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池田雄二のブログ一覧

2012年08月27日 イイね!

マンションにて他(みんカラ版)

 今日みた第1の夢はこうです。曇天の日、場所は、私が住む知らないマンション近くです。その日は私の破局済みの交際者が同じマンションの一室から退去する日です。私は彼女が行書試験か何かに行くことをあまりよく思わなかったらしいです。マンションに到着した私は彼女が正に荷物を積んだ白セダンで去ろうとしているところに会いました。それで「上へ行って話そう。」、といって4階の空き室に登って行きました。第2の夢はこうです。北大附属歯科病院で治療中です。しかし中年男性医師に何かで腹を立て、法律をやっている私は治療をやめさせ、帰りました。しかし治療代支払義務が気になり、正面から帰れず、裏手から帰ろうとしましたが、附属幼稚園がそれを遮り、園敷地境界のフェンスを乗り越えて脱出しました。
 まず第1の夢です。夢見の女性は昔の交際者です。彼女出現の原因は最近の親との会話です。今月帰省中、親の買い物に付き合った際、親は道々の植物を指さし、「あ、ウルシだ。」、「サルスベリじゃない?」などいうので、私はその都度、「へえ、そうなんだ~。」、とばかり言っていました。それで到々、「あんたって何も知らないね。」、と言われました。実はこれ、夢見の彼女からもよく言われたので、「ああ、それペコさん(仮)からもよくいわれたっけ。」、というと、親がハッとして謝ったのです。それで私は、「いやいや、そりゃ、いわれた当時は腹立つこともあったけどねえ、今となっては懐かしいのさ。それでいっただけ。」、といったのです。その時のことが最近の電話で話題に上りました。彼女は行書資格保持とききます。ですが行書試験塾関係者で、問題入手のためにその後も試験を受けたようです。当時、私は余りこれをよく思っていませんでした。あれは確か2009年11月8日、当時、彼女との溝はいよいよ深まりだして、法律関係の話を絶つ約束をしていました。しかし彼女は耐えられなかったのでしょう。夜、電話で「民法のことをききたい!仕事に必要!」、と強く迫られました。私は、「その話はしない約束」、そもそもそうなった理由云々により拒絶しました。その理由は真実ですが、白状しますと、当時はスランプで、私自身に自信がなかったのです。彼女が私と同じマンション居住者である件、これは、彼女の現在の消息を、当時のマンションにすでにいないことを除いて、私が何も知らないことが原因です。つまりまだ札幌市内かもしれないし、違うかもしれない、ということです。彼女はペーパーでした。当時の私もそうでしたが、私は脱ペーパー訓練中なので、そういう連想です。彼女と上に連れ立ったのは、最近、彼女の生まれ故郷での私に対する求人があった際、彼女の立場も当時と違うでしょうが、不可能を承知で、よりもどしの試みについて悩んだことが原因です。結局、この話はあっさりポシャりましたが、色々な意味でいい夢をみさせてもらって、話を下さった先生方には大変感謝しています。
 次に第2の夢です。最近、歯医者に縁があったことが原因です。ただ私は夢見のような傲慢な振る舞いはしません。現実の担当医も若い女医なので、よく解らない夢ですが、先一昨日、病院前を通ったことが原因です。治療代0円の場合もあり、会計を通さない場合がありまして、不審に思われないか、びくびくした体験があります。病院の裏口は第1の夢見の女性から貰った傘をなくして、探し回った際に行きましたので、第1の夢が原因です。大学キャンパス内には幼稚園がありますが、歯科病院からは離れています。夢見の女性とは婚約まで進みましたが、14年上でしたので、子については養子の話をしたことが幼稚園の原因かもしれません。
 ところでウルシ、サルスベリといえば植物です。植物といえば牧野富太郎博士(1862年-1957年)でしょう。博士は小学校中退ですが、独学で植物学を研究し、日本各地の植物を採集し、多数の新種発見、そして命名、分類を行い、また優れた植物図を描き、知識の普及に尽力しました。しかし小学校中退ということで、東京大学では助手、講師でしたが、学士院会員(1950年)、文化勲章(1957年)を追贈されました。博士の図鑑、『原色牧野植物大図鑑 全二巻』(北隆館)他は今でも刊行され続け、私も所蔵しています[1]。
 人生色々ですが、牧野博士は当然、公共交通機関と徒歩で植物の現地調査を行ったのだと思います。車社会の今日でも同じではないでしょうか。車ですと、車の駐車場所に困ります。ですからこうした懸念がないという点で、植物調査でも民俗調査でも車は調査に適さない気がします。恐らく、ペーパーを完全に脱出しても私は調査方法を基本的には変えないと思います。


