
さて前回のブログの続きです。
「
MAZDA3が売れていない」とか「
高級路線で失敗した」とか色々言われているようですが、前回ブログで淡々と事実を並べると、これらは概ね
根拠のない風評という風に云えなくもありません。
「概ね」「云えなくもない」と些か歯切れが悪いwのは、完全に事実無根…というワケには、残念ながらいかなかったため(^_^;)。
今日SKYACTIV-X搭載車が正式に発表されましたので、MAZDA3の真の評価が下るのはこれからですが、ボクがこの時点で敢えてこの話題を取り上げる意図は、風評を流した連中を糾弾することでは実は無く(^_^;)、
問題の本質として「
なぜこのような風評が流れたのか?」という点。
乱暴な言い方をすれば「世間にはアンチ・マツダな連中が一定数居る」という推察。
風評を流した連中の恐らく半分は一般人、残りの半分はマスコミでしょう。マスコミは某ライターが言うハイエナ系wかもしれず、もしかしたらマツダだけを標的にしているワケでは無く、昨今の好調なマツダに対して、世代交代のタイミングで
都合良く口撃材料を見付けて叩きにかかった、のかもしれません。
この手の輩は時間が経てば或る程度は沈静化するものなので、本来は放っておけば良いモノです。しかしマツダの立場からすれば「何も世代交代のこのタイミングで」というのはあるでしょうし、実際に副社長が日経ビジネス、ITmediaと複数のメディアに対して「火消し」とも受け取れる対応を取っている現実があります。
SKYACTIV-Xの発売遅れ、CASEの影響、様々なことは今後も起こるでしょうから、
今回のような「口撃の標的にならないために、何か出来ることはなかったのか?」という話。まぁ教訓ですね(^_^;)。
どうも今日から一週間に渡って藤原副社長のインタビュー記事がITmediaに載るようで、一連の風評に対するマツダの見解とか、様々な事実関係が明らかになって、それで沈静化すれば一件落着ですが、そもそも火の手が上がらなければ、火消しに奔走する必要もないワケですからね。ボク個人としては、クルマという製品のレベルアップと同様に、マツダの、
会社としてのコミュニケーション能力のレベルアップも期待したいところです。
改めて、MAZDA3の日本国内発売に焦点を当てて、マツダのコミュニケーションがどうだったかを振り返ってみます。
CASE関連のコストアップは仕方が無い。SKYACTIV-Xの日本国内仕様の手直しも仕方が無い、として、それらのことが十分に説明されてきたか?と言えば、マツダの動向に注視しているボクをしても、十分とは言えないどころか、全く不足していたと言わざるを得ませんでした。
このブログでボクはMAZDA3の価格の予測を書いていますが、発売前なので当然実車を見る機会はありませんでした。藤原副社長もライターの池田氏も「実車を見て、試乗して、それでも高いと思うのか?」と疑問を呈していますが、ボクなんかは実車も見ず、試乗もしてませんが、新型に切り替われば価格はこの位は上がるだろうし、マツダもそのくらいの値付けで売りたいだろうと予想することは出来るワケ。
ただ、世の中はボクのような人間ばかりじゃないwから、「え?」と思った人には
適切な説明が必要になります(^_^;)。その
説明で相手が「なるほど」と思えば、その価格が受け入れられるかどうかは別にして、少なくとも価格上昇の理由は理解するワケだから「身の程知らずに値上げ」なんて話にはなる筈はないのです。
で、実際には適切な説明がないまま、この段階になって副社長がメディアを通じて説明、、、って、そりゃダメでしょう(^_^;)。
ただインタビューを読んでマツダにとって不運だったと思う点。
藤原副社長曰く
「CASE関連のコストアップ分を説明で納得させるのは難しい。故に静粛性、内装、オーディオなどCASE以外の解り易い部分の品質を上げて、価値を納得頂けるように頑張った。」
とのことで、このアプローチは一見真っ当、かつ
メーカーとして良心的なモノに思えます。
ところが消費者には
「静粛性を上げ、内装の質感を上げ、高級なオーディオを搭載して、故に価格が上がった。マツダはMAZDA3から高級路線に舵を切った。」
と、どうやら受け止められた節があります。
これは作り手側の意図に対してとっても不幸なことですが、こう受け止められる土壌としてマツダが再三「商品の価値を認めて貰いたい」「値引きに頼った商売はもうしない」「マツダ・プレミアムを目指す」と言った発信を繰り返してきたことがあります。
結果論かもしれませんが、冒頭で述べた通りで世の中、マツダに好意的な人たちばかりではなく、
隙あらばなんらか批判を述べてやろうと手薬煉引いている連中が居るってことを考慮する必要があります(苦笑)。
例えば今回、日経ビジネスやITmediaに藤原副社長が語った話。一連の事情って
ディーラーの営業マンに一体どこまで知らせてあったのでしょう?とかね。d(・・)
各販社に「重要事項」として社内通達しておけば、営業マンはお仕事の延長線上で一連の事情を理解するでしょうし、それをベースに顧客にも説明が出来るでしょう。しかしメディア記事の場合、見る人と見ない人で濃淡が出来ます。記事を読まない人も居るでしょうが、そんなところで情報発信されているなんて知らなければ責められません。結果的に
