オイルキャッチ缶 取付 (壱) 考察編
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
12時間以上 |
1
先月(2022/01/19)、エアフィルタを交換したときに、エアクリーナ・ケース内側のブローバイガス通路を確認したら、思っていたよりオイルが回っていなかった。それで、ふと思った。
そういえば R06A エンジンって、 PCV バルブはどこに付いてる?
例えば、以前の K6A エンジンなら、ヘッドカバーの横に付いていた。あまりメンテナンスされてないクルマで、 PCV バルブ周辺がオイル塗れになっていたりするのは、それほど珍しいことではない。が、 R06A のヘッドカバーには、それらしきものが見当たらない。
付いてないなんてことは、まさかないよね?
サービスマニュアルで確認する。 PCV バルブは、シリンダブロックに付いていた(画像)。ブロックから PCV バルブを通過したブローバイガスは、インテークマニホールドと一体に樹脂で成型されたサージタンクの下側に戻っているようだ。
エンジンルームに頭を突っ込んで、マニホールドの下を、マニュアルに書いてあるとおりに覗き込む……見えない(おい ^^;
エアクリーナ・ケースを取り外すと、マニホールドの2番と3番のパイプの間にそれらしきホースが見えた。ホースを手探りすると、サージタンクの1番ポート側(!)に刺さっている。
これって、もしかして、PCV 経由のブローバイガスに含まれたオイルミストが、サージタンクの内壁に当たって液体化し、そのほとんどが1番ポートに流れ込んでる!?
最初にシリンダ内を覗いたとき、1番にだけ大量のカーボンデポジットが堆積しているのを見て、1番にオイル下がりが起きていると思った。見当違いだったかもしれない。
PCV 経路にオイルキャッチ缶などセパレータを取り付けてやれば、シリンダに流れ込むオイルを、なくすことはできなくとも、減らすことができるだろう。デポジット堆積量も少なくなる筈だ。
2
ブローバイガスの流れを整理しよう。
#これ以下の図を実際に描いたのは、オイルキャッチ缶を取り付けた後で、頭の中にだけあったものをおさらいして、まとめたものだ ^^;
※ブローバイガス還元装置を構成する PCV 経路を赤色、同バルブを桃色、ブリーザー経路を青色で示す。
エンジン内のブローバイガスは、圧縮行程でシリンダとピストンの隙間を吹き抜けて発生する。ピストンリングがシリンダ内壁のオイルを浚うことで、この未燃焼ガスにオイルミストも追加される。
まず最初に、ハーフスロットルほぼ固定で、平地を一定速度で巡航しているときのような【弱い負圧】で走行している状態を考える。
PCV (Positive Crankcase Ventilation =積極的クランクケース換気) バルブは、エンジン吸気工程で発生する負圧によって開き、エンジン内のブローバイガスを吸い出し、サージタンクに戻して再燃焼させる。
同時に、エアクリーナを通過した綺麗な空気が、ブリーザーホースを通ってエンジン内に吸い込まれ、積極的にどんどん換気される。
そして、サージタンクに戻ったオイルミストもどんどん液体化し、どんどんシリンダに流れ込んでいる……と思われる。積極的に ^^;
3
次に、スロットル全開、タービンがギュンギュン回ってガンガン過給され、【正圧】が掛かっている状態を考える。
PCV 経路にも正圧が掛かり、 PCV バルブは閉じられて遮断される。
エンジン内のブローバイガスは、【弱い負圧】のときとは逆に、ブリーザーホースから吐き出される。空気を吸ったり吐いたり、まさにブリーザー (Breather =呼吸用) だ。
タービンによって、エアクリーナ・ケース内は負圧になる。しかし、ブリーザーホースからのブローバイガス吸引効果は、空気の入ってくる通路がないから、いくらも期待できまい。ブローバイガスに拠るエンジン内圧の上昇分だけ、ここから出ていくことができる訳だ。
4
最も【強い負圧】になるのは、エンジンブレーキを掛けているときで、その次はアイドル時だ。どちらもスロットルは閉じている。
強い負圧になる分、ブローバイガスもたくさん吸い出されるのかと云えば、否だ。 PCV バルブの開度が小さく(通路が狭く)なるから、吸い出される量は少なくなる。
