唐突に、ブログを始めてみました。
というのも、中古車ウオッチングをしていたらブログを書かずには居られないような個体を見つけたからです。
この個体の画像だけでピンときた方はかなりのフリークでしょうし、記事タイトルを見て気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
ただの地味なE39 528iにしか見えないこの個体ですが、何となく雰囲気が違うように見えませんか?
まず、非Mスポーツでありながらやや低めの車高。
また通常メッキが配されるモール類も、ブラックアウトされています。
そして、E39では比較的珍しい「17インチの」ラジアルスポーク スタイリング32。
さらにインテリアに目を移すと、Mステアリングが目に付きます。
そして極めつけが、「ただのモケットの」スポーツシート。
この個体は、一世を風靡したMスポーツがデビューする直前に販売された特別仕様車、「528i スポーツ」である可能性が極めて高いのです。
528iと540iに短期間設定されたこの「スポーツ」仕様は、近年で言えばE90のダイナミックパッケージのような、標準車外装でありながらスポーツ性を高めたモデルでありました。
不確かな記憶ですが、以下の装備がセット装着になっていました。
・ホワイトウインカー
・純正スポーツサスペンション(Mスポーツ用とは異なる。後期の特別注文OP用スポーツサスペンションと恐らく同一仕様。)
・スチールサンルーフ
・ラジアルスポーク スタイリング32(17インチ)
・Mスポーツ ステアリング(クルコン付き)
・スポーツシート(専用ファブリック。540では本革)
・シャドーライン(窓枠・バンパーモールがブラック)
(前期非Mスポのシャドーラインは特別注文車のみなので、極めて貴重)
・DVDナビゲーションシステム
・キーレスエントリー
※一部2018.4.5追記
(装備面における追記)
この限定車はいわゆる後のMスポーツとハイラインを混ぜたようなモデルであり、また98モデルと99モデルの切り替わり時期に導入されたため、
いろいろな装備が(やや中途半端に)付いています。
例えば、ステアリング自体は前期Mスポーツと同一ですが、MスポーツでOPのオーディオ&クルーズコントロールが標準装備。
また標準528ではOP(プラスパッケージ等)のナビとキーレスが標準。
ナビ自体も、99モデルからCD→DVDへ変更になり、それが装備されたて。
同様に、エンジンもM52→M52TU(ダブルVANOS仕様)へ変更されたてのもの。
ATも従来のD・S・3・2の7ポジション仕様から、ステップトロニック仕様に変更。
(※なお、誤情報も多いためここに記しておきますが、
このステップトロニック付きATは中期(いわゆる前期外装)モデルの6発に関しては従来同様のJATCO製であり、
ZF製(E46後期と同様)となったのは後期モデルからとなります。
簡単に言えば、E39のM52ステップトロニック付きはJATCO製ということです。
また、そのMTモードのプログラムに関しては極めて前時代的で、
アクティブに走るには不向きということもここに記しておきます。
マニュアル操作を伴うアクティブな走りを望む方は、
M52前期モデル(非ステップトロニック)かM54後期モデルを探されたほうが良いでしょう。)
外装色もこのシルバー(チタン・シルバー?)のみだったような気がしますが、記憶が定かではありません。
→訂正(アルピンホワイト、チタンシルバー、オリエントブルー、コスモスブラックの4色。
内装はブラック標準、オリエントブルーとコスモスブラックにはグレーも選択可。)
後にMエアロ・アルミと専用内装を纏ってデビューするMスポーツと比べれば、極めて地味な仕様ではあります。
しかしながら、個人的にはノーマル外装でありながら精悍な雰囲気を持ったこの「スポーツ仕様」は、とても心惹かれるものがあるのです。
さらに、この個体に限ったこととして、いくつか好ポイントがあるのです。
まず、後期イカリングタイプのヘッドライトに交換されておらず、前期型ヘッドライトのままであること。
さらに、そのヘッドライト自体も曇りや黄ばみが発生していないということ。
現在街中や中古車市場に存在する多くのE39は、後期型イカリングタイプのヘッドライトに交換されているものがとても多いです。
それは当時デビューしたイカリング付きヘッドライトが鮮烈なイメージだったために、その姿を求めて交換された場合と、前期型のヘッドライトが曇りや劣化が生じやすく、その修理のついでにと社外品へ交換された場合が多いからです。
稀に見かける前期ヘッドライト装備車も、劣化によって見るも哀れな状態であることが珍しくありません。
そんな個体が多い中で、この個体は新車当時の雰囲気を思い起こさせるような、クリアなままの前期ヘッドライトが残されています。
個人的には、ホワっとした前期型標準車のデザインには、憂いを帯びた瞳のようなやわらかなデザインの前期型ヘッドライトが似合うと思っています。
さらに、むやみにMエアロバンパーや社外品に交換されておらず、ノーマルバンパーのままであること。
個人的に、E39標準車(特に前期型)は最もエアロの選び方が難しい車種であると感じています。
E39標準車は、純正オプションのスポイラーですら付けるのが憚られるほど全体のバランスがとれたデザインであると思うのです。
そうした思いを分かってくれているかのように、この個体には外装付加パーツが一切追加されていません。
最後に、ホイールに目立ったダストの汚れ跡が見られないこと。
この手のフィンタイプのホイールが付いたBMWの中古車は、前オーナーの扱いが悪いと大抵スポークのフチにダストが溜まって取れなくなっています。
販売店が無理やりクリーニングしたとしても、塗装が荒れ果てているので一目瞭然となります。
もちろんこの個体にも気になる点はあります。
タイヤがブリジストン プレイズであること、ホイールにガリ傷があること等。
また販売店が輸入車専門店でありながら、特別仕様車であることに気づいていないことや、「横浜市都筑区」の販売店であること(分かる方は分かると思います)。
また下取り車ということから、前オーナーはこの販売店で何らかの輸入車へと乗り換えたのでしょう。
裏を返せば、このE39を乗り換えたくなった何らかの理由があるということです。
潜在的なトラブルを抱えている可能性も当然あります。
何せ横浜市都筑区で整備なし現状渡しというあたりから・・・です。
ただ僕が言いたいのは、2015年という新車発売時から16年が経った今、この端正な佇まいを残したE39 スポーツ仕様が中古車として存在しているということの素晴らしさなのです。
上記の「気になる点」を差し引いても、この仕様のまま乗り続けてくれたこれまでのオーナーに敬意を表したいと思うのです。
この面影が全く無くなるような改造を施された挙句、乗り潰されて廃車か海外輸出されていても全く不思議ではないと思います。
現在中古車市場に存在するE39の多くは、見るも哀れな状態のものがほとんどです。
この個体を見つけた時も、相変わらずだなと思いながらスクロールしていました。
そんな中にあって、この個体を見付けた時にピンときたというか、ひと目で惹かれるものを感じました。
E39 528iスポーツ。
大人気となったMスポーツの影に隠れ不遇だった仕様ですが、端正な佇まいとノーマルから高められたスポーツ性を持つこのモデルは、とても魅力的ではないかと思うのです。
長文・乱文失礼致します。
この個体が気になる方は関連情報URLからどうぞ。
※2015.9.17 追記
販売ページを閲覧したところ、SOLD OUTとなっていました。
どうか良きオーナーの元へ嫁いでくれていますように。