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2013年07月26日 イイね!

オート=マルヌ県のフロンクル工場の展開

 19世紀後半、オート=マルヌ県はロレーヌ製鋼業と生産された鉄鋼消費地であるパリの中間地にあるという利点を活かして錬鉄、鉄鋼の一次加工へと特化したことについては19世紀後半のオート=マルヌ県の製鉄業の項で前述した。そしてフロンクル製鉄所はそうした工場の一例である。
 フロンクル製鉄所はフロンクル村にある。1757年に領主ド・ピムーダンDe Pimoudinが近隣諸村の製鉄業の繁栄をみて鉄板工場を建設したことに始まる。
 1775年に高炉建設が許可されて本格的な製鉄所になった。
 1788年には高炉1、製錬炉2、熟錬労働者7名を雇用していた。
 革命期に入ると、ド・ピムーダンは亡命したので、工場は政府により没収・売却され、所有者を転々としたが、帝政期に一度繁栄を取り戻した。
 しかし1814年には戦禍に巻き込まれて工場は荒廃し、高炉の火も消えた。
 平和が戻ると、工場は再度発展し、1835年に全高炉が再点火された。経営者はルイ・ド・ボルカーズLouis de Bonnecazeである。当時の労働者は16名で錠前製造用の引当版を制作していた。
 10年後に労働者数は3倍になった。ただしパドル炉は導入しなかった。19世紀前半のオート=マルヌ県の製鉄業の項で前述したように木炭錬鉄の方がパドル炉錬鉄よりも品質が良いからである。
 1847年からの不況では工場は苦境に陥り、1856年には労働者が4名になった。同年に息子のテレフTélèpheが工場を引き継ぎ、鉄道開通を機に工場を大改造して鉄板を大量生産することを企図した。
 1858年末にはパドル炉2と蒸気機関が稼働した。また融資を受けて工場を拡大した。
 1864年には木炭使用を廃止した。この事件の設備はパドル炉4、蒸気ハンマー1、圧延機3、蒸気機関2。労働者は70名である。
 しかし融資返済は困難でテレフは1870年に破産した。そして工場は債権者ド・ヴァルシュズネーDe valsuzenayの手に渡った。
 新経営者の下での工場は軌道に乗り、1881年時点では160名の労働者がスコップ、すきべら、座金[1]等を製造していた。その後もガスタンクや炭水車等も制作し続けた。
 1907年に株式会社となり、鉄板製造の最新技術も導入し、発展し続けた。そして1929年にシトロエン傘下に入り、その後も同県有数の鉄工所として存続し続けた[2]。


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[1]「座金」は「ざがね」。ボルトを締めるとき、ナットの下に挟む薄い金属板。
[2]原輝史編『フランス経営史』(有斐閣、1980年)211-212頁(中島俊克執筆)。
Posted at 2013/07/26 00:14:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | 経済 | クルマ

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