2011年11月25日
BMW E90 323i とは何か。
BMW E90 323i(以下323i)とは何か。私はこれを常に自問している。だが未だにハッキリとした答えが出ないので困っている。
スペックの観点から申し上げれば「323iとは320iと325iの中間グレードである。」という一言で片付きそうなものなのだが、話しはそう簡単ではない。なぜなら323iは本国ドイツでは設定されていないグレードなのだ。いやドイツだけではない、アメリカにもない、イギリスにもない。世界中で323iなどというものは日本にしか存在しない。323iはBMWが日本市場専用に設定したグレードなのだ。そのため他のグレードとは明らかに違う部分があるという。それは足回りだ。あるサイトによると323iのサスペンションは日本仕様に柔らかいものとなっているのだという。
(参照: http://blog.goo.ne.jp/bmwm1356/e/560a2504a0a2977c845bec39b5048c40 )
これが事実なら衝撃的だ。私は以前E90 320iのノーマル(走行距離16000kmの中古車)に乗っていた。その上で現在の愛車(走行距離23000kmの中古車)に乗り換えたのだが、足回りうんぬんの話は言われてみないと分からないものだった。だが確かに言われてみると少し323iのほうがゆるいような気がしないでもない。高速での安定性が320iのほうが優れていたような気がしないでもないのである。足回りの件はディーラーに確認したことが無いのではっきりしたことは分からない。だからこれ以上はここで議論することはできないのでこのくらいにしておく。
次にエンジンに目を転じよう。これはもう確証的なことが言える。323iのエンジンは2.5L直列6気筒エンジンで馬力は177psだ。後期型から190psに変更となった。私の愛車は全期型の177psだ。前期型はエンジンフードがシルバーであり、後期型はブラックになっているのでそこで判別がつく。先ほど確証的なことが言えると述べたが、以上のことはスペック表に示されているので言うまでもないことだ。323iのエンジンが325iのエンジンと全くの同型なのだが、コンピュータ制御でその出力を抑えているのだ。これが確証的に言えることなのだ。
この事実から見ても323iとは何かという疑問が簡単には解決されないものであるということが分かるだろう。つまり323iとは323iであってもその実態は325iであり、BMWの日本戦略の一環からそのエンジン出力を抑えたダウングレード版なのだ。ダウングレード版という言葉の持つネガティヴなイメージに私は悩まされている。323iとは何か。323iとはそれだけでは自己完結していないものなのだ。その説明には常に325iについての説明が欠かせない。
シルキーシックスという言葉がある。この言葉は実はBMWは一言も言ったことがないのだという。BMW=シルキーシックスだという認識を持つ市場は日本市場だけらしいのだ。先述のBMWの日本戦略とはそこを突いた戦略だ。どうしてもBMWの直列6気筒に乗りたいという強い気持ちが日本市場に存在している以上、そこに目を付けるのは商売人として当然の行為だろう。だからBMWは323iを日本市場だけに投入し、価格帯を320iと325iの中間に位置させた。これによって憧れのシルキーシックスがより手に届きやすくなったのだ。323iとはマーケティングと市場心理の産物である。
これが私の自問の答えになってしまった。その認識の下、愛車のエンジンを回してみる。エンジンフィールは確かに直列4気筒とは違うものがある。4気筒よりも重々しい挙動である。運転席の視覚からの印象だがタコメーターの針が4気筒よりも長く重たいもののように感じられる。その分針が高回転域にまで跳ね上がった時はテコの原理が効いたかのように大きなエネルギーを発生させる。4気筒の針は印象として短く軽いので高回転域に達するのも軽い力で容易だが、そこに達してもまだ軽いまま、といった感覚だ。これはあくまで感覚であって実際の針の長さは全く同じだ。
私も日本人なのでこれがシルキーシックスかと悦に入るのである。しかし忘れてはならない、これはダウングレード版のエンジンだ。5000回転、6000回転と上がっていき、レッドゾーン手前まで来た時のエンジンフィールはあまり気持ちのいいものではない。上から頭を押さえつけられているような気持ちの悪い感覚が確実にそこにはある。これが323iの限界なのだろう。私は325iに乗ったことがないので比較はできないのだがb-otaku氏のサイトにはそのような解説があった。
(参照: http://www.b-otaku.com/index.htm )
私はそれでもこの車に乗り続ける。第1の理由は別の車を買う余裕が無いから。第2の理由はBMWらしいハンドリングの良さは健在だから。第3の理由はシルキーシックスという記号性が日本においては依然として有効だから。以上の3つの理由から私はこの車を手放さない。
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2011/11/25 10:52:46
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