世の中には、生きたくても生きられない人もいる。何の不自由も無く暮らしている自分たちは、はたして、精一杯毎日を生きているのだろうか。五体満足で生まれてきた多くの人たちは、歩いて、そして両手を自由に使えることを当たり前に思っているようだ。両手を一時使用不可能に陥った俺でさえ、普通に両手で頭を洗ったり、自分でトイレに行けることの有難さを普段忘れて過ごしている。最近は殺人事件が毎日のように報道されている。人の命って言われても、実感がわかないと思う。だから、犯行に及んでしまうのかもしれない。人が死ぬことは悲しいことです。身近な人が亡くなることによって、命の重みを身をもって感じることが出来ると思う。俺は、前まで、例えば交通事故のような事件なんて無関心だった。でも今は、重態、重傷と聞くと、あぁ死ななくてよかったと思うようになった。まったく見ず知らずの人にもかかわらず。これはすごい変化だと思う。実際にそんな経験をしなければ、気づかなかった俺が馬鹿なだけだとも思うけれど。