従って、ブリーザーホースから吸い込まれる新鮮な空気も少なくなる。
当然、サージタンクからシリンダに流れ込むオイル量も少なくなる。
ちなみに、エンジンブレーキ時、燃料は流れないからブローバイガスに未燃焼ガスは含まれない。しかし、エンジンが回っている限り、オイルミストは、せっせと発生し続けている…… ^^;
さて、自分が普段の街乗りで、ブースト計をチラ見し正圧に入らないよう心掛け、つまり常用多用している【弱い負圧】での走行は、最もたくさんシリンダにオイルを流し込んでいる状態だ。
オイルが、3つのシリンダに均等に割り振られるならまだ良かったが、どうやら1番シリンダを依怙贔屓しているらしい。シリンダの中など覗かなければ、こんなことを知る由もなかったのだが……知ってしまった以上は、なんとかしたい ^^;
5
オイルをシリンダに回らなく――回りにくくするには、いくつかの方法が考えられる。
単純に PCV 機構を取り去って塞いでしまうとか、サージタンクに戻さずブリーザーホースと PCV ホースを三叉配管してエアクリーナに戻すとか、あるいは大気開放するとか、後付けの内気開放機構を組み込むとか。
高額な内気開放機構のことは忘れ、他の方法を検討しよう。どこにオイルセパレータを挟むとしても、どの方法も恩恵よりも弊害のほうが大きそうに思える。
PCV 機構の削除は論外だろう。
三叉配管は、吸引しなくなるから PCV 機構の削除とほぼ同義になる。
大気開放は、車検に通る/通らないを別にしても最悪だ。ブリーザーホースは PCV 経路を活かしたままだと、先述の通り空気の導入経路でもあるので、エアフィルタを通していない(塵芥が混ざっているかもしれない)空気を、エンジン内に取り込むことになるからだ。
結局のところ、単純にブリーザーホースと PCV 経路の両方に一つずつ、つまり二つオイルセパレータを取り付けるのが最良の手段だと思える。
すると、取付スペースが問題だ。クルマ別に専用設計されたものを使えば解決できそうだが、高額に過ぎる。レースに出るなどクローズドサーキットの走行をメインにするなら話は別だが、街乗りメインの自分の使いかたでは、実際のエアクリーナ・ケース内側の汚れかたを見ても、ブリーザーホース側のオイル捕捉は効果が知れていそうだ。
拠って、取り付けるのは PCV 経路のみとする。
図は、 PCV ホースの途中にオイルキャッチ缶を挟んで配置してみたところ。
PCV 経路にチャンバー(膨張室)ができるわけだ。空気の脈動についてはよくわからないが、 PCV バルブの反応に影響があるかもしれない。それを除けば、【負圧】が掛かっている状態では、とくに問題なさそうだが……
6
PCV ホースの途中にオイルキャッチ缶を挟んで配置した場合、オイルキャッチ缶にも【正圧】が掛かる。
う~ん、やっぱりちょっと厭だな ^^;
オイルキャッチ缶を、エンジンルームのどこに取り付けるかにも拠るが、ホースの長さにしたって、少なく見積もっても、純正ノーマルの10倍は長くなる。
正圧時/負圧時を問わず、ひょっとしたら恩恵を生じるかもしれないし、同じくらい弊害を生じる可能性もある訳で。
オイルセパレータ機構を取り付けたら、アイドル回転数が変わったとか、エンジンの吹けが悪くなったとか、そういう話が出て来たりするのは、やはりチャンバーと化したそれが、空気の流れに影響を及ぼしたためだろう。現にエアクリーナとタービンの間にレゾネータを挟むだけで、消音効果以上にエンジンのフィーリングが変わった。良くも悪くも。それも然り。
何も変わらないかもしれないが、そう云う不確定な要素は、できるだけ排除しておきたい。
7
では、図のように PCV バルブを移設してしまえ。
これならオイルキャッチ缶に【正圧】は掛からない。
ブローバイガスのブリーザーホースからの排気に、もしかしたら影響があるかもしれないが ^^;
8
PCV バルブの移設は【負圧】状態でも良さそうだ。
サージタンクから PCV バルブまで、ホースの長さも純正ノーマルと同じくらいにしておけば、 PCV バルブの反応も、そう変わったりはしないだろう。
そして、オイルキャッチ缶が目論見通りにオイルを捕まえてくれるなら、 PCV バルブが汚れにくくもなる筈だ。
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