私は 仔羊。
いつか立派なオトナになりたいと願う、まだ小さな仔羊。
「 おいしい牧草を食べに行こーよ 」
と、いつもの仔羊仲間に誘われて、スキップで となり村。
「 やぁ やぁ、コンニチハ。」
「 ちょっと暑くなってきたねー 」
「 はやく 毛刈りしてくれないかなぁ 」

四匹で いつもの仔羊トーク、楽しいな~
何やらイイにおいもしてきた、夏も近いし美味しい牧草まだかなー
あれ!? 何かいつもと違うかな?
あ、ほかの三匹は「飼い主さん」も一緒だ。 わ~い!
あれ!? 羊を連れてない人が一人、二人、三人… ちょっと怖そう。
でも、おとなしく草食べてるぶんには、叱られないよね。
頭撫でられてシッポ振っとけば、いきなり枝肉にされて出荷されたりしないよね…
「 いただきまーす!! 」
ボクたち四匹は とびっきりの牧草と干草を目の前にし、無我夢中!
「 オイシーであります!」
「 ココ来て良かったネ~ 」 等々
暗い、森の奥深くに連れて来られたコトに気付かぬ、哀れな仔羊たち…
遠くで 赤ん坊の泣き声が聴こえる。
コウモリが飛び交い、カラスは息を潜める。
お月さまはニヤニヤ笑い、キノコ達がヒソヒソ話。

焚き火の周りで 飼い主さん達が、おしゃべりしてる。
楽しそうだなぁ。 微かに口元が笑っているもの…
でも、眼が笑ってない。 どうしてだろう!?

お話、子供のボクたちにはムツかしくて、解んない。
聴き慣れない。 オトナの単語なのかな?
まだ知っちゃイケないんだろうけど、なんかドキドキするな。
でも、いつか立派なオトナになりたいと願う、ボクたち仔羊…
勇気を出して 「 あのぉ、ちょっとお話を… 」
パッキャオの踏込み並に間髪入れず、「 おだまりっ!! 」
「 ひぇ~~ ゴメンなさい~ シュン… 」
いま、何時だろう?
もう何週間もココにいる様な気がする…
ごちそうさま、もう食べれません。 おなか一杯…
あんなにたくさん牧草食べたんだから、仕方無いよね。
でも、まだ羊飼い達は楽しそうにお話してる。
口元が笑ってるもの。 でも眼が…
甲高い楽器の音色の様に、軽やかに、永遠に続く時間が過ぎていく…

私は 仔羊。
暗い、森の奥深くに迷い込んだ、哀れな仔羊。
いつか、立派なオトナになりたいと願う、まだ小さな 仔羊…
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Posted at
2012/06/13 18:55:40