いやぁ、この先 レッドブルはどうなってしまうんでしょうか?
とりあえず、バーレーン、サウジアラビアと開幕2連戦をワンツー・フィニッシュで飾っており、レース戦績は完璧なのですが…
もちろん、どうなるかと言えば、クリスチャン・ホーナー代表の『不適切行為』疑惑から始まった内紛劇です。
まぁ、この件については、先週の段階で自分なりに推測した内容をブログの下書きで纏めていました。
下書きの内容を抜粋すると、
・これはレッドブル・レーシングの権力闘争
・これらの動きは、オーナーのマテシッツ死去が発端
・クリスチャン・ホーナーがレッドブルの実権を握ろうとした
・昨シーズン、ヘルムート・マルコ退任の噂が出たが、これはホーナー側の仕業
・反ホーナー派がホーナー失脚を狙ったのが『不適切行為』疑惑
・本社のホーナー擁護派がホーナー問題を不問に付す
・反ホーナー派がホーナー疑惑の機密情報をF1関係者にメール一斉送信
・ホーナー側も反撃し、”告発した女性従業員を停職”に
・おそらく、次の一手は”機密漏洩にマルコが関与” と主張し、マルコ失脚を狙う筈
というものでしたが…。
まさに、予想通りの展開に。(笑)
ホーナー代表に関する機密情報の漏洩に、マルコ博士が関与か?
推測よりも現実が先を行ってしまっているので、今更ブログをあげても……と思いましたが、折角途中まで書いてたので、内容を一部修正してブログにあげる事にしました。
まず、登場人物のおさらい。
クリスチャン・ホーナー
レッドブル・レーシングのチーム代表、英国人。
元レーシングドライバーでもあるが、F1までは到達していない。
自らのチーム”アーデン”を設立、F1直下の国際F3000をアーデンのチーム代表として戦う。
2005年、アーデンのスポンサーでもあったレッドブルからチーム代表就任を打診され、それを受諾し現在に至る。
ヘルムート・マルコ
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー、オーストリア人。
元F1ドライバーで、1971年の母国グランプリ(オーストリアGP)でデビュー。(ちなみに、同じ日に同郷のニキ・ラウダもデビューしている)
1972年のフランスGPで、先行するマシンが跳ね上げた石がマルコののバイザーを貫通し左目を直撃。
失明は免れたがレーサーとして必要な視力を失い引退を余儀なくされる。(ちなみに、耐久レースではルマン24時間レースで優勝している)
引退後は同郷の若手ドライバー育成などに力を入れていた(G・ベルガーもマルコが見出した)が、やはり同郷の
マテシッツに請われ、レッドブルの若手ドライバー育成プログラムの責任者となる。
ディートリッヒ・マテシッツ
飲料メーカー"レッドブル"の共同創設者であり、F1チーム レッドブル 及び トロロッソ(当時)のオーナー、オーストリア人。
タイ国内で販売されていたローカルな栄養ドリンクでしかなかった商品を、レッドブルとして世界的なブランドに変貌させた。
モータースポーツやエクストリームスポーツへの広告展開は、レッドブルブランドの価値を引き上げただけではなく、それらのスポーツ自体の価値も引き上げた。
1995年、ザウバーのスポンサーからF1に関与、その後、自らのチームから二人のF1ワールドチャンピオンが生まれた。
2022年、マックスの二連覇を見届けた後、10月22日に死去。(享年78歳)
マテシッツに関しては、
こちらのブログも参照ください。
上記の内容を踏まえ……マテシッツ存命なら、今回の様な権力闘争は起きなかったでしょうね。
レッドブル、及び、VCARB(旧アルファタウリ)は、マテシッツが居たからこそ生まれたチームなのです。
ホーナーは、あくまで『雇われた代表』です。
また、ホーナーはレッドブル・レーシング創設時(2005年)にチーム代表となりましたが、マルコは チームが出来る前(1999年)からレッドブルの育成プログラムに関わっていました。