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[1]『大辞泉』「牧野富太郎」、Britannica Japan Co., Ltd.『ブリタニカ国際大百科事典電子辞書対応小項目版』(Encyclopædia Britannica, Inc., 2010年)「牧野富太郎」。
Posted at 2012/08/27 18:13:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2012年08月25日 イイね!

フランス1980年5月12日の法律-所有権留保売主の取戻権(みんカラ版)

所有権留保条項付売買契約の倒産法上の取り扱いについて、売買契約における所有権留保条項の効力に関する1980年5月12日の法律第80-335号Loi n°80-335 du 12 mai 1980 relative aux effets des clauses de réserves de propriété dans les contrats de venteは買主の売買代金完済前に倒産した場合、以下の通り、売主は取戻権を有すると定めた。

「第1条 1967年の法律第65条に以下の文言を付加する。
『代金の完済まで所有権の移転を中断する条項を付して売却された商品で、この条項が、当事者間で、遅くとも商品の引渡のときに、確定した書面で合意された場合も同様とする〔=取戻ができる〕。』
第2条 動産の取戻は、裁判上の整理または財産の清算を開始する判決の公示から起算して4カ月以内に限り、これをすることができる。
第3条第3項 所有権留保条項を付して売却された商品は、買主の貸借対照表中資産の部に、明確な下線を付して示されなければならない。当該売買に対応する債権も、同じく、売主の貸借対照表中資産の部に、明確な下線を付して示されなければならない。」。

 判例は当初、所有権留保取引における買主の店舗内に商品が入り、明確な占有をえた場合、当該商品は買主の外観的支払可能性la solvabilité apparenteの要素の一つになる。したがって買主破産の場合、売主は所有権留保条項を買主の破産に対抗できないとしていた[1]。つまり破産では、売主という1個人の利益よりも総債権者の公平・平等がより重視された。
 その後、下級審はこの破毀院判例を支持するものと支持しないものとに分かれ、後者は信用売買の発展を考慮し、買主に一定の信用を供与した特定売主の保護を強調した。
 しかし破毀院は1934年に従前の立場を維持して、下級審における対立は決着した。ただし破産宣告前に取戻請求がされた場合にはこれを認める判例も出された[2]。
このように判例は動産売主の取戻権を原則として否定したために、個別的に好ましくない事態が生じており、そうした背景から動産売主に一定の優先権を認めるいくつかの特別法が制定された。例えば、フランスの自動車質権者の独自性-ルジェの項で紹介した1934年の法律による自動車質や設備品質権者の権利の概説-ルジェの項で紹介した1951年の法律による設備品質等である。
 本法律は特別法による他動産売主が債務担保債権者と扱われる解釈を覆した。その背景としては倒産処理法の基本法源である、裁判上の整理[3]、資産清算[4]、個人の失権[5]および破産についての1967年7月13日の法律第67-563号Loi n°67-563 du 13 juillet 1967 sur le règlement judiciaire,la liquidation des biens,la faillite personnelle et les banqueroutes下の二つの深刻な事態があった。第1に、留保所有権者が買主倒産時に何らの優先権も与えられていないので、供給者は信用不安に陥った商人に商品供給をしなくなる。そのため商人倒産の時期が早まる。第2に、特に、中小企業の場合、そうした商人に商品供給を継続すると、商人倒産の場合に連鎖的に供給企業まで連鎖倒産してしまう。以上を救済するために商品供給者に取戻権を認めることが考えられた。
 第1条は、動産預託ないし寄託者に取戻権を認める1967年の法律第65条に、所有権留保売主もこれらの者と同様に扱う一文を追加したものである。同条の解釈は厳格にである。「代金の完済まで所有権の移転を中断する条項」という文言により代金引換でする商品引渡の合意は文言に含まれない。また所有権留保条項が停止条件か解除条件かについて議論があるが、本条は前者であって、代金不払の場合には契約が解除されるという合意は解釈上、本法の適用はない。目的物は「商品」とあるが、これは動産に限る。その目的物は現物で存在している必要がある。このため代替可能物の場合には特定措置を講じておく必要がある。書面が必要とされるのは、取戻権行使は債権者に配当される資産を毀損するので、時期に遅れて所有権留保条項を締結する詐害的行為防止のためである。したがって書面には合意の日付が必要である。
 第3条の「下線を付して」については、貸借対照表が公示される場合に必要とされる。しかしこれを行わなくても特別の制裁はなく、所有権留保条項の効力に影響はないと解されているという。
 なお第三者との関係について、所有権留保売主は、買主が賃貸している土地に備え付けられた商品に対する不動産賃貸人の先取特権、運送業者の先取特権、留置権などの対抗をうける[6]。


