かつて私にとってのチンクの象徴、それは 「Lupin」 ではなく、「 Enzo 」 だった。
そして 私にとっての Enzo は 「Anselmo Ferrari」 ではなく、「Molinari」 だった…
約10年振りだろうか、旧き友人と再会。
大学時代、同じ屋根の下で暮らし、呑み・語り・怒り・悲しみ・喜びを分かち合った。
数少ない、親友だ。
我々の学生生活は 全てが 「海」 だった。
寮から歩いて1分の海岸線。
毎日潜り、海の恵みを肴に呑み明かしたものだ。
3回生の夏、その映画に出逢った。
「素潜り」 の映画が来ると聴いて、確か新宿まで、青春18キップを使い丸2日かけて観に行った記憶がある。
残念ながら当時の日本では不評だったらしく、
ほんの数週間で公開は打ち切られた。
しかし、我々にとって、それは 「バイブル」 になった。
彼は自らの愛車 Nコロのフロントガラス・ワイパーを外した。 強引に。
下ヒンジのアクリル製を目論んだが、完成前に駐在さんに ”こっ酷く” 叱られ、泣く泣く断念(笑)
そして 春夏秋冬、海とともに暮らす日々。
卒業と同時に、我々は 「紺碧の海」 を職場とした。
世界の海はあまりにも大きく、畏怖の念を抱かざるを得ない。
映画で恋焦がれたイルカやクジラ達、マンタに ジンベイザメといった海洋生物と
文字通り、直に 「触れ合える」 夢の様な且つ、”死を意識する” 大海原の生活。
水深 6,000m超でのフリーダイブ。
そこには現実の社会とは隔離された世界観が、存在する。
ただ、静かに、ゆっくりと沈んでいく。
まさに 「再び浮かび上がる理由が、見当たらない…」 感覚。
十数年後、きしくも ジャック・マイヨール(本人)が命を絶って間も無く、
私は 「陸」 にあがった。
それ以来の、再会。
再びバイブルを紐解き、酒を酌み交わす一夜。
彼はいまだに現役、世界の海を駆け回っている。
次、逢えるのは何年後だろうか?
その時、またきっと この「バイブル」 を開くことだろう。
決して名作とは云えないかも知れない。
だが誰にでも、心に残る自分だけの一本が、”あの世”まで持って行きたい作品が、必ずある筈だ。
これが、私にとっての ”珠極の一本” 。
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アバルト 695 (ハッチバック) 小さいって良いですね。 |
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