販売の現場より顧客の方が事情通、というのは非常に上手くない事態で、結果的に営業マン、更には店舗の信頼を落とすことになります。
新型になって値段が上がるのは仕方がありません。
今回の要因の多くがCASE対応にあったとして、しかしそれだけだと顧客の納得が得難いと考えたのであれば、実際に宣伝するかどうかは別として、少なくとも営業マン向けの知恵付けとして
・価格上昇の主要因にCASE対応があり、従来メーカーオプションだったものの標準搭載化が進んでいる
・その価格上昇を顧客に納得頂くために、CASE各装備の標準搭載化に加えて内外装の品質向上を行っている
・価格上昇に対して懸念を示す顧客に対しては、従来のメーカーオプションが標準化されている影響で価格が上がっていうように見えるだけで、その上昇に見合った静粛性や内装品質の向上を図っており、むしろお買い得である点を訴求すること。
といった説明シナリオを託しておけば、全国で何人かの顧客に情報は伝わるでしょう。
そうすれば、ネット上に変な風評が上がったとしても「私は販社でこういう説明を受けている」という声が上がることになります。相反する声が上がれば「どっちが正解?」と思う人も居るでしょうから、例えば昨日ボクが上げたような内容に辿り着いた人なら「うん、なるほど」となる人も居るでしょう。そうすれば風評は「ろくに事情もわからずに騒いでいる変なヤツの虚言」となって、マツダが自ら乗り出さなくても沈静化することだってあります。
SKYACTIV-Xの国内投入が遅れるのも仕方がありません。
国内向けSKYACTIV-Xがレギュラー仕様で開発してきて、ハイオクを入れても欧州仕様のような性能が出なかった。これを急遽マルチオクタン価対応に変更するために市場投入が遅れるのであれば、少なくともその事情は販社と共有すべきでしょう。そして
・欧州仕様のSKYACTIV-Xの性能が大変好評だが、国内向けのレギュラー仕様にハイオクを給油しても同等性能とならないため、急遽マルチオクタン価対応に変更するため発売が延期となった。
・日本国内仕様はレギュラーとハイオクのどちらを給油してもオクタン価に最適な性能が出るようになる。
・ハイオク指定(つまりレギュラーガソリンが使えない)という誤解が広がると、高い燃料単価を理由に顧客が購入を敬遠することが懸念されるため、レギュラーガソリンも問題無く使用できることをしっかり伝えること。(当然ハイオク使用時より性能は僅かに落ちるが、エンジンには何ら問題はない)
という点を誤解無く顧客に伝えられるようにしておけば、発売が2ケ月遅れることなど何の問題にもなりません。むしろより高性能化して発売されるのであれば、期待している顧客は喜んで待つでしょう。
たったこれだけの事をタイムリーに
営業の現場に周知さえしていれば、今出回っているいくつかの風評は、完全に封じ込められないまでも放置して問題無いレベルに落ち着いたと思うのですが、、、どうでしょうかね(^_^;)。
因みに今日公開された
CarWatchのこの記事には、SKYACTIV-Xがハイオク推奨になった件がこういう書きっぷりです。
「ちなみにベースの2.0リッターエンジンは
レギュラーガソリン仕様だが、SKYACTIV-Xでは
スペックを重視するためハイオク仕様へと変更されている。「
燃料代の差額は燃費数値の向上分でカバーできると考えています」(マツダ広報部)という。 」
これを読んだ人は「ハイオク仕様」という言葉を「ハイオク指定」と解釈するか「ハイオク推奨」と解釈するか、どっちだと思います?(^_^;)
メディア記事の品質なんて所詮はこんなものなので、そのメディアに頼って情報発信することには自ずと限界があります。大切な情報、特に誤解を生むとマズい情報は自らが丁寧に発信することが肝要ですが、上記の記事に書かれていることが正しいのなら、そもそも
マツダ広報部が事の重要性をどう認識してるのかも怪しい(苦笑)。
独車のガソリン車がハイオク指定なのは欧州の燃料事情で、彼の地のレギュラーガソリンのオクタン価が日本のハイオク相当だからです。
独車が欲しい顧客は仕方なしに愛車にハイオクを給油していたワケですが、独各社がディーゼルモデルをラインナップし始めたら、大半の顧客がディーゼルを買うようになりました。
以上の事実が示すところ、車両価格が高い独車を求める顧客ですら、
単価の高い燃料が指定されることには潜在的な抵抗感があって、
燃料単価の安いディーゼルモデルが買えるとなったら
簡単にそっちに流れちゃったってことですよ。それだけ多くの消費者は燃料の単価に神経質ってこと。
つまり、
多少の性能向上によるポジティブな面より、単価の高い燃料が「指定」になることのネガティブの方が遥かにデカい!という
消費者心理をマツダのアナタwはどこまで理解しているの?、、、と不安になってきますね(^_^;)。
ということで、マツダの広報さんには色々と精進して貰いたいというブログでしたw