新地

新地と言えば、大阪では北新地、高級クラブが並び、綺麗なお水

のお姉さん達や、金持ちのオッサン達がさっそうと歩く街。

大阪の繁華街は北とミナミの２つ、北に新地があれば、ミナミに

も実は新地がちゃんとあるのだ。

歌舞伎の裏辺りにね、北の高級さとは段違いの、いや、真逆の趣

だ、寂れた店、と言うか場末の店が並ぶ。

表向きが場末そのもので、中身はゲイバーやニューハーフの店、

ニューハーフと言ってもテレビに出てくる綺麗なニューハーフ

を期待してはいけない！もう行き所が無くなった人が働いている

と言った方が、イメージが湧くだろう。

その、新地の近くで働いていた時に、あろう事か私は一人のオッ

サンに見初められた。

私の働いている喫茶店のお客さんだが、お金持ちの紳士に見え

た。

気さくに話かけてくるので、良い人だ、と思っていたが、とんで

もない。

いらっしゃいませと、おしぼりとお水をテーブルに置き、手をさ

げようとした時に、「君がいるから、毎日、通うんだよ」と私の

手を掴んで握った。

背筋が凍る思いをして、慌てて１階のカウンターの中に隠れた。

ウェイトレスに話をし、珈琲を運ぶのを変わってもらった。

それからも、彼は毎日店に来たが、私は逃げ回っていた。

周りは面白がって「ショウジ、お尻が狙われてるでぇ～」と

喜んでいたが、とんでもなく迷惑だった。

店に来ても、私と話せないと解ると今度は電話をかけてきた。

「何時に終わるのか？一緒に飲みに行こう」と言い、表で待って

るからと、恐くて裏口から帰ってました。

ある日、その人はウェイトレスに私宛の手紙を渡した。

ゴールデンウィークに一緒に旅行に行ったら１００万円をあげる

と、何にもしないから、一緒に旅行に行きたいだけだからと、

最後に電話番号と名前が書いてあったが、気持ち悪くて、すぐに

破って捨てた。

それからも、ひつこく電話を掛けてきたが、ある日ついに私が

切れて、相手を怒鳴りちらしてしまった！

その後。プツリと電話も店にも現れなくなった。

やはり、こう言う人は逃げ回るより、毅然とした態度が必要なん

ですね。

余談ですが難波新地のゲイバーはガッシリとしてスポーツ刈りの

ラガーマンみたいな人が多かった、そのスタイルでカマ言葉だか

ら、面白くて面白くて♪

それに、ニューハーフの朝は髭面で足のすね毛ものびかけて、

青々としてた、気持ち悪かったです。