ゴルフのリアブレーキパッドがディスクに固着してしまったので応急処置として固着物は取り除きました。その後車は問題なく走ってくれましたが、ブレーキを踏むとまだかすかにゴリゴリと周期音が聞こえます。おそらく欠けたパッドを再装着して走っているせいだと思うのですが、ディスクの偏摩耗の影響もないとは言えないので思い切ってディスクとパッドを両方交換することにしました。
ちなみにディーラーで見積もりを出してもらったところ、
工賃:\18,468
リアパッド:\13,716
リアブレーキディスク:\29,376
キャリパーキャリアボルト:\6,480
合計:\68,040
でした。やっぱ想像してた通りけっこう値がはります。今回自分は↓のDixel製部品を装着することにしました。こちらは、
リアパッド:\13,716 →\6,912
リアブレーキディスク:\29,376 →\14,626

ほぼ半額です。部品代としては2万円ほど浮かせられますが、実際自分で作業するとどれくらい費用が掛かるのか最後にまとめてみたいと思います。
交換作業の方はというと、サービスマニュアルを見るにかなり大きなトルクをかけなければならない作業が必要になるので、レンタルガレージで2柱リフトを借りて作業することにしました。それと、前回の作業でメンテナンススペースがほとんどないことを確認していたので、海外の掲示板なども調べながら必要な工具を揃えました。国内の工具メーカーでは取り扱いのないものが多くて探すのも結構苦労しました。↓が今回の作業に必要な工具です。

工具の先端を付け替えるインサートツールと呼ばれるものは国内メーカーでほとんど取り扱いがありませんでした。これが結構高価で、途中でディーラーで作業してもらった方が安上がりだろうなとわかったんですが、中途半端に終われないので赤字覚悟で続行です。
↓はキャリパーキャリア用のボルト。今回の作業で最もトルクを必要とするボルトで、頭はトリプルスクウェアのサイズ14です。角度法によるトルク管理が必要なので、あらかじめどれだけ回したかわかるように90°ごとに印をつけておきました。一本1500円もする超高級ボルトです(笑)。
話は飛びますが、さっそく2柱リフトを使って作業開始です。まずはマイナスドライバーでキャリパーガイドピンのキャップを外し、
※ブレーキフルードは事前に抜いいて、ブレーキピストンもOBD11を使って戻してあります。
リテーナースプリングもマイナスドライバーでこじって外します。
次にガイドピンを緩めるのですが、↓がメンテナンススペースに問題ありの箇所です。ブレーキホースに工具が干渉してうまく作業できないのです。
どんな感じかというと・・・


こんな感じでうまくいきません。エクステンションはちょうどいい長さのものがなく、着けるとホイールハウジングとラチェットが当たってしまって作業できませんでした。Youtubeの動画ではみなさんいとも簡単に取り外しているのに何故だろう?と思ったら、トーションビーム式サスペンションの場合キャリパーのつく位置がマルチリンク式と異なるみたいです。
というわけでビットラチェットの登場。1/4"ではなく5/16"です。
これだとぎりぎり工具が入ります。
1/4"のHEXソケットとエクステンションの組み合わせもぴったり行けました。
う~ん、ナイスなかわし方。立体交差ですね。35Nmのトルクだと1/4"のラチェットでも少し力を入れれば外せました。
首振りラチェットを使えば3/8"のソケットとラチェットでも行けましたが、これだとトルク管理ができません。ボルト1つ外すのに四苦八苦です。
もう片方のガイドピンはというと、今度はビットラチェットだとヘッドが当たってしまって作業ができませんでした。
こちらは超ショートのエクステンションをかませてうまくいきました。なんてシビアなメンテナンススペースなんだ・・・
今思えばロングのHEXソケットがあればうまく作業できたかもしれません。次に作業する時には試してみようと思います。
これでようやくキャリパーが外れました。
1か月半ぶりにパッドを見てみると、あれ?なんだか片側だけ黒くなってる…
順番前後しますがディスクの裏側の写真です。
ブレーキディスクも真中だけ当たっていないので錆びてしまっていましたorz。
さて、キャリパーが外れたらお次はキャリパーキャリアを外します。しかしこれがトンでもなく固い。まずはラスペネを吹きかけます。
ここもまたスペースが全くと言っていいほどないところなので、ソケットの根元が六角になっている特殊なソケットを使用してトルクをかけます。ラチェットを使おうとすると高さが増してブラケットと干渉してしまいます。
こんな感じで超ロングのコンビネーションスパナを使いました。これだけ柄の長い工具を使ってラスペネをかけても、相当力を入れないと外せませんでした。2柱リフトが使えない人は作業しない方がいいと思います。立って力を入れられる体勢が取れなければ外せる可能性ないと思います。それほど堅かった。

もう一方のボルトは多少スペースがあり、後で出てきますが600mmオーバーのさらに柄の長い工具を使って外しました。さすがに600mmあると力は必要ですが楽でした。車の下に十分なスペースがないと工具が入らないので、やはり2柱リフトなしでは作業できないと思います。
キャリアが外れたらディスクを外します。T27のトルクスを使ってボルトを外します。
右側のディスクは固着していて人力で外せる気配がないので、ここでまたラスペネに登場してもらいます。ボルト穴には吹き付けられないので、その間の穴にラスペネを吹きかけて染み込ませます。何度かかけて浸透したら軽くプラスチックハンマーで叩いて外れました。ラスペネすごい。
錆が湿っていて、ラスペネがちゃんと浸透したのが分かります。
ワイヤーブラシで錆を落としてきれいにします。
左側は全然固着していなくてあっさり外れました。
固着対策としてWURTHのブレーキ用セラミックグリスを塗布します。スプレーで吹き付けて塗るタイプのグリスです。
こんな感じ。塗布が下手で一部ダマになっていますが・・・
グリスを塗り終わったら新品のブレーキディスクを取り付けます。
このボルトは8Nmで締め付けます。
取り付け終わったらブレーキクリーナーで表面の汚れを落とします。
次にキャリパーキャリアを取り付けますが、その前にワイヤーブラシでクリーニングします。
まずは90Nmで締め付け。
自分が所有しているトルクレンチだと24mmのインサートツールがつかないので、間に変換ソケットをかまして使用します。そうするとトルクレンチの有効長が変わってしまうので注意が必要です。
有効長を修正して計算すると、上の写真の組み合わせだと80.1Nmで90Nmになります。
カメラ撮った時はトルクレンチの値がずれちゃってますがorz
90Nmで締め付けたら、あらかじめボルトにつけておいた印と合わせるようにキャリア側に印をつけます。ここが90°回転のスタートになります。
こんな感じで色々障害物があるので注意しながら作業します。
アクセスしやすいほうのボルトでも一度に30°程度しか回せません。
同じ色の印が重なったら90°回った証拠です。ボルトを外すのと同様相当な力が必要です。
キャリア装着が完了したらパッドを取り付けます。まずは泣き防止のためにグリスを塗って、
装着。ピストンを押し戻すところの写真が抜けちゃってすいません。グリス塗布範囲はいい塩梅です。
キャリパーガイドピンにもグリスを薄く塗布しておきます。
キャリパーは35Nmで締め付けます。
後はガイドピンキャップとリテーナースプリングを戻して完了です。
お疲れさまでした。
色々考えながら作業していたら4時間経過していました。
レンタルガレージからの帰宅途中、ブレーキからはゴリゴリ音もなくなり調子が戻ったようです。
あたり面もちゃんと出ていて問題なさそうですね。
よかったよかった。