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[1]Req., 21 juill.1897, D.P.,98.1.269.
[2]Com., 22 mai.1935, D.1935.313; Req., 1er juill.1937, Gaz.Pal. 1937.2.368;Com., 24 mai.1948, D.1949.13.
[3]「裁判上の整理」はこの1967年の法律以後、1985年まで存在した制度。支払停止状態が裁判所によって確認された債務者について更生可能と考えられた場合に適用された(山口俊夫編『フランス法辞典』(東京大学出版会、2002年)"règlement judiciaire"”)。
[4]「資産清算」は1967年の法律以後、1985年まで存在した制度。支払停止が裁判所によって確認され、かつ適正な強制和議も不可能なため、裁判上の整理も認められない債務者破産faillteの状態に適用された手続(山口俊夫編『フランス法辞典』(東京大学出版会、2002年)"liquidation des biens")。
[5]「個人の失権」は裁判上の更生手続に伴い、商人または手工業者artisanまたは当該企業の法律上もしくは事実上の経営責任者dirigeant de l'entrepriseについて、企業経営に携わる権利および選挙制による公職への被選挙権などを裁判所が剥奪する措置(山口俊夫編『フランス法辞典』(東京大学出版会、2002年)"faillite personnelle")。
[6]以上、特記した他は西澤宗英「所有権と取戻権」判タ450号(1981年)34頁以下によった。
Posted at 2012/08/25 22:18:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 法律 | クルマ
2012年08月13日 イイね!

ドミニク・ルジェ「有体動産質」目次(みんカラ版)

Contrats Concurrence Consommation n° 6, Juin 2006, 13

Le gage de meubles corporels

Etude par Dominique LEGEAIS
Professeur à l'université René Descartes Paris V(パリ第5大学教授)