そんなマルコの役割は、当初は「正式な肩書きも契約書も無く、オーナーであり友人でもあったマテシッツとの信頼関係で成り立っていた」ものでもありました。
言ってしまえば、ホーナーは
『有能な使用人』であるのに対し、マルコは
『全幅の信頼のおける親友』だった訳で…。
そんなホーナーとマルコの立ち位置は、オーナーのマテシッツが居なくなった時点で大きく異なってくるのは言うまでもありません。
ホーナーにしてみればレッドブルの全権掌握が出来る またとないチャンスが巡ってきたわけです。
「やっと巡ってきた幸運か? それとも破滅の罠か?」
ク■トワさん、呼んでません。(汗)
また、きな臭いのが、これがレッドブル・レーシングにおける権力争いに留まらないという事で…。
前出の通り、飲料のレッドブルは 元々はタイ国内の栄養ドリンク ”クラティンデーン”であり、レッドブルは
マテシッツと クラティンデーンを開発した
チャリアオ・ユーウィッタヤーによって設立された飲料メーカーです。
マテシッツと同様、チャリアオもすでに亡くなっており、チャリアオの息子
チャルーム・ユーウィッタヤーがレッドブル株の51%を引き継いでいるのですが、親会社であるレッドブルでもタイ側とオーストリア側で主導権争いが勃発している模様でして…
このチャルームとホーナーが親しい間柄という話もあります。
ホーナーはチームからレッドブルの影響を排して完全なる支配を望み、一方でオーストリア側は レッドブル・レーシング、レッドブル・テクノロジー、レッドブル・パワートレインズへの支配権を強めたいと考えている。
その様な状況下でホーナーの疑惑が持ち上がり、レッドブル本社(オーストリア側)は バーレーンGP直前に発表する筈だったリリースで、『ホーナー辞任』の原稿まで用意していた。
どうやら、タイ側が動いて
ホーナー疑惑をもみ消し、ならばとオーストリア側が
ホーナーの不適切行為の証拠(?)をF1関係者にメールで一斉送信しホーナーを糾弾すれば、すかさず タイ側も
機密漏洩にマルコが関与と言ってマルコを追い込もうとする…。
まだまだ、レッドブルのお家騒動は続く様ですが、基本的に今回の騒動は
「ホーナーがチームの支配を望んだ事」と、
「タイ側とオーストリア側の主導権争い」だと思っています。
おそらく、マルコさんは権力は望んでおらず、モータースポーツに関与する為の手段が欲しいくらいなのではないかと。
まぁ、オーストリア側としては、ホーナーに乗っ取られる=タイ側に支配されるという思いから、『マルコ翁には頑張って欲しい』と思っているでしょうけど。(ある意味、オーストリア・コネクションですし)
今思うと、昨シーズン、アルファタウリのフランツ・トストが代表から退きましたが、これもオーストリア色払しょくのためだったりして…。(フランツ・トストもオーストリア人)
そう言えば、ホーナーお気に入りのリカルドばかりが優遇されてるけど、もしかしてこの件が角田にも影響してるのか!?
個人的には、この手の権力争いは「勝手にすれば」なのですが、今やレッドブルはF1の顔ですから、事の成り行き次第ではF1界を揺るがす大事件になります。
既に噂では、
・マルコが解任されたら、フェルスタッペンがレッドブルを去る
・既にマックスはメルセデスと話をしている
・騒動を嫌ってエイドリアン・ニューウェイもレッドブルを去る
・フェラーリがニューウェイ、そしてTDのピエール・ワシェの引き抜きを画策している
という話がありますし。
2026年のパワーユニットでタッグを組む予定のフォードも騒動を嫌っており、もしマックスやニューウェイを失ったら、フォードもレッドブルから離れるかもしれません。
今のところ、ホーナーが不適切行為疑惑を乗り切ったっぽいので、ホーナー派が有利っぽいのですが、ホーナーが残ったところで『そして誰もいなくなった』って事になるかもしれません。
ホーナーの有能さを疑う訳ではありませんが、マックスやニューウェイを失い、PUまで失ったらトップチームでいられないと思いますがねぇ。