【なぜアクティ/バモス/ホビオなのか?】 ― I have a HONDA! ―
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
◆『クルマ好きとして対価を支払う気になるか否か』
唯一、対抗馬だったのが富士重工で作っていた頃のリヤエンジンのスバルサンバーです。
アクティや旧サンバーと、例えばD車・S車を乗り比べてみると、絶対性能に大差があるとは思いませんが、乗車感の違いは歴然です。
●エンジン回転、エンジン音の滑らかさ
●特に運転席の居住性(クッション性や角度・形状)
●特に高速走行時の操縦性のよさ
※サンバーの乗り心地の良さ(乗員に揺れを伝えない)はホンダ以上で、後ろのオーバーハングにエンジン、前のオーバーハングに乗員を配置することで、腕の長いヤジロベエのような安定感を作り出していると思います。
(=車室を広くし、揺れを穏やかにする、戦後~80年代の乗用車と同じ設計思想です)
ただ乗り心地優先の座席の柔らかさや、サスペンションストロークの長さゆえのロールの大きさが自身は気になりました。
2
◆『ユーザーへの配慮』
思いついた端的なものをいくつか記します。
●実際に後席は乗車に耐えうるものか?
例えばヘッドレストと三点式ベルトは必須と思います。また、某車を検討した際驚いたのは、床面と後席の座面が異常に近く、まるで”体操座り”のようになってしまうことでした。
●荷室寸法と、間口寸法の大きさ。
リヤエンジンのアクティ系やサンバーは荷台が高いイメージで、荷室高も間口も狭いのではないか?との先入観を抱きますが、実際に測ったところ逆で、むしろフロントエンジンのD車やS車よりも広いのが真相でした。
●変わらないテールランプ
バン/バモス系、アクティトラックとも、先代モデル(トラックに至っては初代アクティ以来?)と同じテールランプを使い続けています。
些細なことですが、実用車として買い替えユーザーには以前からの継続感(=安心感)を与えつつ、余分な部品在庫やコストアップを防ぐ姿勢は好感を持てます。
3
◆『他に類のない独自の構造』
歴代アクティ系の特徴といえば、ドディオン式後輪懸架(左右の後輪は繋がれているが、デフは車体側に固定する半独立式)で、FF乗用車のエンジン・駆動系ユニットを車体後部に搭載することが挙げられます。この設計を遡ると、60年代のTN360に行きつきます。
これは第一期のF1に携わった技術者による考案で、
●乗用車とエンジン・駆動系を共用できることでのコスト・部品流通のメリット。
●S車・D車・M車のFR固定車軸(リジッド式サスペンション)に対してプロペラシャフトがない分軽量で、且つファイナルドライブ(いわゆるデフ)を車体側に配置することでバネ下可動部分を軽量にできます。
スイングアクスルやセミトレーリングといった独立懸架に対しては、ドディオンアクスル(左右輪を繋ぎ位置決めする部品)が強度を高めつつキャンバー・トー角不変でタイヤ偏摩耗を防ぎ、穏やかな限界特性を持つ。
といったメリットがあります。
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余談ですが70年代半ば、フェラーリが312T2(F1)に一時期ドディオンアクスルを試していましたが(実戦投入せず)、もしかするとロータスGPチームが備品運搬に使っていたホンダの軽トラTN7、あるいは中村良夫さんとのパドックでの雑談からフォルギエーリ技師が思いついたのかもしれませんね(笑)
デメリットとしては、
●床下のエンジン整備がしにくい
●ジョイントを持つ駆動軸(ドライブシャフト)周りのメンテナンスが必要
という要素があり、相応な整備技術を要求しますが、TN360当時のホンダはSF(=サービスファクトリー)を各地に配置し、重整備を担わせていました。
自転車屋・バイク屋から参入の販売店が中心だったこともありますが、売りっぱなしにしない姿勢と、ユーザーの利益(=使い勝手)を優先させる技術方針は、実用にホンダ車を乗り継ぐ高齢オーナーが少なからず存在する事実や、熱心なホンダファンを養成する下地となったことと思います。
S社軽バンが一時期、アクティと同様のリヤエンジン/ドディオン車軸のレイアウトを採用しましたが、一代限りでFRに戻してしまったあたり、(あくまで想像ですが)技術・コスト上の理由だけでなく、一見同業に見えるホンダとの「価値観(あるいは「住む世界」)の違い」を感じたアクティ系ファン/ユーザーは当方だけではないと思います。
4
◆『一言でいえば「ホンダ」だから』
ブランド信仰の指名買いか?と思われる方もあるかもしれませんが、盲従ではなく、理由があります。
●「マン マキシマム、メカ ミニマム」
N360以来のスローガンがありますが、単にスペース配分の意味ではなく、『乗員・ユーザーのための発想に基づく自動車造り』(ユーザー オリエンテッド)と翻訳できると思います。
●「Do you have a HONDA?」
もう既に10年ほど前ですが、こんなテーマのTVコマーシャルがありました。
初めて自身がHONDAに親しんだのは小学生時代、伯父が買ってくれた「ローラースルー GO GO」でした(^^)
四輪F1や二輪GPマシン、ジェット機といったハイエンドに通ずる、発想豊かなエンジニアリングから生み出された製品群。
古くは”身の程知らず”とさえ映った、マン島TT(二輪GP)や四輪F1への挑戦。
長円ピストン、気筒あたり8バルブのGPレーサー NR500といった過激なエンジニアリングにも通ずる、”ホンダ スピリット”を、ちっぽけな軽バンの中に勝手に見出し、共感してしまうのです。
F1やGPマシン開発技術者や、レースチーム運営責任者が社長や重役に就任することも珍しくないメーカー、というのも大手自動車メーカーとしては考えにくいことで、好き者には特筆ものですね。
現行車両規定下のF1では苦戦が続き、揶揄されることも度々ですが、一般ユーザーがF1マシンにまで親近感を抱けるメーカーが他にあるでしょうか?
国産車唯一、「ブランド力(りょく)」とでもいうようなものを持っているのはホンダである、と言いきります。
5
◆『総括』
アクティ系バン・トラックの新車価格や整備費は「とにかく安くて動くこと」を重視する他車(社)に比べて若干割高なのは事実ですが、クルマ好きやヘビーユーザーが自然に欲する要素を持っていると思います。
「文明」として、実用品としての存在価値だけでなく、いわば「文化」とでもいえるような、例えばVWタイプ2や、シトロエンH、ルノー4といった車種から感じる「何か」に通ずるものがあるように、個人的には思います。
歴史を生き抜くアイデンティティを誇るアクティ系車両、バン/トラックだけでもTN360~TNⅢ時代のように、車体の”顔”に大きなHマークを入れたらいいのに、と思ったりもします。
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