Sommaire(要約)
1.
1. Choix fondamentaux opérés(実現された基礎的選択)
2.
A. - Adoption d'une nouvelle terminologie(新専門用語の採用)
3.
4.
B. - Abandon du caractère réel du gage(動産質の要物性の放棄)
5.
C. - Maintien de la diversité des sûretés réelles(物的担保の対立の維持)
6.
7. - Conception pluraliste des garanties réelles retenue.(採用された物的担保の多元的概念)-
8. - Coexistence des gages avec et sans dépossession(占有・非占有動産質の共存).-
9. - Coexistence du gage et de la propriété-garantie(動産質と所有権担保の共存).-
10. - Distinction des sûretés civiles et commerciales(民事と商事の担保の区別).-
11.
2. Les gages avec dépossession(占有動産質)
12.
A. - Le gage avec dépossession de droit commun(一般法の占有動産質)
13.
1° Constitution du gage(動産質の設定)
14. - Perte du caractère réel(要物性の喪失).-
15. - Exigence d'un écrit(書面の要請).-
16. - Assiette de la garantie(担保目的物).-
17. - Biens fongibles(代替可能物).-
18. - Le constituant(設定者).-
19. - Créances garanties(担保権者).-
2° Opposabilité du gage(動産質の対抗力)-
20.
3° Effets du gage(動産質の効力)
21.
a) Droits et obligations du créancier avant l'échéance de la créance garantie(被担保債権弁済期前の債権者の権利義務)
22. -
23. - Obligation de conservation du créancier(債権者の保管義務).-
24. - Droit de percevoir les fruits(果実収取権).-
b) Mise en oeuvre de la sûreté(担保権の実行)
25.
26. - Indivisibilité du gage(動産質の不可分性).-
27. - Droit de préférence(優先権).—
28. - Droit de se faire attribuer le bien(質物配当権). –
29. - Admission du pacte commissoire(当然解除条項). –
30. - Reconnaissance du droit de rétention(留置権の承認). –
B. - Les gages avec dépossession spéciaux(特別な占有動産質)
31.
1° Le gage commercial(商事動産質)
32.
2° Le gage automobile(自動車質)
33.
3. Les gages sans dépossession(非占有動産質)
34.
35.
36.
37.
A. - Le gage sans dépossession de droit commun(一般法の非占有動産質)
38.
1° Constitution du gage sans dépossession(非占有動産質の設定)
39.
40. - Créances garanties(被担保債権). –
2° Opposabilité du gage sans dépossession(非占有動産質の対抗)
41. - Publicité sur un registre(登記上の公示). –
42.
3° Effets attachés à la garantie(担保権に付随する効力)
43. - Classement des créanciers(複数債権者の順位). –
44. - Gages portant sur des choses fongibles(代替可能物を対象とする動産質). –
45. - Absence de droit de rétention(留置権の欠如). –
B. - Le gage des stocks sans dépossession du Code commerce(商法典の非占有在庫動産質)
46.
1° Constitution du gage des stocks(在庫動産質の設定)
47. - Créances garanties(被担保債権). –
48. - Assiette de la garantie(担保目的物). –
49. - Exigence d'un écrit(書面の要請). –
2° Opposabilité du gage des stocks(在庫動産質の対抗力)
50. - Publicité sur un registre(登記上の公示). –
3° Effets de la garantie(担保の効力)
51. - Obligations du constituant(設定者の義務). –
52. - Remboursement anticipé de la créance(債権の期限前弁済). –
53. - Réalisation de la garantie(担保の実行). –
54. - Conflit avec d'autres sûretés(他の担保権との競合). –
Posted at 2012/08/13 18:02:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 法律 | クルマ
2012年08月08日 イイね!

第2章-第4章レジュメ案(みんカラ版)

第2章 フランス動産質制度の発展
比較検討の意義:我が国近代質制度の母法の展開をしり、動産担保における問題解決手法の参考とする。
第1節1804年のフランス民法典における動産質
一般的傾向:厳格的規制。
1.質契約の要物契約性(第2076条)。
2.対抗要件における書面主義 (第2074条第2075条)。
3.流質禁止(第2078条):我が国と比べて、契約後の約定を禁止せず、質物配当権=公の帰属清算を認める等規制は遥かに緩い。
主な規制緩和の需要:主に要物契約性の緩和=非占有型動産質、将来物動産質の容認。
1.要物契約性の緩和
第三者占有委託による運用(第2076条)。またこれによる重複設定
・占有移転は鍵の交付=擬制的占有移転でクリア(判例も認める)。
・第三者としては倉庫会社、第三者の機能を果たす専門会社(Auxiga等)←イギリスのDockを参考とした、一般倉庫の寄託された商品の取引に関する1858年5月28日の法律によって利用促進。
将来物担保:将来物動産質権設定を動産質契約の予約と解する←流動動産では動産質権設定時が入庫時点となる欠点がある。

第2節 特別法による動産質制度の発展
一般的傾向:1804年民法典の規制緩和。
1.商事質(1863年5月23日の商法典改正):商業取引における迅速性のニーズに対応。
・書面作成義務免除(第91条第1項)→実質的効果により質物の特定性が有名無実になり、質物が包括的であることも可能に。
・簡易な実行方法(第93条):設定者への催告後8日以後の質物売却(流質は禁止)。

