれを補おうと仕事をして、過回転になる恐れ が考えられる。
<負圧時>
・過給時に圧が漏れるのならば、負圧時にも同じ場所でシール不良
が発生し、(エンジン外部から内部へと)空気を吸い込む恐れがある。
具体的には、アクセルワーク、SIドライブによるモード選択(Iモード、Sモード、S#モード)、5速ATのマニュアルシフト操作を適時、変化させながら、なるべく 「シュー音」 が発生しないような運転をしました。
(※SIドライブやATのギヤ段そのものは、異音への感度は(アクセル操作ほど)大きくないものの、恐らく点火時期やエンジン回転速度、シフトスケジュールを変えることによって、異音の発現頻度をある程度は調整できるため。)
こうして、無事に自走で東京に戻ってきました。
(※サラッと書いていますが、「札幌→東京」 は片道約1100kmあります。)
■ディーラー診断速報の巻
ディーラーの連休明け初日、エクシーガを持って行き事情を説明。予約無しの飛び込み作業依頼でしたが、何とかその日のうちに症状の確認をしていただけることになりました。その際、サービスフロントに対して次の各項を申し送りしました。
<当方 → ディーラーさんへの展開情報>
(1)異音を表現すると、「シュー」 という音であること。
(2)ブーストがかかっているときに異音が発生すること。
(3)アクセルペダルの踏み込み量に連動すること。
(4)車速、ATのギヤ段、SIドライブには鈍感であること。
(5)エアコンのON・OFFにも感度がないこと。
(6)どちらかというと、エンジンルームの左側から聞こえること。
お昼前にクルマを預け、夕方、引き取りに行きました。
ディーラーさんの診断コメントを要約すると、以下の通り。
<ディーラーさん → 当方への診断速報>
・異音は再現した。
・目視確認では、部品の組み付け異常やクランプの緩みは見あたらない。
・インタークーラ、エアバイパスバルブ 内部から空気の流動音が聞き取れた。
<↓エクシーガtS(EJ20ターボエンジン搭載)のインタークーラーとエアバイパスバルブ(ABV)>
<↓ABVの拡大画像>
<↓診断速報。念押し確認したところ「エンジン外部に漏れている様子は見あたらない」とのこと>
上記コメントに至る確認方法を尋ねたところ、「吸気系に石けん水を塗布して、ストール時にあぶくが生じるか否かを鏡も使いながら目視確認しました」 とのこと。・・・ん~、私が帰省先でやむなく採った方法と、プロのメカニックさんの確認方法が 同じ だったことに、少々ビックリ。
ただ、私の場合は一人で確認(※)したのに対し、ディーラーさんでは複数人で同時確認いただいたようですので、確認精度は上かと思われます。
(※帰省先で、妻に 「ボンネットの前に立つので、運転席に座ってブレーキとアクセルを両方同時に思いっきり踏んづけて!」 とは、安全上、お願いできなかったため。)
■保証への壁の巻・その1
「インタークーラ、エアバイパスバルブ内部から空気の流動音が聞き取れた(エンジン外部への漏れは確認できず)」 とのことですので、もしも異音解消のために部品交換が必要となるなら、当然、(補機部品は消耗品ではないので)保証が効くだろう。・・・そう思って、保証請求するための手続きについて尋ねてみました。
すると意外なことに、この段階では、まだ保証請求ができないとの回答。なぜか? 保証の対象に該当するかどうかは、ディーラーが決めるのではなく、メーカー((株)SUBARU)が決めるから、とのこと。
つまり、「この部品が不調です。現品を新品に交換したら直ることを確認しました。なお、ユーザーの使い方に問題はありません。」 というような 確定 が取れないうちから、「恐らくこの部品を交換すれば直る見込み」 という 可能性のみを以て保証(クレーム)申請はできない 仕組みだそうで。
そのため、エクシーガと同型品のエアバイパスバルブ(献体に相当)をディーラーさんが準備して、原因を確定させる必要がある。ところが今は、検証するためのABV(献体)が無い。だから、コメントシートの記述が 「後日同型品を用意し付替えにて点検させてください。」 という文言になっているのです、とのこと。
ユーザー(私)の立場からすると、すでにディーラーさんで異音の発生部位を 「インタークーラ、エアバイパスバルブ内部から空気の流動音が聞き取れた。」 と、ほぼ特定いただいたので、「交換部品の発注と同時にメーカに保証請求してくれたら良いのでは・・・」 と感じてしまうのですが、そこはそうできない決まりのようで。メカニックさん(ここではメーカとユーザーの橋渡し役)にゴリ押ししても、仕方がありません。
■保証への壁の巻・その2
