平安時代から平成時代に下向して幾歳月ときどきタイムワープで里帰りするもののしばしばホームシックに見舞はれます(大河ドラマ『義経』も終ってもたし・・・)嗚呼,いにしえの御世に戻りたし(さめざめと涙)さんなやんさま古き良き万葉の時代を描いた映画が上映されてゐると聞き懐かしさに涙しながら観て参りました『死者の書』折口信夫・原作、川本喜八郎・監督人形を使ふた劇映画ですが人形を動かしながらそれを撮影するのではなく静止した人形のコマ撮りを繰り返しアニメーションのやうに見せる手法で作られてゐます物語の解説は関連URLに譲りますがこの物語で折口信夫が表現してゐるのはすべてのものに霊が宿るとする古代日本人の魂や自然に対する畏敬の念です死んだ魂は山に入りやがて雲霞となって冥界に上っていくされど不遇の死を遂げたものの魂はさまよひ続けるさんなさまよへる魂は自分に情をかけたものへと向かふこの物語の伏線となってゐるのは古代日本人のかのやうな霊の捉へ方です行き場を見出せない魂は自分に優しくしてくれたもののもとへ向かひますつまり捨てられて雨に打たれた哀れな猫は憐憫の眼差しを向けたそなたの優しさが忘れられずその霊はそなたに憑くのですその魂を引き受ける覚悟がなければ同情などすべきではないのでせう現代においてももちろん真実ぢゃと思ゐますこの物語では死者の魂を引き受けやうとした娘の姿が淡々と描かれてゐます原作は読んでゐないのですが映画としてはちょひと演出不足といふか起承転結あるいは序破急といふた展開のメリハリが感じられず盛り上がりに欠け眠くなって仕舞ひました