
GDIエンジン(Gasoline Direct Injection Engine)は、三菱自動車が1996年に量産車として世界で初めて実用化した直噴エンジンで発売当時は燃費-35%、パワー+10%、CO2排出量-35%が謳われ画期的なエンジンでした。
しかし、このエンジンかなりマニアックなエンジンで不具合が多く、狙っていたほど低燃費でなかったことや年々厳しくなる排ガス規制に対応できなくなる等理由により11年後の2007年に姿を消すこととなりました。
しかし、まだ世の中には私も含めてGDIオーナーはたくさんいます。
私も数々の不具合に直面し、どうやったらこの車になるべくお金をかけないで不具合を最低限に抑えて長く乗れるのかとか日々研究しております(^_^;)
私なりに考えたことを書きたいと思います。
まずはGDIエンジン特有の不具合を知る。
GDIエンジンには前期型と後期型があり、後期型はある程度不具合が対策されているのですが、共通して起きている不具合を挙げてみます。
①アイドリング不調や突然のエンジンストール
吸気系(スロットルボディーや吸気バルブ)や燃焼室内にカーボンが多く堆積してスロットルバルブや吸気バルブの開閉に支障が出たり、インジェクターノズルや点火プラグにカーボンが付着して燃料噴射や点火が不十分になって起きる症状です。
②エンジンオイルの異常消費
高圧縮エンジンのためどうしても燃焼室内にエンジンオイルが通常のガソリンエンジンより侵入して燃焼消費するためオイルが消費される傾向にあるのですが、カーボンがピストンとシリンダライナの間に入り込みそれがピストンリングを固着させたり、固着したカーボンがシリンダライナやピストンリングを摩耗させて隙間ができ、多くのオイルが燃焼室に入り込んで燃えて消費(オイル上がり)したり吸気バルブにカーボンが堆積してバルブが完全に閉じなくなって多くのオイルが燃焼室に入り込んで燃えて消費(オイル下がり)して起きる症状です。
③マフラーからの黒煙や白煙
黒煙は、アイドリング不調や突然のエンジンストールと同様の原因で起きる症状で白煙もエンジンオイルが異常に消費するのと同様の原因で起きる症状です。
④エンジンヘッド部からの異音
高圧ポンプや高圧インジェクターからの音と勘違いすることがあるのですが、ラッシュアジャスターがへたってくると油圧を保持する力がなくなり、ロッカーアームとバルブの間に大きな隙間ができてしまい、大きなカンカン音やカチカチ音が出るようになります。
そうなるとバルブの開閉タイミングが狂い、圧縮漏れを引き起こして正常な燃焼がなされなくなります。(エンジン出力が低下して通常よりも燃焼室にカーボンが溜まるようになる。)
原因は、カーボン等が多く含まれたエンジンオイルが循環することによりラッシュアジャスター内部にカーボンが堆積してアジャスター本体の動きを悪くしたり堆積したカーボンにより内部が摩耗してオイルがリークするためです。
⑤エンジンヘッド部からのオイル漏れ
高圧縮エンジンで通常のガソリンエンジンよりも高温になるため、パッキン類の寿命が短いのが原因で特に点火プラグホールのパッキンから漏れることが多いです。
不具合発生を少しでも無くすために
GDIエンジンは、作りにばらつきがあるようで悪いものにあたってしまうとどうしようもありませんが、メンテナンスに気配りすることによりある程度不具合を防ぐことができると考えています。
また、不具合に起因する多くがカーボンの堆積といったところにあります。
徹底しなくてはならないメンテナンスとは
①エンジンオイルは指定グレード以上、指定粘度範囲のものを使い交換サイクルを短めにする
指定グレードはSL GF-3以上となっていますが、現在は、SN GF-5が主流になりつつあり清浄分散性能もかなり高くなっています。
APIマークとILSACマーク付きでSN GF-5であれば基本的にはどこのメーカーのオイルを選でも問題ないでしょう。
ただし、鉱物油、部分合成油、合成油は走行距離3,000km程度(3,000km に満たなくても6か月程度)での交換が無難です。
化学合成油の場合、5,000km程度(5,000km に満たなくても1年程度)での交換が無難ですが、レース向けのPAO系とエステル系は粒子が細かくGDIの場合、パッキンからのオイル漏れにつながるので高額の割にはいいところなしです。
最近は化学合成と言っても一般車向けにはグループⅢ(VHVI系)が主流になりつつあってGDIもこちらの方が相性がいいです。
GDIのオイル指定粘度は5W20が基本で5W30、10W30も可としてます。
オイルの粘度は、5W20が基本であっても夏は5W30や10W30してみるとか走行距離が50,000km超えていてオイル消費の兆候が見られる場合は5W30や10W30を選ぶといったことも必要です。
私の場合は、新品エンジンに載せ替えてまだ22,000kmしか走行してないことや北海道での使用ということでオールシーズン5W20にしています。
エンジンオイル選びや交換サイクルを徹底することによりエンジン内のカーボン堆積を抑えることができほとんどの不具合防止に役立ちます。
②ハイオクガソリンの使用
GDIエンジンは大抵ハイオクが指定されていて使用することにより正常な燃焼がなされ燃焼室内のカーボン発生が最低限に抑えられます。
また、燃費もレギュラー使用時より良くなりかかるコストもさほど大きく変わることはありません。
③ガソリンエンジン清浄剤の使用
走行距離1、2万キロごとにPEA系のガソリン清浄剤を使うことにより燃焼室内や吸気系に溜まったカーボンを清浄することができます。
お金に少し余裕のある方はワコーズやバーダルの速効性吸気系洗浄システムを施工されるとかなりの効果が得られるようです。
④エンジンのシール保護及びオイル漏れを防止するエンジンオイル添加剤の使用
ゴム製のパッキンやガスケットの弾力回復に直接作用するタイプの添加剤でSNグレードのエンジンオイル対応のものがおすすめです。
走行距離2万キロ程度ごとに使用することによりオイル漏れが抑制できます。
⑤点火プラグは指定のものを使い、交換サイクルを短めにする
GDIエンジンの場合、2極タイプか3極タイプが指定されていて素直に指定のものを使うことが燃焼室内のカーボン堆積の抑制につながります。
特にイリジウムタフは、3極タイプでありながらカーボン付着により最終的には1極になってしまい、点火効率が悪くなってしまうのでNGです。
ただし、2極タイプのBKR5EKUDが指定されているGDIエンジンに3極タイプのBKR5ETUAを使うのはかなり効果的です。
また、GDIエンジンの燃焼室内は高圧縮でかなりの高温になるため電極の減りも早いため走行距離20,000km程度での交換が理想です。
⑥エアクリーナーをこまめに清掃する(汚れが酷くなったら早めに交換する)
吸気効率が悪くなると不完全燃焼を起こして燃焼室内にカーボンが多く堆積するためエアクリーナーを常にクリーンに保つことも重要です。
以上、この6つの徹底はさほど大きな出費でもなく、大出費の修理となることを考えれば苦になるものでもありません。
意見、質問等どしどし書き込みください。
また、少しでもGDIオーナーの方々へのお役に立てればと思います。