「保証はディーラーが決めるのではなくメーカーが決める」 の法則だけでなく、今回、もう一つのネックとなっていることは、「エクシーガはマイナー車のため、検証するための同型品(献体)の在庫が無い」 ことでした。・・・はい、そこですか。
そこで、事態を進捗させるため、私から次の2案を提案 してみました。
<提案(1) : 保証に対して>
ユーザー責任で、新品を発注してしまう。
・発注後、部品交換で異音解消した場合 → 保証申請していただく。
・保証申請が通らなかった場合 → ユーザー(私)が買い取りする。
(※エアバイパスバルブは、ザックリ6千円~8千円程度とのこと。)
<提案(2) : 検証に対して>
同じEJ20ターボエンジンを積む、私のBPレガシィのエアバイパスバルブを移植する。
エクシーガにレガシィのABVを移植できれば、異音解消へ向けた検証が可能。
上記の提案に対し、ディーラーさんの回答は、
・提案(1) → 「いやいや、お客様に負担をかけることはできません(意訳)。」
・提案(2) → 「残念ながら、レガシィとエクシーガでABVの部番が異なります。」
部品番号が異なり、取り付けに際しては(例えば取り付けネジのネジピッチが異なるなど)互換性がない可能性が考えられる、とのことで、東京スバル全店舗に対してエクシーガ用のABVが準備できないかどうか、店舗間ネットワークで在庫確認いただくことになりました。
とりあえず、この日は車両を引き取って帰宅しました。
■レガシィとエクシーガの互換性の巻
ディーラーさんでは、「レガシィとエクシーガでABVの部番が異なる」 とのことでしたが、社外品 ではどうだっただろうか? という疑問が湧きました。具体的には、PROVA さんのハイプレッシャー・ABVは各車で同一部番ではなかったか? ・・・と。
<↓PROVAさんのHP・ABV。BPレガシィのほかインプレッサやフォレスターでも
同一部番設定>
念のため、手持ちのパーツリストでABVの純正部番も確認してみました。すると、エクシーガのABVはBPレガシィの2.0GT系とは異なるものの、2.5Lターボ(アウトバックXT)と同一部番であることが判明。
<YA5Eエクシーガ>
純正:バルブAssy, エアバイパス:
14471AA240(O-リング込み)
(※BP5F型レガシィ・アウトバックXT・2.5Lターボと同部番)
<BP5Dレガシィ>
純正:バルブAssy, エアバイパス:
14471AA130(O-リング込み)
(※2.0Lターボでの部番)
<↓上段はBP5DレガシィGTspecBの部番。下段のOBK_XTの部番は後述のエクシーガと同部番>
<↓YA5EエクシーガtSのABVの部番は前述のBPレガシィアウトバックXTと同じ>
ABVの純正部番がレガシィとエクシーガ(ともにEJ20ターボ)で異なるのは、恐らく過給圧設定(つまりはエンジン出力特性)が異なるために、パイプ内径や内蔵スプリングのレート(リリーフ圧設定)が異なるためであり、PROVAの例と合わせると、物理的には取り付け可能・・・と考えて間違いないハズ。
そこで、検証用のABVとして 「いつ準備いただけるか分からないディーラーさんの純正ABV」 を待つよりも(>関係者の方々、失礼します。他意はございません!)、「いま目の前にある、レガシィ用をエクシーガに移植して、症状が解消するか否かをDIYで確認する」 方が 早い! ことになります。
<異音解消に向けた検証方法>
・エクシーガにレガシィのABVを移植し、異音が解消するか?
・レガシィにエクシーガのABV現品を移植し、異音が発生するか?
(※これらの手法により、ABVに付いて回る固有現象か否かの判別が可能。)
・・・ということで、「点検整備はディーラーさんにお任せ」 と言いつつも、少なくとも 「異音がABV本体に付いて回る現象かどうか」 についてはDIYで確認し、その結果をディーラーさんと共有する ことにしました。
(※その際、ABV以外の吸気系部品には手を触れず、検証対象部品以外は現状維持とします。)
# 最終的にはメーカ保証を適用していただきたいため、
# ユーザーとして手を加える部分(ABV交換による検証)と
# 手を加えない部分(組み付け状態を含む他の吸気系)の
# 線引きは、しっかりと決めて守っておきたいところ。
「その3・DIY検証結果編」 につづく。
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2017-08-22(Tue.) : 更新
[エクシーガtS] DIYで診断検証→原因の切り分け(過給時にシュー音・その3) をアップロードしました。
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Posted at
2017/08/20 21:40:38