• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

南多摩郡山入村の"アルタ RS" [スズキ アルト ターボRS]

整備手帳

作業日:2022年2月15日

オイルキャッチ缶 取付 (壱) 考察編

他の整備手帳を見る 他の整備手帳を見る

目的 チューニング・カスタム
作業 DIY
難易度

初級

作業時間 12時間以上
1
 先月(2022/01/19)、エアフィルタを交換したときに、エアクリーナ・ケース内側のブローバイガス通路を確認したら、思っていたよりオイルが回っていなかった。それで、ふと思った。
 そういえば R06A エンジンって、 PCV バルブはどこに付いてる?

 例えば、以前の K6A エンジンなら、ヘッドカバーの横に付いていた。あまりメンテナンスされてないクルマで、 PCV バルブ周辺がオイル塗れになっていたりするのは、それほど珍しいことではない。が、 R06A のヘッドカバーには、それらしきものが見当たらない。
 付いてないなんてことは、まさかないよね?

 サービスマニュアルで確認する。 PCV バルブは、シリンダブロックに付いていた(画像)。ブロックから PCV バルブを通過したブローバイガスは、インテークマニホールドと一体に樹脂で成型されたサージタンクの下側に戻っているようだ。
 エンジンルームに頭を突っ込んで、マニホールドの下を、マニュアルに書いてあるとおりに覗き込む……見えない(おい ^^;
 エアクリーナ・ケースを取り外すと、マニホールドの2番と3番のパイプの間にそれらしきホースが見えた。ホースを手探りすると、サージタンクの1番ポート側(!)に刺さっている。
 これって、もしかして、PCV 経由のブローバイガスに含まれたオイルミストが、サージタンクの内壁に当たって液体化し、そのほとんどが1番ポートに流れ込んでる!?

 最初にシリンダ内を覗いたとき、1番にだけ大量のカーボンデポジットが堆積しているのを見て、1番にオイル下がりが起きていると思った。見当違いだったかもしれない。
 PCV 経路にオイルキャッチ缶などセパレータを取り付けてやれば、シリンダに流れ込むオイルを、なくすことはできなくとも、減らすことができるだろう。デポジット堆積量も少なくなる筈だ。
2
ブローバイガスの流れを整理しよう。
#これ以下の図を実際に描いたのは、オイルキャッチ缶を取り付けた後で、頭の中にだけあったものをおさらいして、まとめたものだ ^^;

※ブローバイガス還元装置を構成する PCV 経路を赤色、同バルブを桃色、ブリーザー経路を青色で示す。

 エンジン内のブローバイガスは、圧縮行程でシリンダとピストンの隙間を吹き抜けて発生する。ピストンリングがシリンダ内壁のオイルを浚うことで、この未燃焼ガスにオイルミストも追加される。

 まず最初に、ハーフスロットルほぼ固定で、平地を一定速度で巡航しているときのような【弱い負圧】で走行している状態を考える。
 PCV (Positive Crankcase Ventilation =積極的クランクケース換気) バルブは、エンジン吸気工程で発生する負圧によって開き、エンジン内のブローバイガスを吸い出し、サージタンクに戻して再燃焼させる。
 同時に、エアクリーナを通過した綺麗な空気が、ブリーザーホースを通ってエンジン内に吸い込まれ、積極的にどんどん換気される。

 そして、サージタンクに戻ったオイルミストもどんどん液体化し、どんどんシリンダに流れ込んでいる……と思われる。積極的に ^^;
3
次に、スロットル全開、タービンがギュンギュン回ってガンガン過給され、【正圧】が掛かっている状態を考える。

 PCV 経路にも正圧が掛かり、 PCV バルブは閉じられて遮断される。
 エンジン内のブローバイガスは、【弱い負圧】のときとは逆に、ブリーザーホースから吐き出される。空気を吸ったり吐いたり、まさにブリーザー (Breather =呼吸用) だ。

 タービンによって、エアクリーナ・ケース内は負圧になる。しかし、ブリーザーホースからのブローバイガス吸引効果は、空気の入ってくる通路がないから、いくらも期待できまい。ブローバイガスに拠るエンジン内圧の上昇分だけ、ここから出ていくことができる訳だ。
4
最も【強い負圧】になるのは、エンジンブレーキを掛けているときで、その次はアイドル時だ。どちらもスロットルは閉じている。