2.営業財産質(1898年3月1日の法律による民法典第2075条第2項創設1909年3月17日の法律):商事質でも緩和されない占有移転の要請を緩和。
目的物(第9条):営業財産=招牌、商号、賃借権、得意先(本質的構成要素)。
営業用家具、営業財産の運用に供せられる有体設備ないし什器、特許権、免許権、商標、意匠、一般に営業財産に付属する工業所有権ないし文芸所有権(任意的構成要素)。
対抗要件:登記←非占有移転質の実現
欠点:任意的構成要素だけを担保にできない。

3.農業証券法(1898年7月18日の法律1906年4月30日の法律)
目的物:農業生産物、特にワイン。
設定方法:裁判所の登記簿における登記と裁判所振出の証券発行←非占有質の実現。
↓結果
農業生産物を利用した農業事業者の資金需要に大いに応えた。

4.自動車質(自動車牽引車の取得を容易にする1934年12月29日の法律)
目的物:新車のみ←自動車総保有量増加が目的。
設定:
・売主や購入代金提供者に対する動産質が法定で設定される←我が国の動産売主の先取特権に近い。
・自動車の受領証による占有移転の擬制(占有移転の非物質化)←実質非占有質の実現。

5.設備品質(設備品の質入に関する1951年1月18日の法律)
目的物:設備品←設備品だけに非占有質設定できない営業財産質の不便の補完。
対抗要件:必要的と任意的の二つがある。
必要的対抗要件:登記。
任意的対抗要件:明認方法←即時取得遮断効、追及効を認める。

6.その他
1913年8月8日のホテル営業証券に関する法律と1932年4月24日の原油証券法等他映画フィルム等。前者は期待したほどの利用はない。

第3節 2006年民法典改正以後の動産質
一般的傾向:1804年民法典を一般法において規制緩和。
1.要物契約性:廃止。非占有動産質を認める(第2338条)。
・対抗要件は完全電子化された登記(国営電子ファイル)。商事裁判所国民会議[1]が運営 (非占有型質権の公示に関する民法典第2338条の適用のために定められる2006年12月23日のデクレ)
・非常に簡易・迅速な登記を実現
・第三者の調査が極めて容易(別添資料画像編参照)→非占有動産質目的物の第三者による動産即時取得遮断←第三者の登記確認義務にまでふみこんだ。
↓結果
盛んに利用されている。
2.将来物に対する担保権設定:非占有移転動産質で可能に(第2342条)。
3.書面作成:緩和されず、反対に成立要件になった。
「旧第2074条 前条の先取特権は、第三者に関しては、債権金額の表示ならびに動産質に供する物の種類および性質、もしくはその品質、重量および寸法の付属一覧表を含む、適法に登記された公署証書または私署証書がある限りでなければ、生じない。」。
「新第2336条 動産質は被担保債権、動産質に供される財産の量並びに種類もしくは性質の指示を含む書面の作成により完成する。」。

小括
1.フランスでは動産担保における需要を1804年民法典の枠内で解決しようと努めた。
2.1で対応できず、特に必要な動産については数多くの特別立法が規制緩和をした。
3.2までの沿革が2006年民法典における動産質の大緩和へと結実した。
4.必要な緩和が国によってなされたので民間が所有権移転担保で規制回避する必要を我が国ほどには感じさせなかった。

