
御無沙汰しています
仕事が佳境に入ってしまい 皆様に応答しておらずすみません(__)
奴隷生活が当面続きます(T_T)
純正品のLED基板を友さんからお預かりする機会があり
折角なので保安部品の回路設計がどうなっているか?解析してみました
以下自分用メモです (弄りのご参考に)
LEDの電流は、定格まで流すと短命(暗くなったり、玉切れや点滅)になるので
どこまで流すかで品質が決まります
10年の品質は確保しているであろう純正品の設計値を前々から知りたかったのです
制動灯のLED電流を抵抗で決めている純正基板を目の前にし
変態なので我慢できませんでした
どんだけディレーティング(部品定格に対する使用率)を確保しているのか
把握したかったので、今回計算してみます。
日産K12マーチのハイマウントストップランプです。26590-AZ100
サプライヤーはスタンレー電気 国内自動車照明2位の有名どころの設計を拝見できます。
ワクワク(^^♪
まずは使用しているLEDの調査
もう世代おくれかなーFLUXタイプです。 今はパワーLEDですよね
メーカーと型名が判らないと始まりません グーグルフル活用
部品形状と点灯時の配光から
Lumileds(PHILIPS製 欧州)
HPWT-MH00 と判別しました ほっ
やっぱ純正部品、車載専用の高品質部品採用してますね
スタンレー自前のLEDじゃないのは、FLUXタイプを持って無いからですね たぶん
色(波長)はRED-ORANGEです
真赤使わないのは、見た目の明るさUPの効果を狙ってるのかな?
おおっ、LEDが裸では目潰しのように明るい
中古品ですが、明るさや色目のばらつきやムラは皆無です
素晴らしい品質のLEDを沢山使ってるなー
中国製とは比べ物にならない
やっぱ純正品だなー これはいい物だー
いやー よだれ物で欲しい基板ですね
借り物で残念(TT)
愛車の中国テール 切れる前に純正採用LEDに植え替えたい(爆)
回路はLED 4直でした
3直に抑えてるとおもいきや、これは意外です
4直ということは10Vでの点灯保障は割り切ったのでしょう(VFtyp=2.6Vとして)
赤色LEDは青色(=白)に比べVfが低いので出来る技です
回路は下記の順で直列になっています
VCC
ダイオード(逆流防止)
LED1
LED2
15 ohm(1/2W 5%)
LED3
LED4
15 ohm(1/2W 5%)
GND
<電流設計値を各部品の電圧実測値から計算します>
①VCC=13V印加時
逆流防止ダイオードのVFは実測で0.85V
LEDのVfは2.6~2.7Vでした
13V時のLED電流 Ifを求めます
13-0.85-2.65*4=1.55V
If=1.55V/30Ω=51.6mA
ICの定格電流はSPECより70mAです
ディレーティングは73.7%(=51.6/70)です
VCCが実動作の平均に近い13Vでは、80%以下にしていますね。
②発電時ワースト想定で16Vで計算します
ダイオードのVFは実測で0.86V
LEDのVfは2.8~2.9Vでした
16-0.86-2.85*4=3.74V
If=3.74V/30Ω=124.6mA
定格70mAに対し、ディレーティングオーバーでなんと178%です
16Vでの動作は想定してない模様(>_<)
③実動作の上限に近いダイナモ動作時の14Vではどうでしょう
ダイオードのVFは実測で0.833V
LEDのVfは2.78~2.79Vでした
14-0.833-2.785*4=2.027V
If=2.027V/30Ω=67.5mA
ディレーティングは96.4%です。
100%以下なので、14Vでは定格内の使用であり
SPEC保障されるのでLEDは壊れないです。
(あくまで実測値での判定です。厳密にはVf0.2Vのばらつき、抵抗5%ばらつきがあり、計算上は100%超えるでしょうね)
LEDの発熱も指で触れる程度のぬるさで信頼性は抜群そうです。
ノウハウとしてLEDの足が指で触れない温度だとTjオーバーし、いずれ切れます
【今回の結論】
抵抗での純正電流設計 電源14V以上は定格無視で割り切ってた。
赤色LEDを4直にしており、10Vでの点灯保障は出来てない
↑日産K13マーチ スタンレーの設計値
感想:
私としては、16Vで定格内の保障ができていないとは意外な事実でした(^_^;)
想像するに
日産がサプライヤーに14Vまでの保証でいいよと言っているのか
あるいはサプライヤーがLEDメーカーと16Vで壊れない特別な確約を取ってるのか?
どんなに悩んでも ユーザーサイドからはわかりましぇん(笑)
今はパワーLEDの時代なのでLEDドライバICで電流の安定化制御かけてるので
電圧が変動しても定格超えない設計ができてると思います
以下メーカーからDLしたLEDのSPEC乗せときます。

定格電流は70mA
動作保証温度は車載対応-40~100℃
半導体なんで接合部分のTj(ジャンクション)温度定格は125℃
照射形状は下記の通り円形でした。

Vf対If 代表特性

車載品のVfばらつきはランク指定で0.2V位に抑えられてるんですね
さすが純正品
今回はBIN 4と5が該当っぽい(③のVf値 測定条件の70mAに近いので)
またまたマニアックな投稿になってしまいました。^^;
でもこういう純正部品の設計ノウハウを解析した情報 って
NETにないんですよね~ 発信すればきっと世の中の役に立つはずだ
自分だけ知ってても世に貢献できないし、日本初の情報だと思うと
投稿するモチベーションも上がる
自己満かもしれないですが、そう考えると投稿の源になるので(笑)
まだまだ各社の設計思想の疑問は尽きないです
車メーカー間で部品定格に対する使用率の違いはあるの?
大衆車向けと高級車では品質の設計思想は変えてるの?
機会あれば、他の部品でも調べたいですねー
長文にお付き合い頂きありがとうございました。