 強い負圧になる分、ブローバイガスもたくさん吸い出されるのかと云えば、否だ。 PCV バルブの開度が小さく(通路が狭く)なるから、吸い出される量は少なくなる。
 従って、ブリーザーホースから吸い込まれる新鮮な空気も少なくなる。
 当然、サージタンクからシリンダに流れ込むオイル量も少なくなる。
 ちなみに、エンジンブレーキ時、燃料は流れないからブローバイガスに未燃焼ガスは含まれない。しかし、エンジンが回っている限り、オイルミストは、せっせと発生し続けている…… ^^;

 さて、自分が普段の街乗りで、ブースト計をチラ見し正圧に入らないよう心掛け、つまり常用多用している【弱い負圧】での走行は、最もたくさんシリンダにオイルを流し込んでいる状態だ。
 オイルが、3つのシリンダに均等に割り振られるならまだ良かったが、どうやら1番シリンダを依怙贔屓しているらしい。シリンダの中など覗かなければ、こんなことを知る由もなかったのだが……知ってしまった以上は、なんとかしたい ^^;
5
オイルをシリンダに回らなく――回りにくくするには、いくつかの方法が考えられる。
 単純に PCV 機構を取り去って塞いでしまうとか、サージタンクに戻さずブリーザーホースと PCV ホースを三叉配管してエアクリーナに戻すとか、あるいは大気開放するとか、後付けの内気開放機構を組み込むとか。
 高額な内気開放機構のことは忘れ、他の方法を検討しよう。どこにオイルセパレータを挟むとしても、どの方法も恩恵よりも弊害のほうが大きそうに思える。
 PCV 機構の削除は論外だろう。
 三叉配管は、吸引しなくなるから PCV 機構の削除とほぼ同義になる。
 大気開放は、車検に通る/通らないを別にしても最悪だ。ブリーザーホースは PCV 経路を活かしたままだと、先述の通り空気の導入経路でもあるので、エアフィルタを通していない(塵芥が混ざっているかもしれない)空気を、エンジン内に取り込むことになるからだ。

 結局のところ、単純にブリーザーホースと PCV 経路の両方に一つずつ、つまり二つオイルセパレータを取り付けるのが最良の手段だと思える。
 すると、取付スペースが問題だ。クルマ別に専用設計されたものを使えば解決できそうだが、高額に過ぎる。レースに出るなどクローズドサーキットの走行をメインにするなら話は別だが、街乗りメインの自分の使いかたでは、実際のエアクリーナ・ケース内側の汚れかたを見ても、ブリーザーホース側のオイル捕捉は効果が知れていそうだ。
 拠って、取り付けるのは PCV 経路のみとする。

 図は、 PCV ホースの途中にオイルキャッチ缶を挟んで配置してみたところ。
 PCV 経路にチャンバー(膨張室)ができるわけだ。空気の脈動についてはよくわからないが、 PCV バルブの反応に影響があるかもしれない。それを除けば、【負圧】が掛かっている状態では、とくに問題なさそうだが……
6
PCV ホースの途中にオイルキャッチ缶を挟んで配置した場合、オイルキャッチ缶にも【正圧】が掛かる。
 う~ん、やっぱりちょっと厭だな ^^;

 オイルキャッチ缶を、エンジンルームのどこに取り付けるかにも拠るが、ホースの長さにしたって、少なく見積もっても、純正ノーマルの10倍は長くなる。
 正圧時/負圧時を問わず、ひょっとしたら恩恵を生じるかもしれないし、同じくらい弊害を生じる可能性もある訳で。
 オイルセパレータ機構を取り付けたら、アイドル回転数が変わったとか、エンジンの吹けが悪くなったとか、そういう話が出て来たりするのは、やはりチャンバーと化したそれが、空気の流れに影響を及ぼしたためだろう。現にエアクリーナとタービンの間にレゾネータを挟むだけで、消音効果以上にエンジンのフィーリングが変わった。良くも悪くも。それも然り。
 何も変わらないかもしれないが、そう云う不確定な要素は、できるだけ排除しておきたい。
7
では、図のように PCV バルブを移設してしまえ。
 これならオイルキャッチ缶に【正圧】は掛からない。

