
以前、現在の本館5階にスターライトグリルというメインレストランがありました。大改装にともない閉店されるというので、当時は彼女だった嫁さんと出掛けることにしました。まだ、若かった私には大奮発のディナー。ましてはニューグランドということで緊張しながらの食事でした。味なんてまったく覚えていません。覚えているのはこのお店の天井の美しい装飾のみ・・・このときほど、分不相応ということを思い知らされたことはありません。もう21年も前のこと。今ではほろ苦い思い出です。
このスターライトグリルからは日本では定番となった多くの洋食メニューが生まれました。スパゲティーナポリタン、ドリア、プリン・アラ・モード・・・当時、このレストランが如何に最先端だったかを物語る話です。しかし、それを売りにしないところが、このレストランの粋なところだと思います。
誰もいない旧ロビーを見たくて、朝6時前に再びここに訪れました。結婚式が無ければいつも静かな場所ですが、早朝となれば、なお更静寂に包まれます。昨夜撮影したエレベーターホールから離れ、待合室に進んで見ます。

ここで目に飛び込んでくるのは、ニューグランドブルーの絨毯とその上に置かれた横浜家具たち。横浜家具とは開国後、日本に住むようになった西洋人向けに日本の家具職人たちが手がけたものです。

彼ら家具職人の多くは、宮大工や馬具職人だったこともあり、もともと高い技術を持っていました。彼らの技術力にジャポニズムを加えたのがこの横浜家具です。ファブリックの部分何かに似てませんか?そう、着物の帯です。

今ではこの旧ロビー以外で横浜家具に出会える場所はほとんどありません。震災や空襲で洋館の多くを失ってしまったからです。

大きな窓から見える銀杏の緑とその窓を包み込むドレープの青が何とも美しい情景を生み出しています。

こんな素敵な空間を独り占めできるなんて素晴らしいことだと思います。近くて遠かったニューグランドですが、今回の宿泊を機に身近な存在になりました。これからは気分転換したいときに使わせていただこうと思います。
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横浜 | 日記
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2012/07/16 07:43:13