今日はフェラーリの車の変遷です。
今回は、前以てV12編と断っておきます。
以前のブログ、
フェラーリ、F1とロードカー で、275GTB/4まで取り上げました。
今回は、その続きとなります。
フェラーリ365GTB/4(1968年~1973年)
新参者のメーカーであるランボルギーニが、1966年に発表したミウラは、レーシングカーのようなミッドシップで、世界に衝撃を与えました。
それまで、性能的にはフェラーリ並みでも、フェラーリ並みの名声は得られていなかったランボルギーニが、一気に認知された瞬間でもありました。
ミウラに対して、275GTB/4ではいかにも古臭く、フェラーリのフラッグシップモデルとしても、新世代にチェンジする必要がありました。
しかし、フェラーリは365GTB/4を旧態依然のFR車として世に出すのです。
それじゃ、端から勝負にならない?
そんな事はありません。
365GTB/4には、レオナルド・フィオラヴァンティ(ピニンファリーナ)が手掛けた、ミウラにも勝るとも劣らない流麗なボディが与えられていたのです。
昨今、多少落ち着きを見せ始めておりますが、ヴィンテージカーはまだまだ高騰しており、ミウラと共に365GTB/4も高額で取引されているのが名車の証と言えます。
また、正式名称ではないにも拘らず、「デイトナ」という愛称で呼ばれる事も、如何に365GTB/4が愛されていたかの証拠ですよね。
フェラーリ365GT4BB(1973年~1976年)
遅ればせながら、フェラーリも365GT4BBでフラッグシップのV12モデルをミッドシップ化します。
BBという車名はベルリネッタ・ボクサー(Berlinetta Boxer )の略で、「2ドアクーペ」「水平対向エンジン」を意味しますが、実際には水平対向ではなく180°のV型エンジンです。
365GT4BBは、365GTB/4に引き続き、ピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティの手によるボディを纏っています。
この車、ランボルギーニ・カウンタックと熾烈な最高速度争いで、302km/hと僅か2km/h上回り世界最速車の称号を得ていますが、実際には両車ともせいぜい280km/hの実力だったようです。(この辺は、いかにもイタリアですね)
さて、折角ミッドシップ化したBBですが、以外にもリアヘビーで、180°のV12でありながら重心が高いという、バランスの悪い車になってしまっています。
その理由は、トランスミッションの上にエンジンを乗せるという二階建てレイアウトで、尚且つ前後位置的にも後車軸上にエンジンを配置した為、V12のシリンダーのいくつかは、リアオーバーハングに位置していたのです。
ミッドシップ車というイメージに対してハンドリングが良くなかった、それ故、後述する550マラネロで FRに回帰したのかもしれませんね。
フェラーリ512BB/512BBi(1976年~1984年)
新型と言うより、365GT4BBのマイナーチェンジと言っても良いかも。
大別すれば同じ世代に属します。
512BBは、排気ガス規制でパワーダウンが避けられない対策として、排気量を600ccアップさせた車と考えれば良いと思います。
外観での識別点は、フロントのアンダースポイラー形状、ボディサイド下のNACAダクトの追加、リアコンビネーションランプの丸6灯→丸4灯化などですね。
512BBi はキャブレターから電子制御燃料噴射装置(ボッシュKジェトロニックインジェクション)に変更した車です。
フェラーリ・テスタロッサ(1984年~1981年)
新世代ミッドシップV12フェラーリとして、BBシリーズの後継として登場した車。
正式名称が数字ではない車は、フラッグシップフェラーリとしては唯一の存在です。
ちなみに、テスタロッサとはイタリア語で「赤い頭」で、実際にエンジンのカムカバーが赤く塗られています。
これは、かつての名車250TRのヘリテージを利用したものです。
フェラーリ512TR(1991年~1994年)
テスタロッサのマイナーチェンジ版。
外観はほぼテスタロッサを踏襲しており、フロントバンパー形状が違うくらいにしか私には見えません。(汗)
Wikiによると、タイヤサイズが16inから18inに変更されたりと、操縦安定性に関する改良が行われているようです。
フェラーリF512M(1994年~1996年)
テスタロッサ・シリーズの最終版。
車名にMが付くのは、イタリア語の改良"Modificata"を意味しており、この車以外のフェラーリにも、しばしば付く事があります。
北米(カナダだけだったかな?)で昼間もライトを点灯しなければいけないという法規が導入され、急速にリトラクタブルヘッドライトから、固定式ヘッドライトに変更されていった時期であり、この車もその流れに従い、固定式ヘッドライトになりました。
また、リアコンビネーションランプも、フェラーリらしい丸型4灯に変更されています。
その他のメカニズムは小変更に留まり、基本的にテスタロッサ・シリーズ共通です。
フェラーリ550マラネロ(1996年~2001年)
フラッグシップカーとしては、365GTB/4(デイトナ)以来のFRに回帰しました。
まあ、大きく重いV12を積む車は、機敏な動きが求められるスポーツカーと言うより、GTカー的な性格が強いとの判断なのかもしれません。(前述のBB/テスタロッサのバランスの悪さも、FR回帰の要因の1つかも)
メカニズムとしては、V12の挟角がミッドシップ時代の180°から65°に変更されました。(V12で等爆とするには、通常は60°なのですが、65°というのはF1から導き出されたマシンレイアウト上のバランスに優れる角度なのでしょう)
550と言う名称は、フェラーリ風の1シリンダーあたりの排気量ではなく、メルセデス的な、総排気量(5.5ℓ)を3ケタで表した数字です。
フェラーリ575Mマラネロ(2002年~2005年)
550マラネロのマイナーチェンジ版。(車名にMが付きますね)
車名にある通り、排気量が5.75ℓにアップしています。
フェラーリ599GTBフィオラノ(2006年~2012年)
FR回帰後の第2世代のフェラーリです。
メカニズム的には550/575マラネロと大きく変わるところは無く(というか、2+2の 612スカリエッティ と部品共通化を図った)、排気量が車名の通り5.99ℓ(「それって6ℓじゃ?」って言わないように)にアップしています。
なお、日本では単にフェラーリ599と呼称します。
これは、「GTB」も「フィオラノ」も、既に他社の登録商標になっている為です。
個人的には、GTBなんてフェラーリがずっと使ってきた名前ですし、フィオラノに至っては、フェラーリの本拠地です。
他社(GTBがトヨタ、フィオラノがオートバックス)が登録してしまう方がおかしいと思います。
この件は、スティングレイをスズキ(ワゴンR)で使用していて、伝統あるコルベット・スティングレイを名乗れない時にも、ブログに書きました。
特許庁も、受理する前に、少しはその名称の由来や歴史を調べろよな。
フェラーリF12ベルリネッタ(2012年~2017年)
えーと、この辺から、タケラッタの知識も怪しくなります。
多分、599のマイナーチェンジ版だと思うのですが……それにしては、結構変わってる。(汗)
フェラーリ812スーパーファスト(2017年~)
F12で既に怪しいので、この車もよく分かりません。(滝汗)
途中で612スカリエッティが出てきましたが、紹介しているモデルに含まれていない事からも分かる通り、V12編ではありますが、フラッグシップモデルに限定しました。
よって、4座のV12フェラーリや、スペチアーレ・フェラーリは含めておりませんのであしからず。
(スペチアーレ・フェラーリ編は書きます。気が向いたら、4座のV12編も書くかも)
さて、次はベビーランボ? それともピッコロフェラーリにするかな?
―つづく―