第3章 動産譲渡担保の法的構成
 集合動産譲渡担保への注目の意義、需要からその法的構成をどのように考えるべきか。
第1節 動産譲渡担保の法的構成
集合動産譲渡担保への注目の意義再確認:
1.倉庫証券質を利用した集合動産質入よりも自由な担保
2.倉庫証券質では対応できないものの担保化。
3.倉庫証券質では実現できない重複設定の実現
法的構成の検討:現代の需要に適合する法的構成。特に3.が問題となる。
担保権構成:重複設定は担保権構成では実現可能。
所有権構成:第三者が清算金債権譲渡担保権を設定することで同じ効果を挙げられるか?
欠点
・第1順位者と後順位者で担保目的物が別々になる:第1順位者は集合動産そのもの、第2順位者は清算金発生を条件とした停止条件付清算金債権が目的物になる。その結果→
・目的物が違うので後順位者による動産そのものを対象とした実行がありえない。
・第1順位者が弁済を受けても動産譲渡担保権としての順位上昇が考えられない。
結論:所有権構成では担保権構成と同じような効果は上がらない→集合動産譲渡担保が求められる意義ないし需要からあるべき法的構成を選択するならば、担保権構成を採用すべき。
既存の判例との整合性
整合的な判例
最判昭和41年4月28日民集20巻4号900頁:動産譲渡担保権を更生担保権とした。
最判平成11年5月17日民集53巻5号863頁:動産譲渡担保権者の物上代位権を認めた。
最判平成18年7月20日民集60巻6号2499頁:動産譲渡担保権の重複設定を認めた。
反する可能性のある判例
大判大正9年9月25日民録26輯1389頁:弁済期後か定かではないが、債権者が目的建物を第三者に譲渡し、登記も了した事件で、第三者は善意悪意を問わず、所有権を取得するとした。
最判平成6年2月22日民集民集48巻2号414頁:弁済期限後の譲渡担保権者からの贈与による譲受人について(未清算)、譲受人が背信的悪意者でも確定的に所有権を取得する←しかし不動産事例。
最判平成18年10月20日民集民集60巻8号3098号:弁済期前の譲渡担保権者の債権者による差押に対する設定者の第三者異議の訴えを受戻を要求した上で認める←これも不動産事例。
結論:動産不動産を同じ法律構成で一貫して理解しようとする学説に対して実際の判例は実は動産不動産を同じ法律構成で考えていない可能性が高い。→少なくとも動産について担保権構成を採用することと矛盾する判例は見当たらない。

第4章 担保権構成の枠内での重複動産譲渡担保の運用可能性
第1節 現行制度での運用可能性
問題

1.複数対抗要件の併存:現実の占有移転、占有改定、動産登記←担保権者相互の認識不能
解決策
あいまいゆえの突破口←登記に一本化されると反って重複設定が不可能になる。
フランスの第三者占有委託を利用した動産質権重複設定の応用
我が国で動産質重複設定を可能とする制度があるか?
第355条:「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」←起草者もフランス同様の運用を想定して設置。↓
設定:管理する第三者への鍵の交付等擬制的占有移転で現実の占有移転を充足(近世から我が国でも実践の歴史がある)→動産譲渡質の重複設定と構成→第355条準用。
・倉庫に入れない動産→各業界で考えるしかない。
実行:設定者への通知義務を定める第354条の解釈上、重複設定の場合には利害関係のある他の担保権者への通知義務を課す。
倉庫営業の規定の準用等による処分。

第2節 残される問題
管理者の不誠実(設定順序の恣意的変更等)の防止:いくつか考えられる。
1.動産登記制度を譲渡担保の担保権構成を前提して運用する。
欠点:「譲渡」という形式と実質が登記という公の形で概念矛盾を起こす。
2.動産登記制度を動産質あるいは動産抵当に拡張する。
利点:現行フランス式であり、電子ファイルは我が国の技術で十分に可能なはず。無難。
欠点:譲渡担保でなくなる。
3.動産質に書面主義を導入し、書面を管理者に交付する。
欠点:
・譲渡担保でなくなる。
・書面の厳格性によっては迅速性を損なう。
結論:動産質の緩和あるいは抵当権の動産への拡張以外で譲渡担保という自由を維持したまま、現行制度以上の運用可能性を模索することは困難。

完[2]

------------------------------
[1]RECHERCHE DE GAGE SANS DEPOSSESSION.
[2]本記事は多少、僅かながら自動車に触れたのでここでも公開することにした。本記事は2012年7月14日の民事法研究会における報告時に配布されたレジュメの一部である。第1章は、当日に多少の修正が加えたが、ほぼ同内容のものを第1章第1節第2節レジュメ案の項で公開してある。ここでは公開しない。
Posted at 2012/08/08 23:57:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | 法律 | クルマ

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