 ブローバイガスのブリーザーホースからの排気に、もしかしたら影響があるかもしれないが ^^;
8
PCV バルブの移設は【負圧】状態でも良さそうだ。
 サージタンクから PCV バルブまで、ホースの長さも純正ノーマルと同じくらいにしておけば、 PCV バルブの反応も、そう変わったりはしないだろう。
 そして、オイルキャッチ缶が目論見通りにオイルを捕まえてくれるなら、 PCV バルブが汚れにくくもなる筈だ。

イイね!0件




関連コンテンツ

関連整備ピックアップ

オイルキャッチタンク クスコ

難易度:

シリンダーヘッドガスケット交換

難易度:

AGS作動油交換

難易度:

クスコ オイルドレンボルト

難易度:

クラッチ交換

難易度:

オイル交換

難易度:

関連リンク

この記事へのコメント

2022年4月12日 7:23
お疲れ様です〜。(^_^;)
物凄い濃い内容ですねぇ。
殆ど理解してませんので、シロウト考えですが、
キャッチカンとサージタンクの間のホースにチェックバルブを入れるのでは、駄目なんでしょうかね?
(;^ω^)
コメントへの返答
2022年4月12日 11:40
 すみません、ちょっと分かりません ^^;
 って、そもそも PCV バルブがチェックバルプの一種ですよね?
 例えばスズキでも、車種過給有無で異なる品番が用意されており、負圧強度に拠るブローバイガス流量は最適化されていると思います。
 あれ、もしかして、負圧時にも流れないようにするということ (PCV 経路削除と同義) ですか?
 それは絶対にやりません。弊害のほうが大きくなると思います。
 出口がブリーザーホースだけになって、エンジン内圧の抜けが悪くなり、すべてのオイルミストがエアクリーナ、タービン、スロットルに回ることになりますので。実際にシャシダイ計測で出力が落ちたなんて話も、どこかで見たような ^^;
2022年4月12日 12:19
お疲れ様です♪

負圧の時にもキチンと流れないと駄目なんですね。
(;^ω^)
だから、キャッチカンでバッファを持たせてガスがPVCに行き難くすると云う事なんでしょうか。

ん〜、勉強が足らないなぁ。
色々考え出したのってアルトに乗って、友人が沢山出来てからなんで、理屈をキチンと理解出来て無いのが悪いですね。
日々精進ですね。
(^_^;)
コメントへの返答
2022年4月12日 12:52
 そうです、負圧のときはエンジン内をきちんと換気していて欲しいのです。
 オイルキャッチ缶のチャンバー化についてはある意味で脱線、あるいは蛇足なので、ひとまず忘れてください。
 おそらくは、ブロックに取り付けられたブリーザープレートでオイルを分離する設計なのだと思います。しかし、現にそれでは足りないみたいなので、オイルキャッチ缶を取り付けて見ましょう、と云うのがあくまで主題です ^^;

プロフィール

「[整備] #アルトターボRS オーバークール (2) サーモスタット交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/1400299/car/2387716/8032601/note.aspx
何シテル?   12/03 19:31
サラティピカミシマニフィキューロビサビクロトラメイジョゼ ねこ6-5+6-2な心臓と腎臓の壊れかけた洗車が大嫌いな自宅警備員。 顔を塗り潰されるのも大嫌い。...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

リンク・クリップ

モノタロウ 水冷式オイルクーラーパッキン 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/07/25 15:47:33
[スズキ パレットSW]NITOMS 防水ソフトテープ(グレー) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/03/17 02:44:50
ステアリングリモコン2 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/02/28 11:20:06

愛車一覧

スズキ アルト ターボRS アルタ RS (スズキ アルト ターボRS)
 スズキ車連続四台目 (^^;  今度は OEM に非ず ((^^;; #もしもキャロル ...
日産 ルークス ROOX 弐號機 (日産 ルークス)
 ROOX 2台目 ^^;  検切れの事故車だが、数の少ない四駆ターボなので、身障者の妻 ...
マツダ フレアクロスオーバー フレクロ (マツダ フレアクロスオーバー)
 今度はマツダ車。またしてもスズキ製だけど (^^;  ナンバーに勾玉四つ並べてみたら、 ...
日産 ルークス ROOX 壱號機 (日産 ルークス)
 33年ぶりの日産車。スズキ製だけど ^^;  ドアの開閉もままならない老いた母を乗せる ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation